第101話、わたくし、『ちょい悪令嬢』になりましたの。【100回記念特別編】(その2)
ちょい悪令嬢「──さて、今回も前回に引き続き、連載第100話達成を記念して、本作の成り立ちやこれまでの経緯についてはもちろんのこと、これからの展望についても熱く語り合っていく、『ボイスチャット座談会特別編』の第2回目を、
ちょい悪令嬢とかませ犬以外の全員「「「わーわーわー! ドンドンパフパフ! パチパチパチ!!!」」」
ちょい悪令嬢「具体的には、まさしく記念すべき100回目の直前に公開された、第96話から第99話までの、いわゆる『乙女ゲームの世界に転生したつもりになっていても、別に何から何までゲームの知識通りにいくとは限らないんだぞ?』こそをフィーチャーした、一連のエピソードについての反省点と補足説明とを、皆さんと熱く事細かに述べ合っていこうと思っておりますので、どうぞ忌憚なきご意見や御指摘等をよろしくお願いいたしますわ」
かませ犬「……ちょっと、いいか?」
ちょい悪令嬢「あ、はい、何でしょう、かませ犬さん?」
かませ犬「俺たちのような何かと面倒な連中を無難にまとめ上げながら、毎回文句一ついわずに一生懸命司会役を務めてくれているというのに、こういったことを言うのも、はばかれるんだけどよ」
ちょい悪令嬢「はあ」
かませ犬「今回のような、すでに毎度お馴染みの『ボイスチャット座談会特別編』って、大体冒頭部はいつものごとく、ほとんど同じ流れじゃん?」
ちょい悪令嬢「あ、はい、そうですね」
かませ犬「──それでさ、『本作の成り立ちやこれまでの経緯についてはもちろんのこと、これからの展望についても熱く語り合っていく』というように、本作全体の総括を行うことを宣言しておきながら、まさに今おまえが言ったみたいに、『具体的には、第96話から第99話までの一連のエピソードについての反省点と補足説明とを、皆さんと熱く事細かに述べ合っていこう』ということで、実際には個々のエピソードについて語っていくようになってしまっているのは、どうなのよ? 一体いつになったら本当に、『本作の成り立ちやこれまでの経緯やこれからの展望』について、語り合っていくわけ?」
ちょい悪令嬢「……あー、そういうことですかあ」
メイ道「まあた、重箱の隅を突くような、細かいことを指摘してからに」
真王子様「もはや『王子様』では無く、『お姑様』そのものだな」
ジミー「いやでも、かませ犬の発言にしては、割とまともだと思うよ?」
妹プリンセス「そうですわね。今年に入ってからの、【新年特別編】でも【100ポイント達成特別編】でも前回の【PV20000アクセス達成特別編】でも、結局本作全体についての総括みたいなことは、やらないままでしたからからね」
かませ犬「──ていうことなんだけど、そこら辺については、どうなっているんだよ?」
ちょい悪令嬢「え、ええ、確かに、かませ犬さんたちのおっしゃる通りです。司会者として至らぬ点が多々あったことについては、心より反省いたします」
かませ犬「……反省するってことは、今回こそは予定を変更してでも、作品全体についての総括を行うわけなんだな?」
ちょい悪令嬢「ご安心ください! 少なくとも今回については、このまま予定通りに進行しても、何も問題ありませんから!」
かませ犬「……何だと?」
ちょい悪令嬢「実はですねえ、今回の第96話からのエピソードについては、作者ったら作成直前まで、プロットどころか何のアイディアも無かったんですよ」
かませ犬「はあ⁉」
ちょい悪令嬢「100話直前の大事な時に、一体何やっているんでしょうねw」
かませ犬「いやいや、笑い事じゃないだろう⁉ 例の『
ちょい悪令嬢「それが文字通り『刺激を受けた』だけで、生憎と何か新しい発想とかには、結びつかなかったそうです」
かませ犬「何で⁉」
ちょい悪令嬢「ほら、元々『悪役令嬢』
かませ犬「……あー、なるほど」
