第110話、わたくし、ちょい悪令嬢ですの! その8、【連載110回記念】メリーさん、警視庁に行く⁉

ちょい悪令嬢「──というわけで、前回に引き続き、『ゲンダイニッポン』のトウキョウはサクラダモン、『警視庁』本庁舎前にやって参りました!」


アグネス聖下たん「だから、何が『というわけ』なのじゃ⁉」


メリーさん太「そして警視庁と言えば、ピー○くん。ピー○くんと言えば、都市伝説。都市伝説と言えば、あたし、メリーさんなの」


ちょい悪令嬢「ああ、そういえばありましたね、ピー○くんの都市伝説で、すごく有名なやつが」


アグネス聖下たん「……え? あったっけ、ピー○くんで、都市伝説とか」


メリーさん太「ほら、警視庁のマスコット人形であるピー○くんを、車の後部座席なんかに載せていると、警察官の対応が甘くなって、ちょっとしたスピード違反くらいなら、見逃してもらえるとかいうやつなの」


ちょい悪令嬢「そうそう、そんな感じでしたよね」


アグネス聖下たん「──何と、確かに警察は『家族主義』であることで有名で、身内に甘いという噂があったが、実際の取り締まりまでそんなことでは、問題ではないのか⁉」


メリーさん太「大丈夫なの、あたしが言うのも何だけど、文字通り、ただの都市伝説なの。──つまり、根も葉もないデマに過ぎないの」


ちょい悪令嬢「うおっ、メリーさん太さんが、自らの存在を全否定した、だと? ──まあ、それはともかくとして、実はこの噂って、ピー○くんが警視庁のマスコットとなった、30年ほど前から存在しているそうなのですが、もちろんただのデマですので、読者の皆様もけして真似をなさらないように」


アグネス聖下たん「あ、そうなのか?」


メリーさん太「間違いないの、本作の作者といえば、ミステリィ小説は門外漢のくせに、なぜかWeb小説界においてはトップクラスの、警視庁関係の事情通なの。何と以前所轄の交通課の係長(警部補)に直接聞いた時に、『そんなの単なるデマだよ』と、明言されたらしいの」


ちょい悪令嬢「それどころか、『ピー○くんなんかを車に載せていて、ついうっかり、何かと警視庁にライバル意識を燃やしている神○川県警の管轄に入ってしまうと、むしろ対応が厳しくなるぞ』とも、言われたらしいですわ」


アグネス聖下たん「……本当か、それ。むしろ、『神○川県警は警視庁にライバル意識を燃やしている』とか『よってピー○くんを車に載せていると対応が厳しくなる』とかいうことのほうこそ、都市伝説か何かではないのか?」


メリーさん太「実はそうとも言えないの。これは警視庁と、その他の道府県の警察本部との間に横たわっている、組織的問題なのであって、例えばいわゆる『成田空港建設反対闘争』が華やかなりしころは、千葉県警としては空港建設予定地の警備に、東京の警視庁の機動隊の応援を請わねばならず、そのうち自然と、『警視庁の警備部長から千葉県警察のトップである本部長になる』といった出世コースが出来上がり、以来警視庁と千葉県警の関係は非常に親密なものとなっているといった事実が、歴然として存在するの」


ちょい悪令嬢「そうなると、実は何らかの理由で、神○川県警が警視庁のことを(一方的に)ライバル視しているということも、十分あり得ますよね」


アグネス聖下たん「……お、おい、最初に疑問を呈した我が言うのもなんだが、こんなところでそのような込み入った話は、よしたほうがいいのではないか? ──ほら、さっきから正面玄関に立っているおまわりさんが、こっちを睨みつけているぞ?」


メリーさん太「大丈夫なの。あれは『庁警』と言って、警視庁本庁や各警察署等の入り口においては、必ず警察官が警備することになっているの。ちなみに警視庁の庁警を担当しているのは、警視庁所属の警察職員ではなく、本庁庁警を専門としている機動隊員なの」


