第116話、わたくし、こんなに切羽詰まった作者を見るのは、初めてですの。

ちょい悪令嬢「はい、皆さんこんにちは──あ、いえ、こんばんはですかねえ?」


メイ道「こればっかりは、読者様ご自身が閲覧なさる時間次第ですからね、何とも言えませんねえ」


ちょい悪令嬢「それでは、何時であっても通用する、アロ〜ハで」


メイ道「い、いや、いくら常夏の島ハワイでも、深夜や早朝では、別の挨拶の仕方があるのではないでしょうか?」


ちょい悪令嬢「まあ、実のところ、挨拶の文言なんて、どうでもいいのです」


メイ道「ど、どうでもいいって……」


ちょい悪令嬢「実は今日って、締め切りなんですよ、『カク○ムコン4』の、参加規定の最低限の10万文字に、加筆するための! 本日の深夜24時を過ぎると、一切加筆できなくなって、最終的に10万文字を下回っている場合には、たとえすでにエントリー表明している作品であろうと、その瞬間に失格扱いになるんですよ!」


メイ道「はあ」


ちょい悪令嬢「な、何ですか! その淡泊な反応は⁉」


メイ道「だって、本作自体は、別のコンテストに参加しておりますし」


ちょい悪令嬢「例えそうであっても、この作品の作者自身、何作もエントリーしているのだし、そもそもこの作品自体も、『カクヨム』様のサイト上で公開しているからして、まったくの他人事ではないでしょうが⁉」


メイ道「いやでも、単なる小説の登場人物に過ぎない、私たちに、どうしろと?」


ちょい悪令嬢「そこで今回は予定を変更いたしまして、『カクヨムオンリー』で公開されている完全新作を中心に、コンテストエントリー作品について、おのおの簡単に紹介していきたいかと存じます」


メイ道「つまり、コンテスト参加作品の、宣伝というわけですか?」


ちょい悪令嬢「ま、まあ、ありていに申せば」


メイ道「コンテスト期間中に、別の作品内で、そんなあからさまなPR行為を行っても、構わないんですか?」


ちょい悪令嬢「う〜ん、あまり褒められたことではないんでしょうけど、明確に禁止されているわけでもなかろうし、そもそもこのコーナーで前から予定されていた、『作者の過去の創作活動を振り返る』企画の一環ということにすれば、別に問題は無いかと……」


メイ道「というか、そもそもそんなグレーな企画を、どうしてこのように切羽詰まった状態にありながら、いきなりやろうと思われたのですか?」


ちょい悪令嬢「むしろ、切羽詰まっているからですわ。もはや締め切り以外のことに頭が回らない状態にあって、『コバルト文庫』等の他人様の作品を振り返っている余裕なぞ微塵もなく、そこでどうせなら、現在『頭の中』のほとんどを占めている、当のコンテスト参加作品を振り返ってみようと、ある種の『開き直り』行為みたいなものですよ」


メイ道「……はあ、すべては作者自身の、計画性の無さが招いた結果であり、単なる自業自得と思うんですけどねえ」


ちょい悪令嬢「で、でも、本当は本作の連載を休んでも、コンテスト用の作品の最後の仕上げに取りかかりたいところなのに、こうして新作執筆に励んでいる努力くらいは、せめて登場人物である私たちだけでも、認めてあげましょうよ?」


メイ道「……ええ、そうですね、わかりました。もう四の五の申しませんので、どうぞコーナーを開始してください」


ちょい悪令嬢「はい、『の巫女姫』であるわたくしにとっては、誰よりも怖いお目付役である、専属メイドにして『内なる神インナー・ライター』でもある、メイのお許しが出たことですし、早速エントリー作品のご紹介を始めましょう!」


メイ道「最初は、『エルフの女神様♡』……完全新作の、短編作品ですか? 私はまったく聞いたことがありませんので、いわゆる『カクヨムオンリー』の作品なんですね?」


ちょい悪令嬢「そうです、『カクヨム』様においてユーザーの爪切り様が主催なさっておられる、【ダークファンタジー交流会】という自主企画に参加するために作成した一品でございます」


メイ道「エルフの女神様とかいった、タイトルで、ダークファンタジーなんですか? しかも♡マークとか、付いているのに?」


ちょい悪令嬢「ふふふ、読んでびっくり、かなりエグい内容ですよ♡」


メイ道「だから何で、そんな内容なのに、♡マークを付けるんですか⁉」


ちょい悪令嬢「そもそも冒頭部からすでに、雲行きが思いっきり怪しくて、あらゆる異世界から『女神様』が集まってきて会議を行っているのですが、その議題が、『自分が召喚した勇者が、目的を達成した後も異世界に居座って、好き放題していて、非常にウザい!』と、歯に衣着せぬ『グチ大会』を展開していくのですが、ずっと沈黙を守っていた『エルフの女神様』が、最後の最後に口を開いて、『そんなにお困りなら、すべての勇者を、うちの世界でお預かりいたしましょうか?』と、笑顔で申し出るのでございます」


