第10話 惑わされし罪

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第10話 惑わされし罪



≪登場人物≫


ベルヴァルク♂(28歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 将軍

レヴァンダ♀(25歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 副将

メルクーア♀(38歳):帝都センテリオ、宰相であり、宮廷魔術師

ロジック♂(35歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 団長

ニエンテ♂(??):帝都に住む守護獣。威厳はあるが包容力がある。獅子の姿を模している。

エーレ♂(26歳):自由と冒険をこよなく愛する弓使い。

ツェッカ♀:小さな妖精。



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≪帝都センテリオ門前≫




(床に倒れている数多くの兵士を見渡し)


レヴァンダ:「城下の様子もおかしいと思いましたが

       城内の精鋭までもやられているようです・・・。」


ベルヴァルク:「生存者は?」


レヴァンダ:「(近くの兵士の息を確認して)

       ・・・っ、そちらはどうだ。」


兵士:「・・・残念ながら。」


レヴァンダ:「この様子だと恐らく。」


ベルヴァルク:「動き出したか。」(歩き出す)


レヴァンダ:「ガードナー将軍! 何処へ行かれるのです。」


ベルヴァルク:「皇帝宮だ。

        副将、残りの兵を先導し生存者の確保をしろ。」


レヴァンダ:「御意。」


ベルヴァルク:「レヴァンダ。」


レヴァンダ:「はい。」


ベルヴァルク:「個より全てに尽くせ。

        そして言葉に惑わされるな。」


レヴァンダ:「ガードナー将軍、それはどういう・・・」


ベルヴァルク:「(遮る)全ては誰も知りえない。

        信じるは己自身だ。」(立ち去る)


レヴァンダ:「か、畏まりました。」




≪帝都センテリオ城内≫




メルクーア:「はぁ・・・はぁ。」(息苦しそうに)


ロジック:「おうおう、派手にやってくれたな。」


メルクーア:「ロジッ、ク・・・。」


ロジック:「もう少し手ごたえがあると思ったが、

      案外あっさり逝っちまって拍子抜けだ。

      皇帝の名もただの飾りか。なぁ、

      お前もそう思うだろ? ふっ(鼻で笑う)」


メルクーア:「わらわの力が。わらわが皇帝を殺したのか。」


ロジック:「見ての通りだ、こいつぁもう息絶えてる。」


メルクーア:「くくっ・・・。」


ロジック:「魅力的だろ、俺様のような異形の力は。

      この力さえあればなんだって出来る・・・

      地位も名誉も。国ひとつ支配することもな、ははははははっ!」


メルクーア:「その力を完全とするには、どうしたらいいのだ。」


ロジック:「簡単な事だ。」


メルクーア:「・・・?」


ロジック:「気に入らないモノ全てを破壊し尽くせばいい!

      自分の思うが侭になっ! 

      そして、世界は闇に包まれる。くはははははっ!!」


メルクーア:「闇・・・だと?」


ロジック:「あぁ、そうだ。俺様の全ては闇だ。

      力も存在も全て、メルクーアお前も見てみたくねぇか?」


メルクーア:「何をだ。」


ロジック:「闇で覆いつくされた、完全なる世界だ。」


メルクーア:「・・・!」(何かに気付く)


ロジック:「神に支配されたこの世界で

      お前は充足を得られたか?」


メルクーア:「・・・。」


ロジック:「お前が一番分かってる筈だ。

      神は・・・」


メルクーア:「(食い気味)神など、最早

       存在だけの偶像に過ぎぬ。」


ロジック:「わかってるじゃねぇか。」


メルクーア:「そのような事、昔から分かりきっていた。

       このままではアルシャディアは

       衰退の道を辿る一方・・・」


ロジック:「(食い気味に)だが! 闇ならば、神をも凌ぎ、支配もできるぜ。」


メルクーア:「っ・・・(唾を飲んで)

       ならば手に入れたこの力で・・・。」


ロジック:「いいねぇ。

      ただ、その力にも限りがある。

      それを維持する為には“こっち側”にこねぇとなぁ。」


メルクーア:「“こっち側”・・・、お主が裏返った側という事か。」


ロジック:「裏返った? そいつは違う。俺様は表返っただけだ。」


メルクーア:「なるほど・・・。

       それで、わらわはどうしたら良いのだ。」


ロジック:「試練だ。」


メルクーア:「なに・・・?」


ロジック:「これを超えられないようじゃ、力は扱えねぇ。

      失敗すりゃ、お前はその程度の人間だったことだ。

      分かったか?」


メルクーア:「・・・(頷く)。」






レヴァンダ:「『Histoire of Eternto』イストワール オブ エテルノ)』

       第10話 惑わされし罪」





(静かに姿を現す)


ニエンテ:『そこまでにしておけ、罪を重ねる心算か。』


ロジック:「お、やっとお出ましか。待ちわびたぜ。」


メルクーア:「ニエンテ。お前は女神の使いの類だと聞いたが。」


ニエンテ:『いかにも、この地を任されし守護獣。

      今なら留まれる、メルクーア正気を保つのだ。』


メルクーア:「正気・・・? 

