第494話、わたくし、『マギ○コ』の『キュ○べえ』実装を、ピタリと当てましたの♡

「──みんな、あと少しだ、頑張ってくれ!」


「そやかて、リーダーはん、うちら全員もう、限界やで⁉」


「メアちゃん、タチコちゃん、大丈夫⁉」


「……くっ、これほどの怒濤の攻撃を防ぎきる防護障壁を展開し続けるには、残存魔導力が心許ないわね」


「駄目ですわ、ここはいったん退いて、態勢を立て直すべきでは⁉」




 真夜中の魔導大陸臨海部の、広大なる『魔導競技用のグランド』にて、


 聖レーン転生教団直営の『魔法令嬢育成学園』初等部所属の、わたくしたち『ちょい悪シスターズ』のメンバー五人は、まさにこの時、ガチで、激闘を繰り広げていたのであった。




 ──それも、同じ学園のクラスメイトである、別の魔法令嬢のチームを相手にして。




「……はあ? 『退く』、ですって? むしろそれこそ、『駄目』に決まっているでしょうが?」




 いつもとは勝手が違って、あまりにもままならぬ状況に、つい弱音を漏らすわたくしたちであったが、それをすぐさま聞き咎めて口を挟んでくる、幼くも涼やかな声。


 振り向けばそこには、全身真っ白な少女が、ひっそりとたたずんでいた。


 純白のワンピースに包み込まれた、年の頃五、六歳ほどの小柄で華奢な肢体に、絹糸のごとくつやめく長い髪の毛に縁取られた、人形そのままの端整なる小顔。


 ──そしてその中で、唯一真紅に染められている、両の瞳と小ぶりの唇。




 ……それはまさしく、わたくしたち人類の敵であるところの、『海底の魔女ヘクセンナハト』そのままの容姿をしていたのだ。




「──くっ、無茶を言うな、『アグネス』! 我々は、今回が初戦なのだ。それを最初から、同じ魔法令嬢たちと、命のやり取りをしなければならないなんて、荷が重すぎるだろうが⁉」


 堪らず不満の声を上げる、わたくしたちのチームリーダーのヨウコちゃんであったが、




「……ふうん、口答えをするんだあ? まだ自分たちの立場というものが、良くわかっていないようだねえ。いいわ、今度こそ、思い知らせてあげる。──緊急要請、『ワルキューレ1』を、集合的無意識とのアクセスから、全面カット!」




「「「「「──なっ⁉ ヨウコちゃあああああああああん!」」」」




 アグネスちゃんの、謎めく呪文のような台詞とともに、まるで糸の切れた操り人形そのままに、その場に崩れ落ちる我らがリーダー殿。


「言ったでしょ? あなたたちの魂である『魔女の魂ヘクセンジーレ』──すなわち、『集合的無意識とのインターフェース』は、すでに私の手中にあると。今のあなたたちは魔法令嬢なんかでは無く、私の単なる『手駒』であり、体のいい『生体兵器』でしかないのよ。見ていなさい、今からそのことを、あなたたちの心の奥底まで、刻み込んであげるから」


 そう言うや、両手で抱え持っていた、あたかも鮮血のごとき真っ赤で巨大な宝石の塊のようなものに向かって、ささやきかける、純白の幼女。


「──さあ、『ワルキューレ1』、敵陣に突っ込みなさい!」


了解らじゃ、マイマスター!』


 まったく生気を失ったうつろな目つきで、そのように即答するや、疾風のごとき速さで、防御のことなぞまったく考慮せず、敵陣へと突入していくヨウコちゃん。


「──くっ、こしゃくな! おまえたち、すぐさま迎撃しなさい!」


『『『『『了解らじゃ!』』』』』


『あちら側のアグネスちゃん』の号令一下、一斉に魔法攻撃を始める、『敵』の魔法令嬢たち。


「ヨウコはん⁉」


「今すぐ、助けに行かなくちゃ!」


「ちょっと、完全に袋だたきじゃないの⁉」


「アグネスちゃん! わたくしたちにも、突入命令を与えてちょうだい!」


 リーダーの窮状を見て、堪らず声を上げる、わたくしたちメンバー一同であったが、当の『指揮官コマンダー』様のほうは、相変わらずのすまし顔を微塵も揺るがせはしなかった。


