第84話 鱗の戦士団

「付与魔法についてかい?」


北門でテエワラと待ち合わせ、出発して早々にまず一番訊きたいことを訊いた。


「俺の魔法は独学でな。付与魔法というのはよく知らないんだ」

「ふぅん……ま、少しなら教えてあげるけどね。あたしに何が出来るかも知っておいてもらいたいし」


テエワラの説明によると付与魔法というのは、他人や物に介入して現象の結果を発生させる、一連の魔法のことを言うらしい。難しい。

付与魔法というのをどこかで聞いたと思っていたら、サーシャに飲んでもらっている薬のことを思い出した。

あれは、薬という「物」に『性術士』の魔法の効果を発生させる性質を転写したものということになるらしい。


「結果を発生させる、というのが良く分からないな……普通の魔法も『火を出す』とか、相応の結果が発生するものだろう」

「そうなんだけどね。だから、初歩的な付与魔法は普通の『魔法使い』でも可能だよ」


例えば火魔法。

誰かに向かって火を放てば、ダメージを与えるだけでなく当たった皮膚を火傷させる。

いわば、この「火傷させる」の部分を抽出すれば、ある種の付与魔法とも言える。

もっとも、厳密な定義はともかく一般的に付与魔法であると認められるためにはもちろん不足だ。


「火傷させる」部分に着目し、自分の魔力を火の性質を持つように変質させ、「火傷」という身体的異常を発生させることに特化させることが出来れば、付与魔法と言えるかもしれない。

とのことだ。

そういった「マイナスの影響を与える」付与魔法は「呪術」と呼ばれるのだとか。


『付与魔法士』は一般的には自分や味方にプラスの効果を与えるイメージがあるが、理論上は呪術も付与魔法の一種なのだとか。

なるほど、先ほどの「火傷する」という結果ではなく、もっと効果を抑えて「身体を温める」ことに特化した魔法にすれば、プラスの付与魔法ということになるのだろう。


「難しいな……この辺は家庭教師や学校で魔法を習う連中にとっては常識なのか?」

「うーん……あたしはそう思うけど、良く分かっていない輩も多いからね。最近の若いのは」


いつ、どこの世でも「最近の若いの」は不勉強を責められるな。ちょっとクスッとした。


「なんだい?」

「いや、なんでもない。それで、聞いていると付与魔法というのもかなり奥が深そうというか、色々ありそうに聞こえるんだが。テエワラはどういう戦い方をするんだ?」

「そうだね、そこが重要だよねぇ。基本的には牽制と、ステータスアップを担って、後は身体回復力を高めたり、適切なサポートを入れるって感じだね。多少は短剣も出来るよ」

「ほう。ステータスアップというのは?」

「知らないのかい? ああいや、『付与魔法士』に会ったことがないんだったね。『付与魔法士』で覚えるスキルとして、ステータスに介入する類のものがある。単純にステータス補正値が上がるものとかね。もちろん、一時だけど」


