第268話、【WW2開始記念】あたしメリーさん、争いはけして無くならないの。

 こんにちは、お望みなら、いつでもあなたのスマホにお邪魔するのもやぶさかではない、外見上はほんの五、六歳の、日本一の美幼女でーす♡




 ──そうなの、全国推定1000万人のヒキオタニートのお兄ちゃんたちの、心のアイドル、「あたし、メリーさん」なの!




 かつてない天候不順により、日本全国に多大なる災害をもたらした夏も終わり、いよいよ今日から9月──秋の始まりなの!




 さて皆さん、9月1日といえば、何の日でしょう?




 ……はあ、『防災の日』?


 なに、勝手なことを言っているの?


 そんなの大昔の、関東周辺の人たちだけの問題でしょうが?


 現代の、日本全国で生活している人には、全然関係無いじゃないの?


 何せ、現在において関東や東北に住んでいる人たちにとって、『防災の日』と呼ぶべきなのは、3月11日だし、関西に住んでいる人たちにとっては、1月17日だし、今時9月1日じゃ無いでしょうが? 何をいつまでも、100年も前の歴史の彼方のことにこだわっているのよ?


 それよりも東京にお住みの方々は、やらなくてもいい来年の馬鹿祭りのために、西新宿の某地方公共団体が、何かと理由をつけて癒着企業に金儲けさせようと、『ボランティア』の名を借りて大勢の都民を無給で強制労働させたり、首都高を一律1000円も便乗値上げしたりといった、『関東大災』のほうを問題にしなさいよねえ? ……あなたたち、あの西新宿に巣くう小役人共に、舐められているんじゃないのお?




 ──そんなどうでもいいことなんかよりも、9月1日と言ったら、『第二次世界大戦の開戦日』に決まっているでしょうが?




 そうなの、かつてドイツ第三帝国が、第一次世界大戦時に失った自国の領土を取り戻すために、あたかも北海道や島根県の某島々のように、ドイツ人が居住している土地を不法に占拠しておきながら、再三の立ち退き要求を無視して居座り続けるポーランド人たちを追い払うために、最新の機械化部隊と精鋭揃いの急降下爆撃機隊を中心にして、果敢に攻め込んだという、歴史的にもドイツ固有の土地である東プロイセン地方等の、栄えある解放戦線の火蓋が切られてから、丁度80年目の記念の日なの。




 ちなみに、虎視眈々とヨーロッパで大戦争を起こそうと目論んで、ポーランドと秘密協定を結んでいたイギリスとフランスが、その二日後にドイツに対して宣戦したせいで、歴史的には9月3日こそが、真の第二次世界大戦の開始日となっていたりするの。




 どう? すでに3月11日や1月17日こそに指定し直すべき、日本の『防災の日』なんかよりも、むしろこちらのほうが、世界的にも歴史的にも重要なイベントでしょう?


 それでも反対する日本人がいると言うのなら、今からでも12月8日は、『太平洋戦争開始日』では無く、『ジョン=レノン暗殺の日』に差し替えるからね!


 それが嫌だったら、来年から『防災の日』は、3月11日か1月17日あたりに変更して、9月1日のほうは他の国を見習って、『第二次世界大戦の開始日』に統一しなさい!




 それで何でわざわざ本作において、『ドイツのポーランド侵攻』なんていう、本来なら関係の無いよその国の話題を持ち出したかというと、おそらく歴史的にも重大なこの日付に合わせてのことだと思われるのだけど、ポーランドの現政権が今頃になって、ドイツ政府に対して、戦時中の損害賠償を求めてきたからなの!


 ……まあ、日本人にとっても、他人事じゃないんだけど、『ポーランド侵攻』なんて、それこそ80年も前のことなのよ?


