第109話、わたくし、ちょい悪令嬢ですの! その7、異世界における『幼女』問題。

ちょい悪令嬢「──というわけで、『ゲンダイニッポン』のトウキョウはシブヤ、『1○9』にやって参りました!」


アグネス聖下たん「何が、『というわけ』なのじゃ⁉」


メリーさん太「そしてシブヤと言えば、なぜかあたし、メリーさんなの」


ちょい悪令嬢「なぜでしょうね? 昨年のハロウィン記念エピソード回の時、シブヤで何かありましたっけ? この作品基本的には、異世界ファンタジーなのに」


アグネス聖下たん「白々しいことを言うでない! というか、何で我までこんなところにいるのじゃ⁉」


メリーさん太「まあまあ、店先で騒ぐと、みんなの迷惑なの。ガードマンの方が、さっきからこっちを見ているの」


ちょい悪令嬢「いかにも1○9にふさわしくない、盗撮目的に三ヶ月ぶりに外出してシブヤくんだりまで来た、引きこもりのニート男なんかじゃない、可愛い仲良し女の子三人組なのにねえ」


アグネス聖下たん「こんな年端もいかず、しかも『ゲンダイニッポン人』離れした外見の、幼女三人組がシブヤの街中にいたら、誰でも注目するわ! ──それに我らは、別に仲良しではないからな⁉」


メリーさん太「相変わらずの、ツンデレなの」


ちょい悪令嬢「まあ、そこがアグネス聖下たんの、いいところなんですけどね♡」


アグネス聖下たん「勝手に人のキャラ付けをするでない! それに我を『アグネスたん』と呼ぶなと、何度言えばわかるのじゃ⁉」


メリーさん太「はいはい、天丼天丼」


ちょい悪令嬢「やはりアグネス聖下たんがゲストの時には、これがありませんとねえ♡」


アグネス聖下たん「何か我が、たった一つしか無い持ちネタを後生大事に使っている、いまいち本格的にブレイクできないままの、お笑い芸人みたいに言うな!」


メリーさん太「いやいや、気がつけば、ご覧の通りの、大勢の人だかりなの」


ちょい悪令嬢「ついに聖下が、芸人として、大成する日が来たのですわ!」


アグネス聖下たん「誰も芸人での大成なぞ、望んでないわ! それにこの人だかりは、別の理由のためじゃろうが⁉」


メリーさん太「別の理由?」


ちょい悪令嬢「……ですか?」


アグネス聖下たん「しらばっくれるでない! 我らのこの格好じゃ! 何ですでに今年も1月が終わろうとしているのに、シブヤのど真ん中で、三人揃って、ミニスカサンタコスなぞしておるのだ⁉」


メリーさん太「……ああ、それは、この作品の作者が、あたしのHNハンドルネームを変えるのが面倒くさくて、メリーさんが座談会形式のエピソードに登場する際には、常にミニスカサンタコスを着用するように決定したの」


ちょい悪令嬢「わたくしたちはただ単に、それにお付き合いしているだけですわ」


アグネス聖下たん「だからって、我まで巻き込むでない! 見ろ、今この瞬間も、大勢の一般市民の皆様からスマホで撮られて、インスタに上げられてしまっておるではないか⁉」


メリーさん太「……むう、確かに、都市伝説としては、あまり好ましい状況ではないの」


ちょい悪令嬢「ではさっさと、店内に入りましょう」


アグネス聖下たん「本当に入るつもりなの⁉ ただ単に第109回目の記念として、ちょっと店先にやって来ただけじゃなかったのか⁉」


メリーさん太「実は今回この幼女三人組で集まったのには、ちゃんと意味があるの」


ちょい悪令嬢「そうなのです、実はこれも、『異世界裁判』の一環なのです」


アグネス聖下たん「……何じゃと?」


メリーさん太「そもそも、異世界系Web作品における『幼女』とは、非常にシビアな問題をはらんだ存在なの」


ちょい悪令嬢「何せ、『ゲンダイニッポン』と『チュウセイよーろっぱ』的世界観の異世界とでは、ただでさえ『幼女』の扱いに大きな差異があるというのに、Web小説における『ロリキャラ』礼賛の風潮が、更に問題を複雑化しておりますからね」


アグネス聖下たん「……ああ、特に王侯貴族の娘の適齢期を始めとして、社会観や倫理観や宗教観において、文字通り別世界レベルの違いがあるからな」


メリーさん太「しかも『ゲンダイニッポン』のほうは、成人年齢の18歳への引き下げのどさくさに紛れて、女性の結婚年齢の最低限を16歳から18歳に引き上げようとするといった、ますます少子化を促進しかねない、暴挙に打って出る有り様なの」


ちょい悪令嬢「……女性16歳結婚制度は、『ゲンダイニッポン』における、数少ない美徳でしたのにねえ」


アグネス聖下たん「ただそうは言っても、『チュウセイよーろっぱ』あたりで低年齢の女性の結婚が推奨されていたのは、王侯貴族では『政略結婚』を、一般庶民では『口減らし』を、それぞれ目的にしていたとも考えられて、我が子でありながら女というだけで、『道具』や『厄介者』として扱っていたという、悪しき風習とも言い得るぞ?」


メリーさん太「確かに、やはり異世界転生モノの主な舞台の一つである、『センゴク時代』においても、似たようなものなの」


ちょい悪令嬢「そう考えると、Web小説界隈の男女を問わぬ『ロリコン紳士』の皆様は、諸手を挙げて賛同なさるわけにはいかないでしょうね」


アグネス聖下たん「……しかし、Web小説においてはラノベほどでは無いものの、あえて男女間の『結婚問題』は避ける傾向にあるから、あまり気にする必要は無いとも思われるんじゃがのう?」


メリーさん太「違うの、これは言わば『合法ロリ』の、亜流的問題なの!」


ちょい悪令嬢「そうなのです、つまりロリが合法的に結婚できる世界観にある、異世界系作品であれば、『ゲンダイニッポン』ではとても許されないようなムムムな行為を、ロリキャラ相手にやってしまうという、ムフフ♡なイベントシーンを、果たして描写可能かどうかが、問題なのです!」


アグネス聖下たん「それは駄目に決まっておろうが⁉ たとえ『チュウセイよーろっぱ』を舞台にしようが『センゴク時代』を舞台にしようが、その作品を発表するのが『ゲンダイニッポン』のWebサイトだったら、『ゲンダイニッポン』の法律や社会倫理に従うべきなのじゃ!」




メリーさん太「……むう、やっぱりそうなのか、なの」


ちょい悪令嬢「アグネス聖下たんの言われる通り、結局はそれぞれの創作サイトの倫理規定や作家様の良識に、従うしかないようですねえ。──ふう〜、思ったよりあっさりと結論が出てしまいましたが、さすが腐っても宗教組織のトップ、頭が固くて融通の利かないご意見、どうもありがとうございました」




アグネス聖下たん「頭が固くて融通が利かなくて、悪かったな⁉ それに我は別に、腐ってはおらぬわ!」

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