       ははっ、くははははははっ!

       お前も分かっているだろう。

       この地で禁忌を犯し何百年生き長らえてるかなど。」


ニエンテ:『・・・。』


メルクーア:「ニエンテ。

       わらわはとうの昔から狂っているのだよ。

       神への復讐を誓い、人である誇りすらも捨て、

       永い時間耐え忍んできた・・・

       そして今まさに、わらわは過去の呪縛から解き放たれ、

       待ち望んだ未来へと足を踏み入れようというのだ。」


ニエンテ:『それが、お前が望んだ未来と言うのか。』

      

メルクーア:「勿論だとも。・・・ロジック。」


ロジック:「なんだ。」


メルクーア:「その試練とやら、こちらで定めても

       構わぬものであろうか。」


ロジック:「あぁ、好きにしろ。くくっ。」


ニエンテ:『メルクーア、

      何故アルシャディアを倦厭(けんえん)する。』


メルクーア:「どれだけつくした所で

       救いの無い世界で在るからだ。」


ニエンテ:『・・・何処まで堕ちる気だ。』


メルクーア:「常闇は、果ての無い

       云わば底なし沼のようなもの。

       可能性に満ちた、誠の希望そのものよ。」


ニエンテ:『・・・。』


メルクーア:「ニエンテ、覚悟せよ。」


ニエンテ:『お主に我を傷つけることは叶わん。』


メルクーア:「只の宮廷魔術師ならばそうだろう。

       だが、わらわは・・・ちが、う。うぐっ。」


ニエンテ:『っ!?』


メルクーア:「ニエ、ンテ。この、力で・・・

       あがっ、人の闇、を ぐがっ

       がっぁああああああああああ!!」


ロジック:「これが禁忌を犯した奴の末路か。

      くくっ、醜いねぇ。」


メルクーア:『はぁ・・・はぁ。お主を 殺すっ。』


ニエンテ:『後には引けんぞ。』


メルクーア:『うるさいっ! しねぇええっ!』



(飛び込んでくる)


ベルヴァルク:「ふっ。」(受け止める)


メルクーア:『っ!? ガードナーっ。』


ベルヴァルク:「ロジック中将、大した余興だな。」


ロジック:「やぁっと、来たか。

      招待状にちゃんと時間書いてなかったか?」


ベルヴァルク:「俺の手元には届いてい無い。」


ロジック:「相変わらずノリの悪ぃ奴だな。」


ニエンテ:『何故来たのだ。』


ベルヴァルク:「(倒れている亡骸を見て)

        ・・・・皇帝は?」


ニエンテ:『・・・随分と前に。』


ベルヴァルク:「ならば、語るべき事は無い。

        罪人を処すのみ。」(長刀を構える)


メルクーア:『くくっ、わらわに牙を向けるかっ!

       はははははあはっ!』

       

ベルヴァルク:「懺悔なら今のうちに済ませておけ。」


メルクーア:『ロジック。』


ロジック:「なんだぁ。」


メルクーア:『自分の思うが侭に、

       阻むモノ全てを破壊し尽くせと言ったな。』


ロジック:「言ったなぁ。」


メルクーア:『これも・・・

       試練とやらの一部と捉えて良いのだな?』


ロジック:「あぁ、精々生き残って見せろよ?」


メルクーア:『何を抜かすか。』


ベルヴァルク:「来い。」


メルクーア:『言われずともっ! があああああっ!!』


ベルヴァルク:「はっ!」(切り抜ける感じで)


メルクーア:『くく、ははははっ! 名高い武人とも在ろうものが

       掠りもしないとは、お笑い種よ! はははははっ』


ロジック:「こりゃ、失敗作だったな。」(ボソッと)