 何でそんな今更なことを突然言い出したかと、不思議に思っている方も多いかと思うけど、実は本作第266話で述べたように、ドイツとポーランドとの間には、主に領土問題において、歴史的に非常に深刻なる確執が存在しているからなのよ。


 何せついさっき述べたように、文字通り世界大戦すら引き起こしかねないほど、根深い問題なのですからねえ。ドイツ第三帝国の被害者というと、民族レベルでは何よりもユダヤ人が有名だけど、国家レベルとなると、まさしくポーランドこそが旧ソビエトと並んで、ドイツに対する憎悪が激しいのは間違いないの。


 ただし、現在の日韓関係同様に、ドイツにおいても、第二次世界大戦での他国に対する戦後補償は、すべて完了しているという認識であり、今回のポーランドの要求を相手にするつもりなんて、毛頭無いの。


 それというのも、ドイツの『戦争責任』の代名詞と言えば、何と言っても『ユダヤ人に対する償い』であり、まずこれをきちんと行わなければ、国際社会から永久に見放されてしまいかねないから、それこそ自らの手で、世界中に隠れ住んでいるナチスの残党を探し出し逮捕する勢いで、信頼回復に努めてきたので、ユダヤ人個々人や各種団体からも、一応のところは認めてもらえているの。


 それは壮絶な総力戦を行った旧ソビエトに対しても同様で、何せ国土の東半分を差し出したのを始め、当時誰もが認める世界最高水準であった、ミサイルやジェット機の開発を担った科学技術者の連行を黙認し、戦後ソビエトの軍事力の質的向上に大いに寄与することによって、それ以上の賠償を要求されること無く、おまけにすでに衛星国となっていた、ポーランドをも黙らせてくれたほどなの。


 いや、ほんと、当時のドイツ人科学者って、下手すると一人で一国の価値くらいあったのよ? 例えばアメリカに連行されたフォン=ブラウンなんて、頓挫寸前だったアポロ計画を見事に成功に導いて、現在のエスパー国防長官のもとでの、『宇宙軍』の創設の礎を築いたくらいなのですもの。


 ……さすがは21世紀のアメリカ軍ね、宇宙軍のみならず、同時に『超能力エスパー部隊』まで、実現してしまうとは! これもドイツ第三帝国における、各種の『オカルト研究』を引き継いだお陰よね☆(違います)




 とはいえ、皆さんよくご存じの通り、旧世紀の終わりに、ソビエト共産政権が倒れて、ポーランドが国家として真に独立して、更には東西に分かれていたドイツが統一したために、文字通り状況が一変してしまったの。




 それというのも、ポーランドの言い分では、「ドイツに対する賠償請求を取り下げたのは、ソビエトに強制されたからであり、しかも当時のドイツは本土決戦に敗北し国土が荒廃している中で、国家そのものを分断されて、戦後復興の担い手となるべき優秀なる人材までも奪われた状態だったので、賠償請求に対して支払い能力が無く、諦めざるを得なかったが、けして我々ポーランド人は戦時中のドイツの行いを許すつもりは無いし、ドイツのほうもすでに統一を果たしヨーロッパ随一の経済大国となっているのだから、我が国に対して賠償金を支払うことも十分可能なはずだ」ということらしいのよ。


 しかもその金額が、およそ90兆円だと言うんだから、とんでもない話よねえ。


 もちろん、ドイツのほうも応じるつもりは無いし、「むしろ自分たちのほうこそ、東プロイセン地方やポメラニア地方等の、先祖代々の土地から追放されて、現在ドイツ在住のドイツ系旧住民たちに、保証金をもらいたいくらいだ」とのことらしいわよ。




 ……まったく人間て、学習能力というものが、完全に欠如しているようねえ。




 確かに領土ほど、根深い問題は無いでしょうけど、少しでも対応を誤ると、それこそ『戦争』だって起きかねないんだから、もう少し慎重になって欲しいところなの。


 ドイツの言う通り、ポーランドは第一次世界大戦終了時のどさくさに紛れて、ドイツ人固有の土地をまんまと奪い取っているんだから、その上賠償金を請求するなんて、虫が良すぎるというものよ。




 忘れてもらっちゃ困るんだけど、ドイツはかつて長きにわたった『冷戦』時代において、常に最前線にあったゆえに、ヨーロッパ有数の軍事力を誇るのみならず、別に日本のように『専守防衛』でも無いんだから、下手に軍事的紛争なんかを起こしてしまえば、それこそ第二次世界大戦勃発時の、二の舞になりかねないわよ?




 ……まあ、このことについては、現在の日本もまったく同じような状況にあることだし、基本的に無理難題を言ってくる分からず屋に対しては、けして相手にしないと同時に、絶対に下手には出ずに、何よりも『専守防衛』を堅守して、こちらから手を出さないようにしつつ、アメリカ等との連携を深めていき、相手を主に経済的に──場合によっては『実力行使』的に、牽制しておくのが丁度いいのよ。

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