ちょい悪令嬢「あの方も別にわたくしたちのことを不審がっているのではなく、あくまでもご自分の任務を遂行されているだけなのですよ」


アグネス聖下たん「──いいや、絶対不審がっておるわ! それだけは間違いないね!」


メリーさん太「……それは、異なことを。どうしてこんな愛らしい幼女三人組を、不審がる必要があると言うのやら」


ちょい悪令嬢「ああ、むしろ、一応はここもカスミガセキという、『ゲンダイニッポン』有数の官公庁街ですから、わたくしたちのあまりに場違いな、文字通りの別次元レベルの美幼女オーラに、目が釘付けになっておられるのですよ♡」




アグネス聖下たん「そりゃあ、目も釘付けになろうというものじゃろう⁉ この寒空の下で、年端もいかない娘が三人揃って、前回同様ミニスカサンタコスなんてしていたらな!」




メリーさん太「……確かに、今まで補導されていないことのほうが、奇跡みたいなの」


ちょい悪令嬢「場所柄だけでなく、私たちの髪や瞳の色のこともあり、どこかの大国の外交官の子女であるかもしれない疑いもあって、うかつに手を出せないのではないでしょうか?」


アグネス聖下たん「これがそれほどまでに奇抜なファッションであることがわかっているのなら、最初からするなよ⁉ いくら番外編とはいえ、我ももう完全に、『イロモノ』扱いではないか!」


メリーさん太「そんなことはないの、最近裏設定として、ロシア地方限定とはいえ、『サンタさんの孫娘』であることが判明したのだから、少なくともあなたにとっては、ミニスカサンタコスは正装みたいなものであり、堂々としていればいいの」


ちょい悪令嬢「そうですわ、よくお似合いだこと。聖下にはこれからも番外編においては、常にミニスカサンタコスで登場していただきたいほどですわ♡」


アグネス聖下たん「こんな格好をしなくてはならないのなら、番外編なぞ出なくてもいいわ! それに我の正装は、聖レーン転生教団の教皇としての法衣じゃわい!」


メリーさん太「むしろ年端もいかない幼女が、そんな本格的な格好をして、こんなところをうろついていると、怪しげな新興宗教の関係者として、公○にマークされてしまうの」


ちょい悪令嬢「かえってこのようなお遊び本意の格好のほうが、洒落として許してもらえますよ♡」


アグネス聖下たん「だから、もはや洒落のレベルになっていないのではないかと、言っておるのじゃ! そもそもただ単に本作の連載が110回に到達したくらいで、わざわざ『ゲンダイニッポン』の警視庁くんだりまで来なくてもいいだろうが⁉」


メリーさん太「もちろん、ここに来たのは、連載110回達成を言祝ぐためだけど、実はそれだけではないの」


ちょい悪令嬢「何を隠そう、メリーさんがどうしても、『ピー○くん生誕30周年記念展示会』を見てみたいと、おっしゃいましてねえ」


アグネス聖下たん「ああ、そういうことか、それなら我も納得…………いやいやいやいや、ちょっと待てい! 昭和62年に誕生したピー○くんの30周年記念イベントだったら、2017年に行われているはずじゃろうが⁉」


メリーさん太「もちろん、そうなの」


ちょい悪令嬢「だからこの、2017年のトウキョウに来たのではないですか?」


アグネス聖下たん「……え? 今って2017年なの? つまり我らは異世界転移とか転生とかではなく、タイムトラベルをしたわけ?」


メリーさん太「こ、こいつ、結構重要な登場人物のくせに、ちゃんとこの作品を、読んでいないようなの……(怒)」


ちょい悪令嬢「実は本作においては、異世界と『ゲンダイニッポン』との時間の流れの違い等の、作者独自の『俺ルール』など作ることなく、異世界と『ゲンダイニッポン』との双方共、お互いのいかなる時点へも転移できることとしております。それと申しますのも、実はこれは、現代物理学の根本をなす量子論に基づいても、非常に正しい見解なのでございまして、こうして我々が2017年のトウキョウに転移することができても、何も不都合は無いのです」


アグネス聖下たん「むっ、都合のいい時だけ、本編の設定を持ち出してきおって。だったら、そもそも当の本編では、同じく現代物理学の『質量保存の法則』に基づいて、人間が肉体そのものを伴って他の世界に転移する、異世界転移の類いはけして為し得ないとしているので、我らがこうして今この地にいること自体がおかしいのではないのか?」


メリーさん太「それについても、大丈夫なの。あたしたちは全員、都市伝説のようなものだから、その世界の人間が一人でも『いるかも知れない』と思ってくれるだけで、存在するが生まれるの」


