辛酸は鉄の味がする

 はるか遠くへ行ってしまった仲間たちへ。


 辛酸は鉄の味がする。


 才能の差か、努力の差か。


 あなた達の気遣いで切り裂かれた頬からは辛酸が流れ出る。


 仕様もない自尊心が心を突き刺して胸から辛酸が噴き出す。


 はるか遠くへ行ってしまった仲間たちへ。


 傷だらけになりながら私は歩いている。


 圧倒的な才能を目の当たりにしても。


 途方もない努力が待ち構えていようと。


 嘗めた辛酸は前進する糧となる。


 他よりも狭い歩幅で、他よりも遅い速度で。


 一歩ずつ、一歩ずつ。

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