ちょい悪令嬢「特に『婚約者の王子様キャラ』を、ディスってハブっていじめ抜くところなんかね♡」
かませ犬「──おいっ⁉」
ちょい悪令嬢「そこで、『いっそここは基本に立ち返ってみるべきでは?』と思ったようで、むしろ『悪役令嬢』
かませ犬「……ああ、方向性に迷ったイロモノ作家が、文字通り『溺れる者は藁をもつかむ』的に、やりそうなことだよな」
ちょい悪令嬢「そしてそのまま、迷走したりしてねw」
かませ犬「いや、迷走したら駄目だろうが⁉」
ちょい悪令嬢「それで新作旧作にかかわらず四、五作ほど読んでみたところ、思いも寄らず発見してしまいましたの、代表的作品であるからこその、『アラ』というものを」
かませ犬「『アラ』だと?………………………………………なあ、この話題、この辺でやめておかないか?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、面白くなるのは、むしろこれからですよ?」
かませ犬「面白くないよ⁉ むしろ、面白いかどうかとかいう話でもないよ! お願い、やめてえ! 少なくとも、俺を巻き添えにしないでえ!!!」
ちょい悪令嬢「いえいえ、共に地獄に堕ちましょうよ、元婚約者同士ではありませんか♡」
かませ犬「何か字面だけだと、凄絶な純愛物語みたいだけど、騙されないからな⁉ もうこの作者の、他作品ディスり手法には、つき合いきれないんだよ!」
ちょい悪令嬢「……チッ、いじられキャラのくせに、こざかしくも知恵をつけやがって」
かませ犬「誰が、『いじられキャラ』だよ? それにおまえ自身も、もはやキャラ崩壊寸前だぞ⁉」
ちょい悪令嬢「……失礼いたしました。いや、真面目な話、この代表的作品なればこその『アラ』については、本作の根本的原理にも関わってきたりするんですよ?」
かませ犬「本作の、根本的原理って……」
ちょい悪令嬢「例えば、『未来には無限の可能性があり得る』とか、『たとえゲームや小説そのままであっても、自分が現在存在している世界こそが唯一の現実である』とかですね」
かませ犬「……ああ、いつものやつだな。それが『悪役令嬢』
ちょい悪令嬢「ええ、特に『乙女ゲームの世界への転生』パターンのやつなんか、てきめんですね」
かませ犬「確かに今回のエピソードは、それを主なモチーフにしていたな」
ちょい悪令嬢「それというのも、私今回大発見をしたんですよ!」
かませ犬「はあ? 大発見て、代表作を読んでいてか? もはやスタンダードと言っても過言では無い、そこいらのレベルになると、その魅力や特色は、あらかた語り尽くされているんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「
かませ犬「……うん、『悪役令嬢』ジャンルそのものが、まさしく『日進月歩』そのままに進化し続けていることについては、確かに否定できないな。──それで、おまえは今更代表的作品において、何を発見したと言うんだ?」
ちょい悪令嬢「『名探偵』、ですよ」
かませ犬「………………は?」
ちょい悪令嬢「『名探偵』、なんです」
かませ犬「め、名探偵って、一体何が?」
ちょい悪令嬢「もちろん、『悪役令嬢』
かませ犬「はあ⁉」
ちょい悪令嬢「もちろんここで言う『名探偵』とは、法令的に『事件を捜査する権限を持つ探偵』なぞ存在し得ない『ゲンダイニッポン』の私立探偵の類いは論外として、欧米において現実に存在している『名探偵』でも無く、
かませ犬「……はあ」
ちょい悪令嬢「つまり、ミステリィ小説家にとっての、御都合主義的操り人形であり、
かませ犬「──おいっ⁉」
ちょい悪令嬢「昔読んだ作品に、長野を舞台にしたミステリィものがあったのですが」
かませ犬「勝手に話を進めるな! ──しかも、何かすっごくヤバそうなのを!」
