高架橋の下で死んでいるゴキブリ
高架橋の下でゴキブリが死んでいた。
裏返って足を組んで死んでいた。
それを見て私は涙を流した。
きっと高架橋の向こう側を歩くカップルには分からないだろう。
私の頭上を走る電車に乗っている高校生にも分からないだろう。
この高架橋が崩れて下敷きになってもゴキブリは死なない。
近隣住民が殺虫剤を振り撒いてもゴキブリは死なない。
誰にも気づかれなくなった時、ふと足元を見ると死んでいるだろう。
高架橋を超えた向こうから光が差し込んでゴキブリを照らした。
黒々とした甲皮に照り返す光が私には妙に美しく感じたのは言うまでもないだろう。
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