第37話、わたくし、『ちょい悪令嬢』になりましたの。【ハロウィン編反省会】(その2)
ちょい悪令嬢「──はいっ、前回一回こっきりで終了したかのようにお送りいたしました、【ハロウィン編】についての反省会コーナーですが、実は何と重要な
かませ犬「──ええっ、そうなの⁉」
ちょい悪令嬢「おや、かませ犬さん、何ですか? また何か、クレームでも?」
かませ犬「……い、いや、今回の
ちょい悪令嬢「は?」
かませ犬「え?」
メイ道「……また、このボケボケ王子は」
真王子様「我が弟ながら、情けない……」
ジミー「まさに自分こそが、『当事者』のくせに」
妹プリンセス「一国の次期国王としては、問題意識が無さ過ぎるのでは?」
かませ犬「……え、いや、ええっ? 俺が当事者って、何かあったっけ?」
ちょい悪令嬢「──ったく、『ゲンダイニッポン』ですよ、『ゲンダイニッポン』。第33話から突然、舞台が『ゲンダイニッポン』に変わったではありませんか? そのご説明を、読者様に対してはもちろん、当事者であるあなたに対しても、まったくしていなかったでしょうが?」
かませ犬「あ、それか! ……で、でもよ」
ちょい悪令嬢「でも?」
かませ犬「──それって、『夢』じゃなかったのか?」
かませ犬以外の全員「「「は?」」」
かませ犬「いやそもそもが、俺ってこっちの世界での『ハロウィン』の当日に、『メリーさん』の扮装しているアルから迫られて、本物だと思い込んで気絶してしまったわけじゃないか?」
ちょい悪令嬢「……はあ、その節は大変失礼いたしました。まさか高等部生にもなって、あのような仮装くらいで、本気で驚かれるとは思いませんでしたので」
かませ犬「──ぐっ、い、いや、おまえにばかり責任があるわけじゃねえ。あの時弟の第二王子が、『PV5000アクセス突破記念の今回に、「メリーさん」が登場するのには、重大な意味がある』とか何とか脅すものだから、てっきり本物だと思ってしまってな。それで気絶していた間に、『ゲンダイニッポン』においておまえそっくりの『メリーさん』が無数に出て来る夢を見たのも、気絶する寸前のショックの影響によるものだと思っていたんだよ」
ちょい悪令嬢「ああ。そういう……」
メイ道「ま、それでは、仕方ないかも知れませんね」
真王子様「何せ、異世界転生や転移は、
ジミー「しかし、それほどのアドベンチャーを体験しておいて、現実世界のショックから見た夢に過ぎないと思い込むなんて」
妹プリンセス「相変わらず、ヘタレですわねえ……」
かませ犬「──待て待て待て待て待て待てーいっ!」
ちょい悪令嬢「な、何ですか、いきなり大声を出されたりして?」
メイ道「近所迷惑ですので、おやめください」
かませ犬「
真王子様「どういうことと、言われてもな」
ジミー「まさしく文字通りに『文字通り』としか、言えないけど?」
妹プリンセス「何か問題でも、ございますのでしょうか?」
かませ犬「いやね、『ゲンダイニッポン』で、あたかもこっちの世界そのものが、『小説の中の出来事』であるかのようなことを、少年執事から言われたんだよ」
ちょい悪令嬢「ほう」
かませ犬「少年執事、ですか?」
かませ犬「そこに食いつくなよ⁉ ──ていうか、
メイ道「えっ」
かませ犬「それでなぜだか、おまえに『よろしく』と伝えてくれとも、言っていたな」
メイ道「……ああ、なるほど、だから『小説の中の出来事』って、わけですか」
かませ犬「何か心当たりでも、あるのか?」
メイ道「ええ、これまでもこのコーナーにおいては幾度となく、私たちの目の前にある『現実世界』と、それ以外の『異世界』等の関係について、現時点においては『現実世界』以外にはいかなる世界も並行して存在しておらず、一瞬後の未来においてのみ、あくまでも『可能性としての世界』である『一瞬だけの時点』が、『静止状態』で存在しているに過ぎないってお伝えしましたよね?」
かませ犬「あ、ああ」
メイ道「これって、ちゃんと理解できました?」
かませ犬「正直言って、全然。
メイ道「まあ、そう思われるのも無理はないかと思いますが、──だったら、少々『メタ』っぽくなりますけど、もっとわかりやすく言い直しましょうか?」
かませ犬「め、メタっぽくって……」
メイ道「──実は、現実世界か異世界かにかかわらず、世界というものはそれぞれ、『一冊の小説』のようなものとも見なせるのです」
かませ犬「…………………………は?」
メイ道「そしてその『小説』を書き換える力を持っていれば、現実世界か異世界かを問わず、世界そのものを改変することができるのです。──これこそがいわゆる、これまたこれまでに何度も話題に上ったことのある、『作者』あるいは『語り部』における、