ちょい悪令嬢「長野を舞台にした作品なのに、主人公の女探偵が、依頼人を一目見ただけで、『そのお洋服は東京の名店のプレミアム品だから、あなたは東京から来られたのでしょう?』とかいった、いかにも『ホームズ』もどきの一目見ただけで千里眼的名推理を得意になって開陳するのがあったんですけど、別にそれって、名推理でも、豊富な知識による分析結果でも、綿密な調査によるものでも無く、──あくまでも! 作者自身がでっち上げた! 『
かませ犬「──わ、わかった! わかったから! お願い、落ち着いて! そ、そうだよな! そもそも『名探偵』とか『名推理』とかなんて、そのミステリィ小説の作者自身が考え出したものなんだから、作者の考えた事件において、作者が創り出した『名探偵』が、鮮やかなる『名推理』を駆使して解決するなんて、できて当然の茶番劇だよなあ!」
ちょい悪令嬢「……失礼いたしました。つい取り乱してしまいました。わかってくださるのなら、それでいいのです」
かませ犬「いやでも、たかが小説のことぐらいで、何でそんなにムキになるんだよ?」
ちょい悪令嬢「他ならぬ我々が、『たかが小説のことぐらい』などと言うこと自体が、『墓穴』を掘っているに他ならないことについて、小一時間くらい語り合いたいところですが、今回は大目に見て差し上げるとして、なぜ先程あんなに激高したかについて申すならば、何よりも私は小説を読むことで、『馬鹿にされたくない』からですよ」
かませ犬「……読むと馬鹿にされる、小説だと?」
ちょい悪令嬢「果たして今時の読者の方で、先程の『いかにもホームズもどきの千里眼的名推理』を読んで、素直に感服してくれるような奇特なお人が、一人でもおられるでしょうかねえ?」
かませ犬「う〜ん……確かになあ。これほど先鋭的なラノベやWeb小説なんかが蔓延している現状にあって、あれはないよなあ」
ちょい悪令嬢「それこそが、『読者を馬鹿にしている』、と言うのですよ」
かませ犬「いや、その作者の人だって、そんなつもりではないんじゃないか?」
ちょい悪令嬢「甘い! もはや現在のWeb上においては、小説なんかよりももっと刺激的で面白い、ヌコヌコやユーチューバッカ等の『動画』や、漫画やイラスト等の『静(止)画』が、無料で楽しめる時代なんですよ⁉ いつまでも大昔の『大文豪』気取りで、読者を見下して不快にさせる作品なんて創り続けているロートル作家を野放しにしていたら、ただでさえ深刻なる読者離れが続いている、小説界そのものが瓦解しかねませんよ⁉」
かませ犬「わかりました! わかりましたから! それで、そのことと、『乙女ゲーム転生系の悪役令嬢
ちょい悪令嬢「……いいですか? 私がこれから述べる、『かなりキツい話』は、ただ今申しましたように、不用意に『読者を侮った作品』を乱造し、『悪役令嬢ジャンル』そのものを見放されないようにするために、心を鬼にして進言するのであって、別に何の根拠も無いディスり行為なんかじゃないのですからね?」
かませ犬「うわあ、心の底から、聞きたくねえ〜」
ちょい悪令嬢「今回読み返した代表的な『悪役令嬢』
かませ犬「ゲームの知識だけで、いかなる問題も解決するだと?」
ちょい悪令嬢「話によると、転生前の『ゲンダイニッポン人のOL』として散々やり込んで裏設定集すらも読み込んだ、乙女ゲームの中に転生したものだから、すべてのキャラクターの行動原理はもちろん秘められた裏事情や、自分や身の回りの人々や世界そのもののこれからの行く末に、王侯貴族や国家そのものが抱えている秘密等々、あらゆることが先刻承知なのであって、その結果、たかが世間知らずの一学生に過ぎない主人公が、まさしく『名探偵』そのままに、『この俺様にとっては、この世に謎など、一つもありゃせんわ!』と言わんばかりに、あらゆる難事件を解決したり、強大な魔物や敵国を思わぬ方法で叩きのめしたり、本来
かませ犬「……うわあ、いわゆる『過去にタイムトラベルして、宝くじや競馬で大儲け!』の、代表的な悪例だな」