なるほど、ネットゲームなどの典型的なバッファーという感じだな。

味方のステータスを上げる魔法を使う。まさにそうだ。


「デバフ……呪術の方は使わないのか?」

「いや、使えるよ。『付与魔法士』としてやれることは一通り修めているよ」

「優秀だな」

「まあね」


謙遜することもなく胸を張った。レベルはいくつなんだろう。


「とりあえず試しに、疲れにくくなる魔法を使ってやろうか」

「そんなことも出来るのか? じゃあ、1つ試しに、頼む」

「はいよ」


テエワラは懐から短めの杖を取り出し、こちらに先端を向けると軽く振る。赤い点のような光がいくつも生まれ、ヨーヨーとサーシャを包んで消える。


「これで終わりか?」

「そう。単純に持久のステータスを上昇させただけだけどね。1時間程度で自然に解けるから、とりあえずしばらく走ろうか」

「……了解」


そうして唐突な駆け足が始まり、1時間ぶっ通しで走り続ける羽目になった。

結果としては確かに疲れ辛い……気がする。

さすがに1時間は長かった。何とか走れたが、めちゃくちゃキツい。荷物を背負いつつ、だぞ。


「なかなか体力あるじゃないか」


自身にも魔法を掛けたのかは分からないが、テエワラは余裕そうな態度で笑みを浮かべていた。



************************************



道脇の藪を切り払って、土魔法で椅子というか土の塊を造って休憩する。

街道そばだし、そこまで危険はないはずだが、サーシャはラムザに習った音の罠をせっせと設置していた。


「それにしても魔物に出くわさないな……街道回りはこんなもんか?」

「いや、どうだろうねぇ」


テエワラは持参した巨大おにぎりをムシャムシャとやりながら首を傾げる。

俺たちはサーシャのチョイスした謎の粉団子だ。材料は聞いていないが、美味いから問題ない。


「普段は軍の連中は、あんまり街道とか関係なしだね。そっちは通る者が対処すれば良いって感じでさ」

「魔物を狩るってのが、テーバ地方にいる一応の大義名分じゃないのか?」

「んー、それは良く分からないけど。奴らは最初から訓練のためって名目で派遣されてんじゃないのかね? むしろ訓練に足る数になるまで、魔物の群れを放置したりして戦士団とモメたりしてるよ」

「迷惑だな」

「あたしらにしたら、ね。あちらさんにはあちらさんの事情ってのがあるんでしょう。それでも、この時期は例外だね。上から圧力が掛かるのか、街道を巡回してる部隊を見掛けるよ」

「ご主人様、人の集団が近付いています」

「何だと?」

「あちゃ、噂をすればだね」


図っていたようなタイミングで街道に現れたのは、整列して街道を進む完全武装の一団。

隠れて襲撃を画策しているなどと誤解されては厄介なので、藪中から飛び出して脇に控える形でそれを見送る。あちらは特に反応はなく、ただ下っ端兵士たちはすれ違いざまにジロジロとこちらを見ているのを感じる。

規律正しい進行を乱す者はいないので、我慢していればすぐに先に進んでしまうが。


兵士たちは、革鎧を着た者と金属鎧を着た者に分かれる……ぽい。

ぽいというのは、どちらも鎧の上から青い外套のような服を羽織っているので、防具の詳細が見て取れないのである。

いずれの服の前後にも、定まった紋様がある。

羽根を広げた鳥のようなマークに、剣が交差する背景だ。


鳥のマークは見覚えがある。多分だけど、王家の家紋じゃないかな。

それに剣のマークで、王軍を表しているのか。


軍隊というと、偉い人は馬に乗って移動するようなイメージがあったのだが、そのような人物は見当たらなかった。

ただ、列の真ん中あたりには、兜に黄色いトサカのような飾りが付いた派手な人物がいた。

その人だけ、服にもフサフサとした飾りが付いていて明らかに目立つ。偉い人なのだろう。


軍については色々と怖いと聞いていたので緊張しっぱなしであったが、特に声を掛けられることもなくすれ違い終わった。

彼らは南に向かっているし、これから北に向かう俺たちとはもう関係しないだろう。


「ふう、なんか緊張したわ」

「北西の平原では割とすれ違うよ、しっかりしな」


と言って、テエワラが愉快そうに笑った。街道を通っていればそう絡まれないらしいから、大丈夫だと思おう。


「特に、南に向かう連中にはそうそう変な絡まれ方はしないよ」

「南? 方角が関係あるのか」

「ああ。南ってことは、だいたいタラレスキンドに向かう部隊だろう?」

「そうだな」

「ここの軍隊にとっちゃタラレスキンドってのは天国なんだよ、実質休暇措置だからね」

「ああ」

「今の時期だと領都でも色々仕事があるのかもしれないけど、どっちにしろ遊ぶ場所があるからね。そんなところに向かうんだから、内心はルンルンさ。バカなことをしでかして帳消しになっちまったら、部隊全員を敵に回すんだってさ」