「……たかが『実験対象』の分際で、私に命令をしないでちょうだい」


「で、でもっ」


「ふん、このくらいのことで、音を上げるようだったら、『魔法令嬢』失格でしょうが? ──『ワルキューレ1』、アタックフォーメーション『D』よ!」


『ワルキューレ1、了解らじゃ!』


 ──まさにその時、


 ヨウコちゃんの姿が、唐突にかき消えたかと思ったら、


 次の瞬間、


 敵側の魔法令嬢たちの真後ろへと、忽然と現れたのであった。


「『ワルキューレ1』、続いて、アタックフォーメーション『Z』!」


『──了解らじゃ!』


 アタックフォーメーション『Z』って、まさか⁉




『『『『『うわああああああああああああっ⁉』』』』』




 突然響き渡る、相手チームの魔法令嬢たちの、絶叫。


 それも、そのはずである、




 ──何とヨウコちゃんがいきなり、巨大な『九尾の狐』へと、変化メタモルフォーゼしてしまったのだから。




 それから先はまさしく、一方的な展開となってしまった。


 そりゃ、そうだろう。


 九尾の狐と言えば、国や地域によっては、『神様』とも見なされているのである。


 魔法令嬢が五人くらい束でかかったところで、相手になるはずが無いのだ。


 ──しかも、ヨウコちゃん自身も、完全に理性を失っており、『魔物』としての本能のままに、いまだ幼い少女たちを、情け容赦なく蹂躙していくばかりであった。


 見る見る間に、『人間』としての形を失っていく、五人の少女。


 敵とはいえ、とても直視できるものでは無かった。




「──安心しなさい、あの子たちも、集合的無意識とのインターフェースである、『魔女の魂ヘクセンジーレ』さえ無事だったら、肉体なんていくらでも再生可能なのだから」




 いかにも『何でも無いこと』のように宣う、『アグネスちゃん』の幼女。


 ……そうだ、わたくしのルームメイトであったアグネスちゃんは、もうとっくに死んでいるはずなのだ。


 現在、学園内において、魔法令嬢たちの『指揮官コマンダー』となっているのは、かつてはわたくしたちの敵であったはずの、『量産型海底の魔女ヘクセンナハト』なのである。




 ──それも、仕方がなかった。




 先ほど彼女が言ったように、何とわたくしたち魔法令嬢は、量産型海底の魔女ヘクセンナハトよりも、更に価値の無き存在でしか無かったのだ。




 実はわたくしたちは、本物の魔法令嬢どころか人間ですら無く、不定形暗黒生物である『ショゴス』で形成された偽りの肉体に、他の世界の『悪役令嬢』の精神を集合的無意識を介してインストールされた、『実験用の生体人形』に過ぎなかったのである。




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……またしても、何よ、これって?」




ちょい悪令嬢「ほら、前回【緊急特番】と銘打って、『マギア○コード』サービス開始3周年の記念として、『モキ○』が新たにプレイアブル実装されたことを、ご紹介したではありませんか?」




メリーさん太「──おい、また他人様の作品の話かよ⁉ いい加減にしろ!」




ちょい悪令嬢「いやそれが、新たに本作に密接に関係する『設定』を、発見したのでございますよ」




メリーさん太「え? 『モキ○』のキャラ設定で? 一体どこら辺だよ?」


ちょい悪令嬢「主に、『バトル』関係ですね」


メリーさん太「バトルって………………あっ、そういやそもそも、『モキ○』って、まともに戦えるの? 確かに抜群に知能の高い宇宙生物かも知れないけど、魔法少女みたいな戦闘力を持っているようでも無いし、特に神○市においては、完全に『マスコットキャラ』扱いじゃないの?」


ちょい悪令嬢「いえ、『モキ○』自身は別に、戦ったりしませんよ? 普通『魔法少女の使い魔』が、戦ったりはしないでしょうが?」


メリーさん太「だったら、バトルの時は、どうするんだよ? マスコットキャラとしての『癒やし』の力が、そのまま『治癒師ヒーラー』としての役割を果たすといった、お馴染みのパターンとか?」




ちょい悪令嬢「実は何と、主人公であるい○はちゃんを始めとする、『チーム三○月荘』の魔法少女たちを、『手駒』や『兵器』であるかのようにして、自分の代わりに戦わせるのですよ」




メリーさん太「──ッ。そ、それって⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、今回の前半部、そのものなのです」


メリーさん太「いいのか、下手すれば、『二次創作』になってしまうぞ⁉」


ちょい悪令嬢「大丈夫ですって、むしろこちらのほうが、『オリジナル』とも言えるのですから」


メリーさん太「……へ? こっちが『オリジナル』、って」


ちょい悪令嬢「これを、ご覧になってください」




「──前から疑問に思っていたんですけど、『あのアニメ』って、宇宙人があくまでも自分たちの都合で、地球の年端もいかない女の子たちを魔法少女にするんでしょ? だったら最初から『道具』とか『兵器』として割り切って、摘出された『魂』が無事なうちは、ゾンビ化された本体のほうを、どんどん『自爆攻撃』とかに使っていけばいいのですよ。当の宇宙人のお説だと、本体のほうはいくらダメージを負っても、ある程度修復可能なんでしょう? 修復できなかったとしても、地球には思春期の女の子なんか、掃いて捨てるほどいるんだから、どんどんと魔法少女にして、どんどんと『兵器』として、『消費』していけばいいんですよ。しかも聞くところによると、魔法少女たちは究極的には、『化物』になる運命が課せられていると言うではありませんか? ──それなのに、一体何を出し惜しみをしているのだ? そのような『兵器として非常に好ましいメリット』があるのなら、最初から全力全開で利用していけばいいじゃないか? どうせ宇宙人にとっては、『消耗品』なんだろう? だったら、使える分だけ、使い潰すべきだろうが?」




