ちっぽけな人間

 夜遅くまで、動画を見たりゲームをしたり。


 気が付くと27時。


 風呂に入っていなかったから、自室から浴室に向かう。


 その階段で、親父とすれ違った。


 無精髭を生やした口から大きな欠伸を吐き出し、「おはよう」と呟く。


 気兼ねなく挨拶を返して風呂に入り、リビングに向かう。


 親父はキッチンの換気扇の下で煙草を吸いながら、コーヒーを飲んでいた。


 昨日の夜に飲んでいた発泡酒の空き缶に灰を捨てる。


 ソファーの上には仕事用の鞄。


 その横に腰掛けて、風呂上がりの体を潤すべく緑茶を一杯。


「おやすみ」と親父に声を掛けて自室に戻る。






 勉強机を素通りし、掛け布団を頭まで被った。


 その時、小さな「行ってきます」が聞こえた気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る