「ああ……なるほど」


あれでお行儀よくしていたということか。

挨拶もなく不愛想だったが、万に一つも傭兵風情ともめ事になりたくないから、意図的に無視していたのかもしれないな。


「さて、先に進もうか」


テエワラが手を叩いて休憩を打ち切る。

左手に広がる平原、右手にサザ山を眺め、魔物の出ない平和を満喫しながら、北へと進む。



2日目はそのままひたすら北上。2日目の野営地からは道が左右に分岐しており、右、北東に進むとノウォスという北の大きな拠点がある。

俺たちは先を急ぐため、左、北西に進む道を選ぶ。



3日目に、もう一度軍の部隊とすれ違うが、何事もなくまたすれ違った。

前の部隊と同じく、鎧の上には青い服、羽根を広げた鳥の紋様。

やはり、青色とあの紋様が軍の証らしい。


流石にゼロとはいかないが、魔物はポツポツとしか出なかった。

数少ない遭遇例が、鳥型の魔物アローラーと火ネズミ、それに小型の亜人である。

大した相手ではないが、テエワラの魔法を見る機会にはなった。


テエワラの持つ杖は、いかにも魔法使いらしい木の枝のような杖である。その先から、光の粉のようなものを舞い上げながら様々な付与魔法を行使する。それだけでなく、敵が近付くと火球や水球を飛ばして攻撃もする。

ただ、ダメージは期待できないらしい。


『付与魔法士』は『魔法使い』よりも「魔法」のステータス補正の上昇が鈍いことに加え、ジョブ特性として攻撃魔法が苦手になるのだそうだ。

『土魔法使い』になって魔法を試したときに、土魔法以外が使いにくくなったことと同様のことなのだろう。ジョブには、こういうステータスに表れない「特性」が存在する。

厳密には、魔法をエネルギーに転化する効率が下がるのだそうだ。代わりに、他者や他者の魔力そのものに干渉するような作業が得意になる。


ちなみにだが、特性による制約は複数ジョブを設定することで緩和されるのではないかと思っている。『土魔法使い』と『魔法使い』を一緒にセットすると、土魔法以外は「かなり使いにくい」から「使いにくい」になるのだ。

2つを同時に使うことで、超魔法型モードが作れると思ったのだが、やや期待外れである。それでも、デメリットが緩和されることが分かったので、今後かなり制約のキツい使いにくい、しかし面白いスキルが会得できるようなジョブがあれば、面白い使い方が出来るかもしれない。

今のところ、特にないが……。


さて、補助魔法に話を戻そう。本来、魔力で他者に介入することは非常に難易度が高いとされている。

魔力というものが意志を介するものであるから、意志を持つ者の身体を制御できないのだという説と、他者の持つ魔力の存在に阻害されるからだという説がある。通説は、そのどちらもだろうという見解になっている。そのことは、本でも読んだ。

『付与魔法士』は、その難易度の高い介入が得意になるということだ。もちろん、他の魔法ジョブに比べて、なので何でもできるわけではないらしいが。例えば、他人の血を操って殺すなんてことは、ほぼ不可能である。それが出来るなら『付与魔法士』が最強の戦闘職になりそうだ。

敵対する者へのマイナス方向の介入を専門とする『呪術士』になっても、せいぜい『他者の魔力の動きを阻害して動きを鈍らせる』とか、そういう扱い方になるらしい。


ただ、他者の意志があるから介入できないという説を裏付けるように、1つ介入を容易にする術がある。他者がその介入を受け入れることだ。

だから、基本的には『付与魔法士』が戦闘するときには味方へのバフを得意とする。


テエワラはまず俺たちに「疲労軽減」や「攻撃力上昇」といったバフを掛けてくれる。

そのうえで敵の数が多ければ火球や水球で牽制してくれるし、近づかれれば腰に差した短剣で応戦する。

ピーターがいたときと違って俺が最前線に立たなければならないというのはあるが、後ろからきっちり援護してくれるという安心感がある。シュエッセンはいい相手を紹介してくれた。



