第26話

ある日夕飯を作っているとしおりが手伝いたいと言ってきた

もうこの生活を続けて半年程になるが初めてだった

「秀くんの見てたら手伝いたくなったんだ」

「そう?じゃあ肉をこねてもらおうかな」

「そんな簡単そうなやつー?」

不満げな顔をしている

「肉もこねれんやつには何も作れん」

「はーい」

しぶしぶ始めたくせに一生懸命やっている

自分も作業をしながら彼女をみていた

そういえば夢にも出たなしおりと料理する






やっぱり違うんだな

半年気付かない振りをしていたけどやっぱりしおりじゃない

何度言っても服は脱ぎっぱなしでハンガーにかけないし

リモコンはいつもの場所に置かないからよくなくなるし

電気はつけっぱなし

今だって脂っぽくなった手でいろんなとこベタベタ触る



でもその全てが愛おしい

彼女はしおりじゃない

ひかりだ

俺は罪悪感のフィルターをそっとはずした


「ひかり」


「しおりでしょー?」


「いやひかりだよ

しおりじゃなくてひかりに話してる」

「どうしたの?」

「俺、ひかりが好きだよ」

「ダメだよだって秀くんはしおりさんが好きでひかりは」

「俺はひかりを愛したい」

「私、モブキャラだよ」

「何いってんだ他の誰が何と言おうとひかりはヒロインだろ」

「私がヒロインの物語は終わっちゃったんだよ」




「じゃあ、また始まるんだよひかりがヒロインの物語が」




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