季節の繋ぎ目
あっ
今年も秋が来たなって感じた。
そう、今日が多分、秋の始まりなんだ。
一歩外に出たら、
ズボン全体に染み渡るような
乾いた冷たさが身を包んだ。
風とかじゃなくて、ただ空気が冷たいの。
鋭くて
また、もうすぐ始まるんだ。
きっと数日後には春の花のように色づいて、
そしてその内に散る葉。
一緒にくるくると地面を踊るの、
雪が遊びに来るまでは。
そんなことができたらいいなと夢想する。
建物に近づくと
少し香ばしいような
焦げた煙のような匂いがした。
きっと、教室は人と火とで暖かいんだろう。
扉を開けると緩い空気が私に抱きついてきた。
乾いた冷たさと対比的なそれは、
一年ぶりの羽毛布団のような温かさなんだ。
昨日までの季節に
「また来年」
って手を振って。
これから訪れる季節は冷たいから
暖かいココアとニット帽を準備して
迎え入れて温めてあげる準備をしていくんだ。
勿論、今の季節と手を繋いでさ。
短想集 @Eucalyptus
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