そこから西に3日ほど行ったところに、領境の街クイツトがある。俺たちは多少飛ばして、2日後の夜にクイツトに到着した。そこに着くまでに、闘技大会に向かうのであろう馬車列と何度もすれ違った。後ろから追い抜いていく馬車はほとんどない。

後は、巡回する軍の部隊を何度か見掛けた。特徴的なのは、戦士団の部隊よりも役割分担がはっきりしているうえに、部隊ごとの人数がかなり多いという点だ。


戦士団は5~6人で巡回する小さな部隊もいた。軍は少なくて20人ほどの集団で巡回している。人員に余裕があるからなのか、安全マージンを考慮した結果なのか。

そして軍の部隊は愛想が悪い。

一度、軍のものと気付かず軽く挨拶をしてしまった。あ、ども程度だが。鎧の上から羽織っている服が赤色で、別集団かと思ったのだ。だが無視された。テエワラによると、軍の中で特別な地位の部隊なのだろうとのこと。


軍の戦闘も1度だけ見ることができた。

街道のすぐそばで、10体程度の亜人を相手に、30人程度の軍が応戦していたのだ。

大きな丸い盾を持った兵士が前に出て攻撃を受け止める。後ろの槍を持った兵士が亜人の頭に槍先を振り下ろし、剣を持った兵士が回り込んで包囲・殲滅という形だ。

弓や杖を持った兵士もいるのだが、こちらはじっとしたまま終始動かなかった。出る幕ではなかったのかもしれない。傭兵であればとりあえず撃って援護しそうなものだが、軍は戦い方にも色々決まり事があるのだろう。