ベルヴァルク:「(構えを降ろす)悪しき魂と共に散れ。」


メルクーア:『がはっ、ま、さか・・・この力を持っても

       人間にすら・・勝てぬ、の・・・か、ぐっ。』


ロジック:「メルクーア、試練は不合格だ。残念だったな。」


メルクーア:『な・・・に?』


ロジック:「やはりお前は失敗作、ただの欠陥品だ。

      つまり用無し、ここで尽きる運命ってことだ。」


メルクーア:『ろじ・・・ぐ、おの、れ・・・。』(朽ちる)


ニエンテ:『人が人を玩ぶとは・・・愚かな。』


ロジック:「流石、ガードナー将軍。帝国きっての武人だ。」


ベルヴァルク:「戯言を。」


ロジック:「けっ、本題に戻るとするか。」


ベルヴァルク:「・・・。」


ロジック:「先ずは、新帝国の誕生に万歳!」


ベルヴァルク:「何がしたい。」


ロジック:「ん? 世界の破壊。」


ベルヴァルク:「ふざけているのか。」


ロジック:「俺様を見縊ってもらっちゃ困る。

      既にお前の居場所は何処にもない。

      不要なモノには全て舞台から降りて貰ったからな。」



(何かの気配に気付いて、構える)


ベルヴァルク:「・・・っ?」


ロジック:「おっと、妙な真似はするなよ。

      おい、こっちに連れて来い。」


兵士①:「さっさと歩け。」


レヴァンダ:「っ! ガードナー将軍申し訳在りません。」


ベルヴァルク:「・・・外道だな。」


ロジック:「何とでも言え。

      俺様にとっちゃどれも褒め言葉だ。」


レヴァンダ:「・・・っ!? 

       皇帝陛下、メルクーア殿!?

       将軍、どういうことですか!!?」


ベルヴァルク:「・・・・。」


ロジック:「くく、ご自分の立場を

      良くわかっていらっしゃるようで。」


レヴァンダ:「何故何も言わないのですか!? 

       ご説明を、ガードナー将軍!!」


ロジック:「オルグリオ副将。これが現実だ。」


レヴァンダ:「なに・・・?」


ロジック:「ガードナーが持ってる長刀(ちょうとう)、

      それに付いてる鮮血が証明してるだろ?」


レヴァンダ:「ま、まて!」


ロジック:「兵士共! ガードナーを捕らえろ!」


レヴァンダ:「!?」


ロジック:「皇帝陛下及び

      宰相・・・いや。

      宮廷魔導師暗殺の罪で投獄する。」(薄気味悪く笑う)


ベルヴァルク:「(鼻で笑う)」


ニエンテ:『その程度の偽りが

      通用するとでも思っているのか。』


ロジック:「違うな、ニエンテ。そういうもんは

      力と勢いで押し通すんだよ。」


ニエンテ:『おぬしの存在は危険すぎる。』


ロジック:「だったらどうした。 俺様を裁くってのか。

      守護獣たるものが人を殺める訳にはいかねぇよな? くく。」


ニエンテ:『・・・っ、然るべき時には。』


ロジック:「(食い気味)然るべき時って今か? 

      なら好都合。

      俺様にとってもてめぇは邪魔者でしかない。」


レヴァンダ:「守護獣を殺そうとしているの? 

       そんな事出来る筈が。」


ロジック:「この魔神の力を持ってすれば容易いことだ。」


ニエンテ:『・・・・何故それを。』


ロジック:「って事は正解だな?」


ベルヴァルク:「一つだけ聞こう。」


ロジック:「あん? 一つだけだぜ。」


ベルヴァルク:「何者だ。」


ロジック:「そうだな。

      変化なるモノの行く末を楽しんでいる侵攻者。

      とでも言っとくか、これで満足だろ。」


ベルヴァルク:「あぁ。」


ロジック:「それじゃ、お別れだ。ニエンテ

      逃げるなら今だぞ?」


ニエンテ:『これも定められた運命の一部に過ぎん。 

      女神様のご慈悲を・・・。』


ロジック:「そんじゃぁな。」


レヴァンダ:「本気かっ!?」


ロジック:「でりゃあああっ!」


ニエンテ:『くっ・・・さら・・・ば。』(消滅する)


レヴァンダ:「・・・きえ、た?」


ロジック:「くくく、はははははははっ!!