メイ道「……うわあ、むちゃくちゃ不穏な出だしですねえ。これ絶対、勇者たちが、とんでもない酷い目に遭うパターンですよね」


ちょい悪令嬢「ところがどっこい、エルフの世界に再転生するや、すべての勇者が前の世界よりも、超美形になってしまうんです!」


メイ道「へえ、勇者全員がですか?」


ちょい悪令嬢「何と勇者だけでは無く、剣士も盾役も魔術師も遊び人も奴隷少女も奴隷商もです」


メイ道「ちょ、ちょっと待ってください、『エルフの女神様』が再転生を受け入れたのは、勇者だけじゃなかったのですか⁉」


ちょい悪令嬢「実は何と、この世界の二足歩行の生物は、エルフ以外はみんな、現代日本からの転生者となってしまっているのです」


メイ道「何それ、斬新⁉ そんな異世界転生作品なんて、これまで無かったのでは?」


ちょい悪令嬢「そりゃそうですよ、全員が転生者だったら、たとえ魔王退治を行うにしても、単なる学芸会になってしまうではありませんか?」


メイ道「あ、そりゃそうですね。……つうか、魔王まで転生者だったんだ」


ちょい悪令嬢「ここまででも、十分に驚きの展開なのに、『エルフの女神様』が勇者たちを引き取った理由と言ったらもう! 何と前回ご紹介した、『魔女の結婚』の青年魔導士のお父上に負けず劣らずの、残虐っぷりだったりするんですよ!」


メイ道「……え、あれと同等なんですか?」


ちょい悪令嬢「怖い物見たさの方は、是非ご覧になってください。コンテストの『読者選考』は本日で終わりですが、先程お伝えしました【ダークファンタジー交流会】のほうには、後二ヶ月ほどエントリーし続けますので」


メイ道「それで他には、どのような作品がございますのでしょうか?」


ちょい悪令嬢「やはり【ダークファンタジー交流会】にもエントリーしております、短編作品として、『私は、カクヨムの巫女姫、死神の使いなの』と、『異世界転生暗黒物語①死に続ける不死者』と、『異世界転生暗黒物語②己の人生から逃げ続ける男』と、『乙女ゲームでつかまえて♡』がございます」


メイ道「最初の三つはいかにも『ダークファンタジー』っぽくて、内容も大体予想できるのですが、最後のは一体? 『乙女ゲーム』なんて、まるで本作の親戚みたいですけど(一番最初の『カクヨムの何たら』については、なんかヤバそうだから、スルー)」


ちょい悪令嬢「そうなんですよ! 実はこれって以前本作内で連載しました、『乙女ゲームへの転生と思っていたら、実はWeb小説の世界への転生だった』というエピソードを、大幅に作成し直して、完全新作として生まれ変わらせたのですよ!」


メイ道「おお、でしたら、こうして本作内でPRする大義名分が、十分ありますね!」


ちょい悪令嬢「内容としては、本作関連の要素を完全にそぎ落として、何より最初の構想通りに、『衝撃の大どんでん返し』になるように、ストーリー展開や演出方針を、完全に組み立て直しておりますので、とにかくれまでの乙女ゲーム転生作品には無かった、『驚きのラスト』を体験なさりたい方は、是非ともご覧になってください」


メイ道「……ええと、これまで短編ばかり紹介なさっていますが、長編の『カクヨムオンリー』の完全新作は無いのでしょうか?」


ちょい悪令嬢「いえいえ、ありますとも。まさに本日は、その長編作品の締め切りだからこそ、作者がこのようにテンパっているのですから!」


メイ道「して、そのタイトルと、内容は?」


ちょい悪令嬢「その名もズバリ、『転生法』と申しまして、売り文句キャッチとして、『これまでの異世界転生作品の常識を完全に覆す超問題作』ということになっております」


メイ道「……うわあ、タイトルといい、キャッチといい、またしても、いらぬ敵を多く作りそうですねえ」


ちょい悪令嬢「まあそれも、この作品の作者の、お家芸とも申せましょう」


メイ道「そんなお家芸なんて、早く捨ててしまわないと、そのうちとんでもないしっぺ返しを食らいますよ」


ちょい悪令嬢「これに関しては、各エピソードのタイトルをご紹介するだけで、内容のほうも十分予想可能でしょう」


メイ道「どんなのがあるのですか?」


ちょい悪令嬢「連載開始時から順に、『奴隷制』、『日本語』、『クリスマス』、『教会での復活』、『魔法使いの条件』、『魔王は、美少女に限ること』、『そもそも異世界転生とは何なのか?』、『異世界におけるミステリィ小説的事件の在り方』、『始まりの森』、『ダンジョンに宝箱は必要か?』──といった感じになっております」


メイ道「もう、タイトルの段階で、十分ヤバイではありませんか⁉」


ちょい悪令嬢「もちろん、内容のほうは、もっとヤバイですよ♡」


メイ道「……この作者って、一体、何がやりたいのやら」


ちょい悪令嬢「それは当然、Web小説というものに対する、飽くなき挑戦であり、たとえ自分が悪役になろうとも、Web小説全体の改革に寄与することですよ」


メイ道「まあた、最後だけ、綺麗にまとめちゃって。どうせすべては、何もかもうまく行かない、現実世界の憂さ晴らしをしているだけのくせに」


ちょい悪令嬢「まあ、そういった面もあることも、創作者としての業というものでしょう」


メイ道「むしろ、、と思うんですけどねえ」


ちょい悪令嬢「まあまあ、あまり自作の宣伝ばかりやっていると、読者様から怒られてしまいかねませんし、今回はこの辺にしておきましょう」


メイ道「ということは、次回からは、通常のパターンに戻るわけですね?」




ちょい悪令嬢&メイ道「「それでは、読者の皆様、また次回、お会いいたしましょう!!!」」

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