強行軍だったこともあり、領境の街クイツトに辿り着いたのは夜中になってからであった。

クイツトの入り口には多くの馬車が並び、テーバ領を囲む大きな壁に取り付くようにして存在するクイツトの街は人であふれていた。


「盛況だな」

「この時期はねぇ。何、出るのはそう時間はかからないと思うよ」

「でも帰ってくるときは混んでるんだろ?」

「そうなるねぇ……」


一本太いメインストリートの左右には、碁盤の目のように規則正しく建物が広がっている。

雑然としたタラレスキンドと比べると、かなり整理された街並みである。

石畳が敷かれ、建物も似たようなオレンジ色の塗料で統一されている。

歴史ある南ヨーロッパの街並みという感じ。


「お!? ベギラじゃないか!」


と、前を歩いていたテエワラが手を振って突然駆け出していく。

呆然とそれを眺めていると、テエワラが走っていく先には剣や槍で武装した一団がいた。


「ああ? テエワラじゃないか。どうした?」

「本当だ、テエワラ~アニスの飯が不味いよ~」

「テエワラ、外に行くのか?」


テエワラがわちゃわちゃと揉みくちゃにされている。……トカゲ顔の集団に。


「あ、ヨーヨー、紹介しとくよ。こいつらは『鱗の戦士団』って言ってね。鱗肌族ばっかりのパーティだよ」

「なになに~? テエワラの再婚相手?」


集団では一回り小さな、薄赤色の肌……ウロコ?をしたトカゲ顔がこちらを見てテエワラを茶化す。


「全然違うよ、今臨時パーティを組んでいるパートナーだ。ヨーヨーっていう魔法使いさ。隣のお嬢さんがサーシャ」

「……どうも」

「こんにちは」


改めて数えると、トカゲ顔は総勢で8人。190はありそうな背の高いトカゲ顔が槍を持っていて、それより少し背の低いトカゲ顔2人が大剣を背負っている。強そう。

ゆるいしゃべり方の背の低いやつは、金属でできた杖のようなものを持っている。魔法使い系なんだろうか。


「一応リーダーをやっているベギラだ。よろしく」


背の高い槍使いに握手を求められたので、応じておく。


「それで、お前さんたちは今任務中か? よければ飯でも食わないか」

「いいねぇ。ヨーヨーたちもどうだい? 気の良い連中だよ」

「……じゃあ、お言葉に甘えて?」


何となく流される感じで『鱗の戦士団』との会食に参加することになった。


魔法使いギルドのトカゲ顔と知り合いなのか訊いてみるか。



************************************



「ああ、そいつらは多分知り合いではあるな。一人はこのクレンタモの親戚だ」


リーダーがそう言う「クレンタモ」というのが、背の低いやつの名前らしい。


「鱗肌族というのは、みたところ色んな肌の色や顔の形があるようだが……それぞれ別の種なのか? それとも、個性なのか」

「別の種なんだろうな。ただ、かなり血は混じっているから厳密に分けられるものでもない。数が多いのはアーマス族とサフィス族だ。顔が丸くて少し小さいのがアーマス族、白肌が多く背の高い、顔が角ばっているのがサフィス族だ。何となく分かるか?」

「……えーと、とりあえずあんたはサフィス族か。今の説明からすると」

「正解だ。さっきから五月蠅いクレンタモなんかは典型的なアーマス族だ。どちらでもない種族も多いがな」


うーむ。……うーむ。


「無理に見分けようしてなくても良いぞ、だいたい鱗肌族だと認識してもらえれば。特に種族に拘りがあるわけでもない」

「そうか。それは助かる。鱗肌族からすると、人間族と他の種族が見分けが付かないんだろうなぁ」

「そうだな、そういう場合もある。獣耳族のように特徴的なものがあれば、楽に分かるのだが」

「ああ、あのケモミミ種族か……」


チェフ・スラーゲーの商会で奴隷として見て以降、各地で少数ながらケモミミーズを目撃してきた。イヌミミマスターとかイリテラとか。数としては確かに少なく、いるにはいるけれども見付けたら「おっ」となるくらいには珍しい。

チェフ・スラーゲーのじじいによれば、西に多いのだっけか?


「そんな話より、あんたらは何やってたんだい? 護衛中ってわけじゃなさそうだけど」

「そうだな、ちょっと訳ありでな。この後護衛の依頼があるんだが、その待機中ってところだ」

「ここでヒマしてたのかい」

「そういうことだ。テエワラたちはどうしてここへ?」

「大体分かるだろ? この時期の小銭稼ぎをしに外にね。一応もう、タラレスキンドで依頼の受付はしてるのさ」

「働き者だねぇ、テエワラもー。どうせこの時期ヒマなんだから、休んじゃえばいいのにー」


小さいトカゲ顔……クレンタモがそう言って、出て来た魚の煮付けを頭からガブリといった。


「テエワラは、この『鱗の戦士団』とはよく組むのか?」

「そうだねぇ、前に一度組んでから、何だかんだと縁があるね。『付与魔法士』なんていらないって奴らもいるから、お得意様は大事にしないとね」

「ふぅん」

「『付与魔法士』は貴重だぞ。それを分かってない連中が阿呆なんだよ」


リーダー、ベギラがそう言いながら魚を頭から丸ごと飲み込んだ。

……それが鱗肌族の食べ方なんだろうか。


周辺の魔物事情などを軽く情報交換しつつ、食事を終える。

残りの6人とはやや席が遠く、あまりしゃべることはなかったが、気の良い連中だということは何となく分かった。


「ああ、テエワラ。護衛任務ということはタラレスキンドにはすぐ戻るのだろう?」

「そうだと思うけど?」

「なら1つ教えておこう。今年はちょっときな臭くなるぞ。油断するなよ」

「……どういう意味だい?」

「詳しくは言えん。が、『龍剣』がおかしな動きをしているのは知ってるだろう」

「それくらいはね」

「奴らに関しちゃ、色々とヤバい噂も聞く。とりあえず関わり合いにならないようにすれば、大事には至らないと思うが……」

「分かったよ、ありがとう」


『龍剣』がどうのって、結構大ごとだったりするのか。勧誘断っといて正解だったな。

ベギラはまだ何かを言いたげに、テエワラを見詰めていた。



食事を終えて『鱗の戦士団』の人たちと別れ、翌日には久しぶりに壁の外へと出た。

シャバの空気は美味いぜー! なんちゃってな。


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