第113話、わたくし、コバルトの空に啼きますの。(その1)

ちょい悪令嬢「──はい、今回は本来なら、『小説家になろう』様における【ユニークアクセス10000名様達成記念特別座談会】を開催する予定でしたが、急遽『特別番組』をお送りいたします」


メイ道「それと申しますのも、作者が『カクヨム』様の『近況ノート』を斜め読みしていた時、ある方のノートに、『集英社コバルト文庫休刊か?』という記事があったのを発見しまして、当社のサイト等を確認すると、どうやら間違いないらしく、今回は作者自身の作風のルーツを探るという意味合いからも、これまで発表されてきた、コバルト文庫の珠玉の名作の数々について語り合っていきたいかと思います」


ちょい悪令嬢「議題の対象が少女小説レーベルと言うこともあり、いつものメンバーに関しては、数少ない『乙女組』である、わたくしとメイの二人だけとして、その代わりに特別ゲストの方をお二人ほどお招きしております」


メイ道「もちろん、本作においては、最もコバルト文庫にご関係のある、このお二人です。──ではどうぞ、量子魔導クォンタムマジックボイスチャットルームにご入場エントリーなさってください!」




紅薔薇丼「──どうも、初めまして」


元祖ツインテ妹「本日は、よろしくお願いいたします!」





ちょい悪令嬢「まあ、さすがはタチコ様、いつもながらに気品のあふれる立ち居振る舞いであられること」


メイ道「ユネコさんも、毎度のことながら、お元気そうですね!」


紅薔薇丼「いえいえ、わたくしごとき、ホワンロン王国筆頭公爵家の御令嬢の足下にも及びませんよ」


元祖ツインテ妹「ありがとう! 私、元気だけが取り柄なんです!」


ちょい悪令嬢「……えー、いきなりご本名を明かしてしまったら、わざわざHNハンドルネームを使っている意味が無くなるのですが、今回は【特別編】である上に、議題の内容を考えると、致し方ないこととも言えましょう」


メイ道「こう言っては何ですが、もろコバルト文庫の某作品に影響を受けたキャラ造形ですものね」


ちょい悪令嬢「何と言っても、王国の名前が『ガーリーコボルト』で、お二人が学ばれている学園が、『リリィーアンアン』なんですし」


メイ道「──つうか、そのものズバリじゃん⁉ もっとひねっておけよ、馬鹿作者が! 何が『リリィーアンアン』だ、絶対怒られるぞ、これ⁉」


紅薔薇丼「……わたくしとしてはそれよりも、このHNハンドルネームのほうを、どうにかして欲しいですわ」


元祖ツインテ妹「ほんと、安直ですよね、私のHNハンドルネームって」


ちょい悪令嬢「す、すみません、各種コンクールの締め切りが重なってしまって、作者としても、考える時間がなかったようで」


メイ道「ユネコさんのHNハンドルネームが安直なのは、まったくもってその通りで、ぐうの音も出ないのですが、タチコ様のHNハンドルネームのほうは、某ガチのロリコンラノベの、その名も『紅薔薇』というキャラの得意料理である、紅いショウガをまぶした豚バラ肉どんぶりの『紅バラ丼』を起源としております」


紅薔薇丼「そんなにマニアックなルーツがございましたの、このHNハンドルネームって?」


元祖ツインテ妹「いいなあ、お姉様。私のほうは、見たまんまなんですよ?」


ちょい悪令嬢「……いや、豚バラ肉どんぶり起源というのも、どうなんでしょうね」


メイ道「少なくとも、ゆりゆり美少女に付けるネーミングではありませんよね」


紅薔薇丼「……あの、わたくしのほうから話題を振っておいて何ですが、そろそろ本題のほうに入らなくてももよろしいのですの?」


元祖ツインテ妹「えー、お姉様、私はもっとみんなで、わいわい雑談していてもいいかなあ」


ちょい悪令嬢「あ、いえ、確かにそろそろ、本題に入ったほうがよろしいかと」


メイ道「コバルト文庫には、語るべき話題が、たくさんありますからね」


紅薔薇丼「ほう、どのような?」


元祖ツインテ妹「そこはやはり、『マリみて』ですよね!」


ちょい悪令嬢「もちろん『マリみて』は外せませんね」


メイ道「何せ今更になって、ゲストのお二人のようなキャラを設定するんですものね」


紅薔薇丼「実はこの作品は、タグの一番最初に『ガールズラブ』を持って来ていることからわかるように、ガチ百合小説を目指してスタートしたそうですね」


元祖ツインテ妹「特に私とお姉様なんて、そのテコ入れに生み出されたようなものだし」


ちょい悪令嬢「確かに『マリみて』の影響は大きいでしょうが、同じ今野緒雪先生の御作の、『夢の宮』シリーズも外せませんね」


メイ道「一応中華風王宮物語ってことになっていますが、これって結構エグい内容も多いんですよ」


紅薔薇丼「第3巻目の『古恋鳥いにしえこうるとり』なんて、近親○姦をテーマにしつつ、自傷シーンなんかが何度か出て来て、とても『マリみて』と同じ作者さんの御作とは思えないほどですわよね」


元祖ツインテ妹「この作品を含めて、コバルト文庫の諸作品によってこそ、本作の作者のシリアス面の代表的作風である、『狂気とエロス』が形作られたと言っても過言ではありませんから!」


ちょい悪令嬢「何せ作者の短編作品において、最も『狂気とエロス』度が高いと目される、『満月つき少年こどもたち』なんか、実は『コバルト短編小説賞』への応募作だったりしますし」


メイ道「しかもあれって、作者の自作の長編作品の中でも『平成最大の奇書』を謳い文句にしている、やはり作者にとっては最も怪作とも言える、『人魚の声が聞こえない』の原型だったりしますからねえ」


紅薔薇丼「まあ、コバルト文庫が、この作品の作者に与えた影響は、けして無視できないのは、確かですわね」


元祖ツインテ妹「コバルト文庫の休刊のニュースを聞いて、そのショックのほどはいかばかりか」


ちょい悪令嬢「……まあ、これも時代の流れというものでしょうかねえ」


メイ道「やはり、我々の予想以上に、現在の『出版不況』が、深刻だったと言うことでしょう」


紅薔薇丼「むしろ作者としても、Webを活動のメインにして、正解だったのではないでしょうか?」


元祖ツインテ妹「まあ、いつかは紙媒体での出版も目論んでいるのでしょうが、その前に紙媒体の出版そのものがなくなったりしてね♡」


メイ道「──ちょっ、やめてくださいよ、縁起でも無い!」


ちょい悪令嬢「……実際こうして、あの少女小説の代表的レーベルである、コバルト文庫が事実上の休刊状態になったのを鑑みると、あながち冗談とも思われませんので、少しでも出版界の景気を盛り返すためにも、作家志望者であり読者でもある我々こそが、一人一人地道に革新的作品の作成や、一冊でも多くの紙媒体の本の購入を、していくほかはないのかも知れませんわね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る