メリーさん太「──ッ。こ、これって⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、一言で言えば、『実は、魔法少女になった途端、、ただの「物」となってしまい、場合によっては『兵器』として、使い捨てにされても許されるのだ!』であり、今回の前半部及びに、『マギ○コ』における『モキ○』のバトル時の戦い方について、論理的に述べたようなものでもあるのですよ」


メリーさん太「これって、作者の文章なんでしょう? いつどこで書いたわけ?」


ちょい悪令嬢「本作とは別作品である、『なろうの女神が支配する』の、8月20日公開分です」


メリーさん太「『モキ○』の実装が告知されたのが、昨日の8月21日だから、それよりも先じゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「だから申したでしょう、こちらのほうが『オリジナル』だと」


メリーさん太「……ほんとかよ。ほんの一日差とはいえ、本作のほうが辛うじて早かったってわけか」


ちょい悪令嬢「これって逆だったら、『パクリ』扱いされていたかもね☆」


メリーさん太「ギリギリギリのギリで、命拾いしたな!(小池百○子ちゃん風に)」




ちょい悪令嬢「……でも逆に言えば、本作の作者の、『ま○マギ』シリーズ全体に対する、異常なまでのシンクロ率の高さが、今回如実に証明されたわけですよね?」




メリーさん太「──た、確かに!」




ちょい悪令嬢「何せ、これまで本作においても述べてきたように、キュ○べえの本来の目的は、絶大なる力を誇る魔法少女を自分の『手駒』や『兵器』として使い潰すのでは無く、文字通り『生かさず殺さず』の状態で、最終的には『化物』に成り果てるまで絶望させて、思春期の少女ならではの『感情エネルギー』を収集することなのであり、たとえ本編に比べて幾分自由度が高いとはいえ、正当なる外伝である『マギ○コ』において、『モキ○』がい○はちゃんたち魔法少女を己の『手駒』として使役することなぞ、誰にも考え及ばなかったでしょうよ」




メリーさん太「……ということは、今回のこの『魔法少女兵器理論』は、完全に本作の作者による『独自見解』だと、胸を張って言えるわけね」




ちょい悪令嬢「すでに本作においても、今回前半部の【試行版テストケース】のように、魔法少女が完全に自由意志を奪われて、他の魔法少女に単なる『兵器』として『自爆特攻』させられたり『瞬間移動』させられたり──と言ったエピソードが、公開されているくらいですしね」




メリーさん太「……ええ、特に以前にやったやつなんて、あなたたち『ちょい悪シスターズ』の敵サイドが、魔法少女であるとともに吸血鬼でもあったものだから、『マスターヴァンパイア』の命令には背けないという『お約束』をも利用していたんだっけ」


ちょい悪令嬢「──ていうか、まさに先ほど引用させてもらった、『なろうの女神が支配する』における『現行シリーズ』こそが、『そのものズバリ』と言えるんじゃないかしら?」


メリーさん太「へ? 『なろうの女神』の現行シリーズ、って……」


ちょい悪令嬢「『デストロイヤー転生』シリーズ──つまりは、『軍艦擬人化少女』作品モノですよ!」


メリーさん太「……あ」




ちょい悪令嬢「『懲罰艦』の指揮艦コマンダーであるこんごう嬢が、軍艦擬人化少女にとっての魂とも言える『心の宝石ソウルジュエル』を通じて、他の姉妹たちを単なる『兵器』としてコントロールするなんて、まさしく『モキ○』と『チーム三○月荘』との関係そのものでしょうが?」




メリーさん太「……な、何で、ここまで『ま○マギ』シリーズと、高確率でシンクロしているんだ、この作者の作品って⁉」


ちょい悪令嬢「何と言っても、キーアイテムの名前が、『心の宝石ソウルジュエル』ですしねw」


メリーさん太「──それについては、できることなら今すぐにでも、変えなさい!」




ちょい悪令嬢「しかも、どうして『モキ○』が、絶大なる力を誇る『魔法少女』たちを、意のままにコントロールできるのかについても、『なろうの女神』はもちろん本作においても、ちゃんと論理的かつ詳細に解説を施していますしね」




メリーさん太「……あー、『魔法少女や異世界転生者や軍艦擬人化少女の、ショゴス化による、量子論や集合的無意識論に則った、あらゆる超常現象の実現可能性』理論か」




ちょい悪令嬢「このように、常に『論理的な作品づくり』に努めているからこそ、どんなに荒唐無稽と思われる内容であったとしても、実は『公式のアイディア』を先取りしていたなんてことさえも、起こり得るのですよ」




メリーさん太「……うん、いかにも『自画自賛』が過ぎるとは思うけど、本作の作者が、常に非常識な妄想ばかりしている、『変わり者』であるのは確かだよな」




ちょい悪令嬢「変わり者、大いに結構! だからこそ、本業のアニメスタッフすら及びもつかないような、斬新なアイディアを考案できるのですし、非常にWeb作家向きとも言えるでしょう。──と言うわけで、本作もこれより【魔法少女編】がクライマックスを迎えていき、更にかつて無き意表をつくイベントを繰り出していく所存ですので、読者の皆様におかれましても、是非とも御一読のほど、どうぞよろしくお願いいたしますわ♡」




メリーさん太「──結局、今回も、宣伝かよ⁉」

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