かませ犬「待て待て待て、こっちが全然理解してないうちから、勝手に話を進めようとするなよ⁉ ──何だって? この現実世界や異世界が、一冊の小説みたいなものだって⁉」
メイ道「あら、不思議に思われなかったのですか?」
かませ犬「へ? ふ、不思議って……」
メイ道「転生教団の教皇様が、この世界に居ながらにして、『ゲンダイニッポン』に『転生者』を送り込んだり、何度も『
かませ犬「…………あ」
メイ道「以前、『悪役令嬢バトルロイヤル』の際に、メツボシ帝国のヨウコ皇帝が『なろうの女神』の力を借りて、『ゲンダイニッポン』の方々を『転生』させたり『
かませ犬「……い、言われてみれば、まさにそうだよな。いくら世界宗教の総元締めとはいえ、よその世界にまで影響を及ぼすことができるなんて、もはや人間業じゃないだろう。──第一おまえらの話じゃ、世界というものは、けして複数同時に並列して存在してはいないらしいから、リアルタイムにコントロールすることは絶対不可能だろうしな」
メイ道「そこで、『作者』としての
かませ犬「転生教団の教皇って、そんなことまでできるのかよ⁉」
メイ道「おそらく彼女は、『作者』に類する力をお持ちなんでしょう。──いやむしろ、『作者』的力を持っているからこそ、
かませ犬「お、おい、転生教団ってのは、ホワンロン王国──中でも特に、『
メイ道「ああ、それは大丈夫です。いくら『作者』とはいえ、自分が現に存在している世界を改変することはできませんから」
かませ犬「へ?」
メイ道「というか、自分にとっての現実世界以外の他の世界──この場合は『ゲンダイニッポン』についても、厳密には改変しているわけではないのです。なぜなら、たとえ神様であろうが、その世界を創った
かませ犬「神にも
メイ道「お忘れになったのですか? この世界の一瞬後には、『すべての世界』がルート分岐先の未来として、揃って待ち構えていることを。そこには今回で言うところの、『改変後の世界』すらも存在しているのです。──そう、世界というものは、けして改変されるものではなく、最初から『改変前の世界』と『改変後の世界』との両方が、揃って存在しているだけなのです」
かませ犬「なっ、『改変後の世界』も、最初から存在しているだと? ──い、いやでも、今回の場合、転生教団の教皇が『作者』的な力を使って、『ゲンダイニッポン』を書き換えたからこそ、世界の改変が新たに為されたんじゃないのか?」
メイ道「実は元々小説というもの自体が、複数の世界の集合体のようなものなんですよ。毎度お馴染みの量子論の多世界解釈によれば、小説もれっきとした、無限に存在し得る『現在の現実世界とは別の可能性としての世界』──いわゆる『多世界』の一つですし、しかも小説においては加筆修正することが前提となっていますので、世界というものが改変不能──つまりは書き換え不能であることより、小説そのもの自体が、無数の多世界の集合体──これまたお馴染みのユング心理学で言うところの、『限定された集合的無意識』であり得るのですよ」
かませ犬「……ということは、俺が一時的に転生した、『ゲンダイニッポン』って」
メイ道「教皇様の意思にかかわらず、最初から『転生者』が襲撃してきたり、『
かませ犬「いや、それはおかしいだろ? 何で教皇の意思を度外視して、
メイ道「おや、忘れてもらっては困りますよ、そもそも『転生』や『
かませ犬「──うっ、そういえば、そうだった」
メイ道「そう、あくまでもすべては、現実の話でしかなく、異世界だのといった他の世界や、超常の力を有する世界宗教の教皇様なんて、存在そのものを無視しても構わないのです。──その『少年執事』君も、おっしゃっていたのではありませんか? 世界が確かに現実のものなのか、あるいは小説のような
かませ犬「──っ。確かにあいつ、そのようなことを言っていたけど、やはりおまえとあいつには、何らかの関係があるわけなのか⁉」
メイ道「ふふふ、さあて、どうでしょう? 一応今のところは、秘密とさせていただきます♡」
かませ犬「ひ、秘密って」
メイ道「──それにそもそも、こうしていきなり【ゲンダイニッポン編】を投入したのも、あくまでも『なろうコン』と『カクヨムコン』との両方への応募を見据えての、本作の派生作案の試験的エピソードに過ぎず、実のところはそんなに深い意味は無かったりするのですからね♡」
かませ犬「──また最後の最後で、ぶっちゃけたな、おい⁉」
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