ちょい悪令嬢「……まあ、わたくし自身、あまり認めたくないのですが、『メリーさん』や『サンタさん』同様に、今となっては『悪役令嬢』も、この『ゲンダイニッポン』においては、都市伝説のようなものですからね」


アグネス聖下たん「……今思いついたのじゃが、この作品の作者って、常に論理的な作品づくりをしているわけ、むしろ思いつき優先のいい加減な話づくりをしておいて、後から適当に屁理屈をこねて、いかにももっともらしく体裁を整えているだけではないのか?」


メリーさん太「──それは絶対に、言っては駄目なやつなの!」


ちょい悪令嬢「ほんと、あなた、そのうち消されてしまいますよ⁉」


アグネス聖下たん「──す、すまん、今のは無かったことにしてくれ。そ、それで、何でピー○くんの生誕30周年記念展示会なぞを、見に来たのじゃ?」


メリーさん太「スーパーピー○くんなの」


ちょい悪令嬢「……ああ、ちょっと前に、アニメになって、ネット等で話題なった、長身で筋肉質の、カッコいいピー○くんですね」


アグネス聖下たん「筋肉質の長身でカッコよかったら、それはもう、ピー○くんでは無いじゃろうが⁉ わざわざそんなのを見に、トウキョウまで来たわけなのか?」


メリーさん太「この際メリーさんもイメチェンを図って、筋肉質の長身になってみようと思うの」


ちょい悪令嬢「都市伝説的には、アリですね♡」


アグネス聖下たん「それは、都市伝説としての、方向性が違うじゃろうが⁉ いるよな、大阪とか札幌に、女装して『メリーさん』とか呼ばれている、おっさんが!」


メリーさん太「たとえ筋肉ムキムキの、おっさんになってもいいの。──ゴル○を倒すためだったら……ッ」


ちょい悪令嬢「まあ、また性懲りもなく、チャレンジなされたのですか?」


アグネス聖下たん「──待て待て待て、いきなり何の話なのじゃ、それって⁉」


メリーさん太「……今回はもはやなりふり構わず、掟破りの『壁抜け』の秘術を使って、やつの後ろをとろうとしたの。しかしもう一歩のところで気づかれて、手痛い一発を食らってしまったの」


ちょい悪令嬢「あらら、しばらくの間、額に絆創膏を貼っていたかと思ったら、弾痕だったのですか?」


アグネス聖下たん「え、ゴル○って普通、アサルトライフルなんかを、使つこうとるんじゃなかったっけ? 絆創膏を貼るだけで、大丈夫なの?」


メリーさん太「たとえ相手が国際的なスナイパーであろうとも、後ろをとることができなければ、『メリーさん』の名折れなの。そのためには、人体改造すらも厭わぬの!」


ちょい悪令嬢「人体ではなく、人形ですけどね。──ははあ、つまり最後の手段として力業で、やつの後ろをとるおつもりなんですね?」


アグネス聖下たん「ま、待て、筋骨隆々としたおっさん同士で後ろを取り合ったら、絵面的にマズくはないのか⁉」


メリーさん太「絶対に今度こそ、マウントをとってやるの!」


ちょい悪令嬢「なるほど、後ろをとった後は、そのまま組み伏せるわけなんですね?」


アグネス聖下たん「だから駄目だって! それだと完全に、別のジャンルの薄い本になってしまうぞ⁉」


メリーさん太「せいぜい、ケ○の穴をかっぽじって、待っているがいいの!」


ちょい悪令嬢「今度はこっちから、太い一発をぶち込んであげるのですね♡」


アグネス聖下たん「完全に、目的がすり替わっておるではないか⁉ しかも仮にも公爵令嬢が、はしたいのではないのか?」


メリーさん太「……では、行くの。──スーパーピー○くんのもとへ!」


ちょい悪令嬢「さあ、聖下も参りましょう!」


アグネス聖下たん「い、嫌じゃ! そんなアレな目論みに、我を巻き込むんじゃない! は、放せ、放すのじゃ! そこな警察官、幼い女の子たちが無邪気に戯れ合っているのを見るような、いかにも微笑ましげな顔などしていないで、助けてくりゃれ──!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る