infiction~SeekColor~
telluru
seekcolor
一、或る黄昏にて
「ねぇ!貴方、大丈夫?」
その呼びかけに意識が呼び覚まされた。一番に目に映ったものは見知らぬ少女の顔。ゆっくりと起き上がり周囲を見渡したが……何も思い出せない。ここで目を覚ます、その前の記憶が抜け落ちている。
「う……ん、ここは……?」
自身が倒れていたのは、丁度木々の開けた原っぱのような場所。確か自分は進学で本州へ出てきて、寮への引越しも完了して、それから……?ダメだ、思い出せない。
「……!ケガ、してるの!?」
そこで
「ん……少しボーッとするだけで怪我はないと思います」
「そう?よかった……」
受け応えながら視線は彼女の周りを
貝殻のように光沢を返す杖先の真ん中には、どういう原理か水晶球が浮かんでいる。傍らにはこれまた衣装にそぐわぬ小さめの
ほっとして人懐こい笑みを浮かべる少女に手を引かれ、
自分の服装は転入先の制服、周りは森の小道のような場所。普通に考えれば登下校の最中に倒れた状況だろうけど、僕の通学路にこういった道はなかったはずだ。ここは何処だろう、なぜこんな場所に倒れていたんだろう。そしてこの子は……?
グルルル……。
突如聞こえた低い唸り声に、
獣の殺意が僕らを突き刺す。野犬か?数が多そうだ。
はたと気づく、
「
少女が息を飲み、後ずさった。
砂利を
飛びかかってくる一体の牙を寸で
「うっ」
焦がすような痛みが後からジワジワと襲う。
少女は何か叫びながら握り締めた大柄な杖を一心不乱に振り回していた。そのおかげで野犬は近寄れていないが、これを続ける体力も時間の問題だろう。
僕はただの文系男子でしかも丸腰、少女は見るからに武力面で頼りなさげ。これは確実に万事休すだ。
彼女の杖を借りて野犬を払いのけながら逃げれば、辛うじて助かるかもしれないと思い、彼女に呼びかけようとした。
瞬間。
彼女を中心に突然光が沸き立った。野犬の群れは
「早く、手を!」
彼女がこちらへと手を伸ばす。
言われるがままにその手を掴む。
僕らは共に光の洪水に呑まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます