第9話 絶対に笑ってはいけないピクニック編~欲望の沼~
翌朝10時。シュヴァルツ(おでん執事)がガイドとなってとうとうピクニックが始まった。
ジャックはシュヴァルツお手製のお弁当にホクホクしているようだ。
シュヴァルツはしおりを配って、
「えーアイジ様、私どものハイキングコースを紹介しますと。まず欲望の沼を通ります」
「ところがどっこいっ……! 夢ですっ……! 現実ではありませんっ……!」
「現実ですよ!」
エヴァドニのすかさず入るツッコミ。
「それから、
ツッコミどころがいろいろあり過ぎて夜しか眠れない。
そういうわけで全員荷物に各々好きなものを詰めた。
…………。
「エレミヤはなんでリュックの中に入ってんだ?」
「シュヴァルツに負ぶってもらうのです。あたくしは寝るのです」
「やーいこのハイブリッド女」
普段から表情筋をほとんど使わない無表情のエレミヤは少しばかしどや顔っぽい顔をしてみせた。というかハイブリッドってどういう意味だっけ?
魔王城の外に出るのはエヴァドニとの散歩以来だろう。
つかよ。
「お前らはっきり言って馬鹿だろ。なんで全員普段着なんだよ。長ズボンとか穿いてる奴誰もいねーじゃねーか」
「え……そういうものなのですか?」
「そうだよ(便乗)。俺とシュヴァルツも長ズボンだがどう考えても山登りの服装ではないだろ」
「こまけぇこたぁいいんだよ」
「そうだね☆」
ジャックのノリの良さに乗じたのは至極このハイキングがどうでもよくなってきたからである。
で、シュヴァルツだけクソ重そうなんだけど、はい沼につきました。
エヴァドニが説明する。
「いいですか。欲望の沼に金貨を投げてはいけません」
「投げましたごめんなさい」
「早ええよ!」
あー!? うるせー!! そんなもんなー!! わかるかってんだチクショー!!
すると紫色の沼からいくつもの手が出たかと思えば、何か顔のようなものが水面に移った。
「この世界で見る最初のポケモンじゃ」
「ちげーよ! 早く逃げましょうアイジ様!」
すると沼の怪物は、
「お前らの欲しているものをなんでも与えよう……」
「マジ? じゃあスターダストドラゴン1000枚お願いします」
「デッキには3枚にしか入れられないでしょうが!」
「馬鹿野郎転売だよ」
「知らねーよ!!」
すると沼に白いシンクロカードのスターダストドラゴンがいくつも浮いて。
「若者よ。さぁ手を伸ばして取りに来い。遠慮はいらんぞ」
「んーでも酸化水銀も欲しいところだな」
「……は?」
沼の顔が変な顔になった。
「知らねぇの? スターダストドラゴンは酸化水銀が好物なんだぜ(すっとぼけ)」
「え? マジ? わかった早く言ってよ。吾輩出すから……ってアッーーーーーー!!」
当たり前だよバーカ。酸化水銀はれっきとした劇物です。取り扱いには注意しましょう。
こうして欲望の沼を退治したんだが。
「エレミヤ」
「なに?」
「欲望の沼を退治したのにエヴァドニに怒られた。市民を守ったのに」
「…………」
「ねぇちょっと聞いてる?」
「あ、ごめん、ヘルシェイク矢野のこと考えてた」
次回、臥薪嘗胆の森編! もしかしたら死者蘇生の丘まで行っちゃうかも!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます