無効異能のマトリクス~都市怪談の怪異譚~

風宮翡翠

プロローグ

(ヤバい、このままじゃ・・・・・・殺される)


俺は少量の光しか届かない廃墟内で、目の前に佇むを凝視していた。

目の前の黒い存在は俺を見たまま、ニタァと邪悪な笑みをたたえている。

逃げなきゃと頭では分かっているのだが、それに反して体がいうことを利こうとしない。

目に映るのは人間でも、はたまた動物でもない。

はこの世には存在するはずもない、空想の存在のはずなのだ。

無視するわけにもいかなかった。だけどまさかこんなことになるなんて予想していなかった。

危険だと分かっていたはずなのに・・・・・・。

何故、この場所にいるのか──。

そして目の前のは何なのか──。


──それは数日前に遡る。

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