第334話、わたくし、軍艦擬人化美少女を異世界転生させる方法は、3つほどあると思いますの。(後編)
「──いえいえ、このように字面さえ見ていれば、現在、現実世界の日本において大好評の、『軍艦擬人化美少女ソシャゲ』の類いと、まったく変わらないではありませんか? これぞ
「だったら、万が一──いや、『億が一』…………うう〜ん、やっぱ、『兆が一』かな? この作品が書籍化されて、
「そんな可能性は、
「それ普通に、『軍艦擬人化美少女』作品になるだけだよなあ? それじゃオリジナルのソシャゲそのものじゃん! 著作権問題はどうするのよ⁉」
「知りませんよ、勝手にヒロインを改変した、編集者サマが責任を取るんじゃないですかあ?(棒)」
「……こ、こいつ、自分も眼鏡キャラなものだから、『メインヒロインは眼鏡絶対禁止』を強引に押しつけてくる、現在のラノベ界の編集者の蛮行の数々を、完全に根に持っていやがる……ッ」
「まったく、眼鏡キャラの、何が悪いと言うのですか? 女性向けの作品においては、むしろ『眼鏡男子』が大人気だと言うのに」
「確かに現在の出版界の編集方針については、あたしにも言いたいことが山ほどあるけど、そのような今更どうしようもないことはさておいて、こんな実物の軍艦同士の語らいのみの作品なんて、たとえ文字ONLYのWeb小説であろうとも、『
「そうかなあ、『機関車トー○ス』とか『トランスフ○ーマー』とか、人間が一切登場しなくても、人気を博している作品は、結構あるかと思うんですけど?」
「そういうのはむしろ、『ヴィジュアル有りき』だからでしょうが⁉ 文字のみのWeb小説においては、キャラクターにとって何よりも大切な『華』が皆無と言っても過言では無く、読者様に十分に
──うっ、確かに。
「わかりました、でしたら今度は【
「……あまりいい予感はしないけど、一応見せてもらうの」
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
【
──その身の至る所に軍艦の艤装らしき物を取り付けた、見るからに珍妙な格好をした多数の美少女たちが、まったくの無表情かつ無言で、ただただ巨大なプールに身体を浸からせながら、薄らぼんやりと立ちつくしていたのであった。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
「──だから、一体何だと言うのよ、これって⁉」
「ああ、これはさっきとはまさしく逆のパターンでして、ショゴスで形成した『普通の女の子』の肉体に、かつての『帝国海軍の各軍艦』を、転生させてみたわけなのです」
「軍艦を転生って、軍艦は生き物じゃ無いでしょうが⁉ 一体軍艦の『何』を、人間の身体に転生できると言うのよ⁉」
「さあ、『艦歴』とか、乗組員の『無念の記憶』とかじゃ、無いんですかあ?(棒その②)」
「何その、投げやりな言い草? あんたオリジナルの某ソシャゲに、何か思うところでも有るんじゃないでしょうねえ⁉」
「そんなことはありませんよ? 私はただ、有機物である日本人が剣や自動販売機のような無機物に転生する作品があるのなら、かつて日本に存在していた無機物が、有機物に転生するような作品があっても、別にいいのではないかと思っただけでして、まさにこれぞ、『軍艦擬人化美少女』作品の、新境地とも申せましょう!」
「申せないよ! どうしてこの作者は、何が何でもアホな方向に話を進めようとするわけ? 某サイトの『夏のホラー2019』においても、現代日本の自衛隊員に、異世界のオークやゴブリンの魂を転生させることによって、
「──ああっ、しまった!」
「……な、何よ? 今度は、一体、どうしたと言うのよ⁉」
「どうせなら、今回の【ハロウィン特別エピソード】においても、現実の
「良くねえよ! 何でそう、物騒なほうばかりに、暴走しようとするんだよ⁉」
「そういう観点からすれば、このパターン②は、よほど穏便で好ましいとも言えるんじゃないですか?」
「──穏便かも知れないけど、ちっとも面白くないよ! よって、却下!」
「……まったく、わがままなんだから………はあ〜、それでは、仕方ありませんねえ」
「何であたしのほうが、悪いみたいに言われなきゃならないの⁉」
「──でしたら、『とっておき』を、ご覧に入れましょうか?」
「へ? とっておき、って?」
「ええ、下手すれば、軍艦擬人化美少女作品どころか、異世界転生の概念そのものすらも変えかねない、これまでにまったく無かった、『軍艦と美少女とのハイブリッド』の極地とも言えるものですよ」
「──‼」
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
【
「──こ、これは⁉」
当研究所の最高機密セクションである、『リンボ』フロアの広大なる実験室の中央に安置されている、半透明の液体に満たされた特大サイズの培養槽を、一目見るなり絶句する、都市伝説の幼女。
それも、そのはずであった。
その培養ケースの中には、無数のチューブに繋がれた、年の頃六,七歳ほどの幼女が、目を閉じ身体を丸めてただよっていたのだが、それが単なる人間の小娘なんかでは無いことは、見る者が見れば歴然としていたのである。
一糸まとわぬ矮躯に絡みついている黒絹のごとき
「何という、『魔導力』なの? この子は、一体……」
「
「わ、
「『竜神』……まさか、この子こそが、聖レーン転生教団の最終プロジェクト『人類雛型計画』が目指すところの、『創造主の卵』だと言うの?」
「ええ、見かけは人間の少女ですが、身体のほうはオリハルコンやミスリル銀によって構成されておりますので、どのような攻撃にも耐え得ることでしょう。──まさしく、『かの
「……と言うことは、まさか?」
「この素体に
「──っ。つまり、『あの
「言わば『彼女』こそが、
「ま、まさか、こんなものを密かに創っていたなんて、一体教団は、何を企んでいるの⁉」
その時私は、この日初めての、会心の笑みを浮かべた。
それは目の前の都市伝説の少女にとっては、よほど不気味に映ったに違いない。
「え? それは当然毎年恒例の、Web上の創作サイトのコンテストに、エントリー作品として投稿するためですよ?」
「──結局は、そのための宣伝だったんかい⁉」
「まあ、まだ、『なろうコン』に出すか『カクヨムコン』に出すかは、決まっていないんですけどね」
「──どっちでもいいわ! 何よ、いかにも散々思わせぶりな書き方をしておいて! あたしたちは単なる、『ステマ要員』だったのかよ⁉」
「いえいえ、これってもはやそのものズバリの、『ダイマ』でしょう」
「やかましいわ!」
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