      あはははははははあはははっ!!」



(突如地震が始まる)


ベルヴァルク:「っ!?」


レヴァンダ:「地震・・・これは大きい。」


ロジック:「くはははははっ! 来た来た来た。」



(帝国全土にガラスが割れる大きな音が響く)



ロジック:「さぁ、酔狂なる地獄の始まりだっ!!!」


レヴァンダ:「結界が完全に消えたのか。」


ロジック:「見てわからねぇか!」


レヴァンダ(M):「くっ、この地震に紛れて将軍だけでも。」


ベルヴァルク:「はぁっ。」


ロジック:「っと(後ろに後退する)

      妙な真似はするなと言った筈だがなぁ。」


ベルヴァルク:「お前こそ見縊って貰っては困るな。」


兵士:「ぎゃぁあ!」


レヴァンダ:「この、無礼者が。てやぁ!」


兵士:「ぐはっ。」


ロジック:「ふん。まぁ、いいさ。

      お楽しみはこれからってな! おらぁあ!」


ベルヴァルク:「ふっ(受け止めて鍔迫り合いが始まる)

        所詮は三流か。

        力を得ても技術は伴っていないようだ。」


ロジック:「それはどうかな。」(ニヤリと笑う)


ベルヴァルク:「なに?」


ロジック:「ぉおおおおおお。」(力を噴出させる)


レヴァンダ:「体から黒いオーラがっ!?」


ベルヴァルク:「・・・っ。」(長刀にヒビが入り始める)


ロジック:「へへっ、こんなもんじゃねぇぞ? うりゃあ!」


ベルヴァルク:「ふっ(受け流す)」


ロジック:「まだまだぁああ! ふんっ!」


ベルヴァルク:「っ!?(受け止めるが刀が折れる)」


ロジック:「おらおらおらああ!」


ベルヴァルク:「くっ・・・。」(後ろに退避する)


レヴァンダ:「ガードナー将軍っ!」


ベルヴァルク:「なるほど。魔神の力とやら、

        計り知れないな。」


ロジック:「ははっ、ガードナー。

      得物が折れちまったな。

      どうする、大人しく降参でもするか?

      かははははっ!」


ベルヴァルク:「我が敵を絶つモノは、一つではない」(折れた長刀で構える)


ロジック:「頭でも可笑しくなったか? はははっ!

      折れた得物でなにするってんだ!」


ベルヴァルク:「武の道を究めし者のみ具現可能となる業(ごう)

        はぁあああああああ(静かに気を溜める)」


ロジック:「ん、何をする気だ?」



(地震は続いている・建物が崩れ始める)


レヴァンダ:「建物が崩れ始めた・・・此処も危険。

       ガードナー将軍、避難を!!

       ・・・っ!?(自身が光りだす)

       体が光り始めた。」


ロジック:「なんだなんだ、何かの仕込みか?」


ベルヴァルク:「っ!?」


ニエンテ(M):『女神のご慈悲を。』


レヴァンダ:「天井が崩れるっ、将軍!!」



(天井が崩れて来てその場は瓦礫と煙だけになる)



ロジック:「げほっごほっ・・・っと。あぶねぇ所だった。

      今の光は何だったんだ?」



(辺りを見回すが誰の気配も無い)



ロジック:「チッ、逃がしちまったか。

      まぁ、今回の目的は達成したんだ

      良いとするか、ははははっ!」





≪同時刻違う場所≫





ツェッカ:『・・・ん。』


エーレ:「どうした、ツェッカ。」


ツェッカ:『今、何か感じなかった?』


エーレ:「もうホームシックか。」


ツェッカ:『違うわよ、もう! 真面目に言ってるのに。』


エーレ:「冗談だって。・・・確かに何か違和感がするな。」


ツェッカ:『そうでしょ? なんだろう。

      とても、ハッキリとしない感じ。』



(僅かに地震が来る)


エーレ:「おっと、地震か? 珍しい。」


ツェッカ:『私飛んでるから分からないけど、どれくらいなの?』


エーレ:「まぁ、酔わない程度かな。」


ツェッカ:『そっか。えっと、目的地は何処だっけ。』


エーレ:「帝国オルディンだ。」


ツェッカ:『それならこのまま船の乗り継ぎで行けるわね。』


エーレ:「そうだな。っとそこのお兄さん。」


兵士:「はい、何でしょうか?」


エーレ:「この船って、帝国オルディン行きであってる?」


兵士:「えぇ。ですが・・・

    只今、帝国で厳戒態勢が敷かれている為、

    出航許可は出ておりません。」


ツェッカ:『厳戒態勢・・・?』


エーレ:「はぁ? 何かあったのか。」


兵士:「いえ、こちらにもそのように通達があっただけですので、

    詳しいことは分かりかねます。」


エーレ:「まじか・・・困ったなぁ。」


ツェッカ:『他に道はないかな?』


エーレ:「ん、聞いてみるか。」


兵士:「・・・?」(誰と喋ってるんだ?という感じ)