ちょい悪令嬢「もちろん、現実に異世界転生や過去へのタイムトラベルをしたことはないだろうから、わからないとは思いますけど、本当に異世界や過去の世界に行った瞬間に、『ゲンダイニッポンの記憶や知識』なんてものは、途端にあやふやなものとなって、いつまでも宝くじの番号や、ゲームの中の特定の詳細な裏設定なぞ、覚え続けることなんかできないんですけどねえ」
かませ犬「『私はこのゲームのことを、他の誰よりも愛しているから大丈夫だ!』、なんて思っていても、実際に異世界転生したりするといった異常な状況下におかれてしまえば、ゲームの知識なんか、すぐにあやふやなものになってしまうと思うけどな」
ちょい悪令嬢「……仕方ありませんよ、小説家といえども、実際に異世界転生やタイムトラベルを体験なさった方なぞ、一人たりとておられず、それこそゲームの知識や、実は
かませ犬「……現在の小説のほとんどが、『間違った答案用紙のカンニング』の繰り返しに過ぎないことを、一体いつになったら気づいてくれるんだろうな」
ちょい悪令嬢「でもせめて、自分の作品の主人公の気持ちぐらい、理解しながら作品を創っていただきたいものですわ。あなた自身は本当に、ゲームの世界なんかに転生して、常に平常心を保ちながら、『ゲームの知識』なんていうあやふやなものを利用して、『ゲンダイニッポンのOL』にとってはまったくのお門違いの王侯貴族の世界の中で、大活躍できるとでも思っているのですか?」
かませ犬「……うん、これ以上この方向で話を進めても、誰も幸せになれそうにないから、さっさと本題に行こうじゃないか?」
ちょい悪令嬢「そ、そうですわね。いけません、またしても熱くなっておりましたわ」
かませ犬「それで、おまえは『乙女ゲームへの転生系悪役令嬢
ちょい悪令嬢「というか、『そのものズバリ』、ですよ」
かませ犬「……そのものズバリ、って?」
ちょい悪令嬢「そもそもですねえ、この作品得意の量子論とか集合的無意識とかの、最先端の物理学や心理学を持ち出してくるまでもなく、ごく普通の一般常識的に、『乙女ゲームの世界に転生すること』自体が、あらゆる意味で不可能なのです」
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
ちょい悪令嬢「……ええと、このまま終わってしまうと、非常にアレですので、少々補足説明をしておきます」
かませ犬「そうだな、今回はいくら何でも、暴走しすぎだよな」
ちょい悪令嬢「『ゲンダイニッポンで覚えたゲームの知識』なんて、すぐにあやふやになってしまうから、まったくと言っていいほど役に立たない──などと申しましたが、それに対してちゃんと『工夫』さえすれば、いつまでも正確な情報を保つことができるのです。少なくとも、本作においては可能です」
かませ犬「つまり得意の、『集合的無意識とのアクセス回路を常に開いた状態にする』わけだな?」
ちょい悪令嬢「そうです、これによって『ゲームの知識』に限らず、『ゲンダイニッポン』のあらゆる情報が、常に照会できるようになります」
かませ犬「つうか、本作においては、生粋の異世界人が常に集合的無意識とのアクセス回路を開いているからこそ、自分が『ゲンダイニッポンからの転生者』であるという、
ちょい悪令嬢「こういうふうに、作品ごとにちょっとした工夫を施すだけで、本来不可能と思われていることでも、可能とすることができるのです」
かませ犬「駄目なのは、それが『間違った答案用紙』であるかどうかを検証しないままに、先人の作品を
ちょい悪令嬢「そうです、何も
かませ犬「まあ、一応本人には悪気は無いようですので、ここは一つ、広いお心で、大目に見ていただきたいかと存じます」
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