エーレ:「帝国に行く方法って他に無い?」


兵士:「現在全ての経路が封鎖されています。

    当面帝国への入国申請も受け付けられませんので、

    今は諦めて頂くしか・・・」



(少し離れて)


エーレ:「わかった、お勤めごくろーさん。」


ツェッカ:『どうしようか。』


エーレ:「行き成り密入国って訳にも行かねぇしな~。」


ツェッカ:『っと言って、他に当ては無いんでしょ?』


エーレ:「まぁ・・・、お?」


ツェッカ:『どうしたの?』


エーレ:「どうしたのって・・・。

     こっちのセリフだって、

     帝国に行けないのが泣くほど悲しいのか?」


ツェッカ:『へっ!? 私泣いてる?』


エーレ:「・・・あぁ」(指で涙を拭う)


ツェッカ:『え、何で? なんで?』(動揺)


エーレ:「落ち着けって。」


ツェッカ:『ご、ごめん。

      何で、涙が流れるのか分からない。』


エーレ:「うん。」


ツェッカ:『でも、とても・・・嫌な予感はする。』


エーレ:「ん、帝国に行く前に

     やるべき事が在るみたいだな。」


ツェッカ:『え、諦めちゃうの?』


エーレ:「いや、少し寄り道するだけだ。

     今直ぐには無理でも何れは来る事になる。」


ツェッカ:『・・・わかったわ。』


エーレ:「此処から一番近い国は?」


ツェッカ:『王国シルヴェスタよ。』





≪とある霧の掛かっている草原≫





ベルヴァルク:「っ!?」


レヴァンダ:「っ!? ガードナー将軍お怪我は?」


ベルヴァルク:「問題ない、お前は。」


レヴァンダ:「私も問題ありません。」


ベルヴァルク:「ん。・・・転移魔法か。」


レヴァンダ:「ニエンテは最後の力で、我々を。

       目的は何にしても此処は一体何処なのでしょうか。

       霧でハッキリと確認は取れませんが、

       訪れたことの無い土地のようですね・・・。」


ベルヴァルク:「いや・・・。」


レヴァンダ:「・・・?」


ベルヴァルク:「俺は此処を知っている筈だ。」


レヴァンダ:「知っている・・・ですか。」


ベルヴァルク:「・・・。」


レヴァンダ:「・・・。」


ベルヴァルク:「何も、問わないのか。」


レヴァンダ:「先ほどの事ですか?」


ベルヴァルク:「全てに、だ。」


レヴァンダ「私は・・・己を信じていますので。

      信念のまま、行動するだけです。」


ベルヴァルク:「ふっ・・・。(微笑)

        暫くは身を隠していた方が良さそうだな。」


レヴァンダ:「はい、畏まりました。」



(霧が晴れていく)


ベルヴァルク:「ん・・・。」


レヴァンダ:「霧が薄れて来ましたね・・・。」


ベルヴァルク:「・・・。」


レヴァンダ:「っ、何者かが此方に向かって来ます。」


ベルヴァルク:「・・・。」(立ち上がる)



(完全に霧が晴れる)


レヴァンダ(M):「霧が完全に晴れた・・・。」


レヴァンダ:「・・・っ!」


ベルヴァルク:「お前は・・・。」

        





メルクーア(M):「何者かにより壊滅した帝都センテリオに

         雷雨が容赦なく降り注ぐ。

         翌日、オルディン帝国皇帝の崩御が

         アルシャディア全土に知れ渡る事になる。」






ベルヴァルク:「次回『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』

        第11話 求める心」


ツェッカ:『女神ヴァレスティアの勇ましき御心の加護を受けし

      獅子の守護獣ニエンテ・・・。』


エーレ:「こっちに来た途端これか。(溜息交じり) 

     ツェッカの嫌な予感が当たっちまったな。」


ツェッカ:『何故、彼が失われなければならなかったの?』


エーレ:「運命・・・か。」


ツェッカ:『エーレ・・・?』


エーレ:「抗うことが出来れば、どんなに楽か・・・。」








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『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』公式HPはこちら


     https://iroha0710sakuraba.wixsite.com/hofe


【ボイスドラマ/第10話 惑わされし罪】


niconico:http://www.nicovideo.jp/watch/sm33089729

YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=fHa-XYmxpE4&t=60s

MQube:https://mqube.net/play/20180504886742


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