第8話 四ヶ国、円卓会議
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第8話 四ヶ国、円卓会議
≪登場人物≫
ラキア♀(28歳):法国ルミナシアの大司教。
シエル♂(24歳):法国ルミナシア、聖都シュティレーゼ、聖騎士団騎士団長。
ゲーエン♂(58歳):法国ルミナシア、宰相。
スレイヴ♂(41歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団長。
ベルヴァルク♂(28歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 将軍。
レヴァンダ♀(25歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 副将。
ルチオ♂(30歳):王国シルヴェスタ、魔学研究機関ヴァールハイトハルク 最高責任者
ユアン不問(22歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団員。
ハザル♂(28歳):各国を渡り歩いている傭兵。
セグレート♀(19歳):王国シルヴェスタ、王都エンジール、司祭。
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≪円卓会議≫
ゲーエン:「各国の皆様。
この度は緊急招集につきまして、ご足労感謝いたします。
私は、法国ルミナシアの宰相を勤めております、
ゲーエン=エルヴィスと申します。
円卓会議の進行につきましては、私が行なわせて頂きます。
(一息着いて全員の顔を確認する)
アルシャディアの創造主で在られる、
女神ヴァレスティア様の御名のもと、
約束されし真実と調和を、守護獣の名に掲げ、
共に誓いを交わして頂きたい。」
ゲーエン:「法国ルミナシアより、聖セレスティア教会
大司教(アークビショップ)ラキア=コンラート殿。」
ラキア:「はい。“大鷲の紋章”守護獣コモラに誓います。」
ゲーエン:「王国シルヴェスタより、魔学研究機関ヴァールハイトハルク
最高責任者、ルチオ=カサモラータ殿。」
ルチオ:「はい。“白馬の紋章”守護獣チェレネに誓って。」
ゲーエン:「帝国オルディン国より、帝国軍ルディネガルデリア副将、
レヴァンダ=オルグリオ殿。」
レヴァンダ:「はい。“獅子の紋章”守護獣ニエンテに誓います。」
ゲーエン:「共和国ランガルトから、ギルド代表蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)
団長、総指揮官スレイヴ=グローリア殿。」
スレイヴ:「“精霊の紋章”守護獣ピルカに誓う。」
ゲーエン:「ご協力ありがとうございます。
ご同行頂いた方々については、
別室にある傍聴室で待機して頂いております故、ご安心して下さい。」
ラキア:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第8話 四ヶ国、円卓会議」
ゲーエン:「それでは早速本題に入らせて頂きます。
書状にも記載した内容の復唱となりますが、
先日、ルミナシアは何者かに襲撃され、多大な被害を被りました。
結界の崩壊により、多数の魔物の侵入がありましたが、
聖騎士団と有志の協力により、事態は一旦収拾致しました。
街全体の被害は総額にすれば一千ディア程です。
死亡者こそ出ておりませんが・・・
軽傷者が多数、との報告を受けております。
結界の補修は数日前に終わっている状態ですが
完全修復には、後2~3週間程かかると見越して御座います。」
レヴァンダ:「状況は把握しました。」
ゲーエン:「さて、ランガルト側からも同様の被害があったと伺っておりますが、
ご報告願えますかな?」
スレイヴ:「了解。こちらも、数日前に何者かの襲撃を受けた。
一度目は西(デュシス)方面を広範囲によって破壊され、
時間差で二度目は東(シャルク)方面に。
こっちの規模はそれ程大きくなかったが、
聖都と同様、多数の魔物の侵入があり、
四大ギルドの早急な働きに寄って事態は収拾できた。
被害総額としたら三千ディアって所だな。
被害の割に軽傷者は数人程度で、勿論 死亡者は0。
結界の補修は急ピッチで行なっている最中だが、
二箇所含め、完全修復には一ヶ月以上は掛かる見込みだ。」
ルチオ:「どちらも同時期に同じような手法で
襲撃をされているわけですか・・・。」
レヴァンダ:「失礼。
その襲撃犯とやらの目処はたっておられるんですか?」
ゲーエン:「えぇ。確信とまでは至っておりませんが、
襲撃時に現れた異質な人物の特定は出来ております。」
レヴァンダ:「異質・・・?」
ラキア:「つまり、その場にそぐわない人物が存在していた、
という事になります。」
スレイヴ:「・・・っ、なるほど。
ってことは、それすらもこっちと似通ってる訳か。」
ゲーエン:「ほぅ、そちらもですか。」
スレイヴ:「えぇ。うちのギルドに、
その異質な存在と接触した人間がいましてね。」
ルチオ:「・・・察するに、
ルミナシア側も接触していると捉えて、間違いではないですか?」
ゲーエン:「お察しの通りです。」
ルチオ:「どうにも犯人側の意図には、
敢えて、発見させる狙いがあると思えて成りませんね。」
ラキア:「或いは、純粋な破壊活動の線も、可能性が無いとは言い切れません。」
ルチオ:「確かにそうですが。
結界の破壊が目的と言う割には、余りにも仕事が雑すぎませんか?
工作活動としては、穴だらけです。」
レヴァンダ:「推測だけで話を進めても目的が明確になるわけでは無いでしょう。
他に、確信に変わる証拠でもあれば話は変わりますが・・・。」
スレイヴ:「その事だが、犯人に関して少し気になる事があってな。」
ルチオ:「なんでしょうか?」
スレイヴ:「フラーテルを襲撃した犯人は、そこに居るはずのない異質な人物。
そいつは“白馬の紋章”を纏っていたという情報だ。」
ルチオ:「おや、面白い事になってますね。」
スレイヴ:「改めて思ったのは・・・
そんな穴だらけの犯行を果たして、シルヴェスタ側が行なうか、だが。」
ルチオ:「混乱を招く、という発想で言えば。 可能性として在り得ますね。」
スレイヴ:「実際の所は?」
ルチオ:「全く存じ上げない事実です。
そもそも、我々シルヴェスタは、
ルミナシアとランガルト共に、交易関係にありますから、
自らの国を追い込む様な真似をする筈がありません。
何故わざわざデメリットになるような事をしなければ
ならないのでしょうか?」
スレイヴ:「仰るとおりで。」
ラキア:「その件なのですが。」
ルチオ:「ルミナシアも同じ事を仰るおつもりですか?」
ラキア:「いえ、我々の場合“獅子の紋章”を纏った者です。」
レヴァンダ:「・・・。」
ゲーエン:「オルグリオ殿、何かございませんか?」
レヴァンダ:「覚えの無い話です。ですから
それ以上に申し上げる事はございません。」
スレイヴ:「それだけじゃ説得要素が足りないと思うが。」
ルチオ:「オルディンは何処とも友好関係にある訳では在りません。
言うならば独裁国家そのものですから、
しっかり釈明をしなければ、疑いは深まるばかりですよ?」
レヴァンダ:「妄想を膨らますのはそちらの自由です。
我々はどう解釈されようと一向に構いません。」
ルチオ:「おや、振られちゃいましたね。」
レヴァンダ:「安い挑発に乗るつもりは御座いませんので。」
ルチオ:「残念です。」
レヴァンダ:「・・・。」
ルチオ:「先程も申し上げましたが、
我々は全く覚えが在りませんので、他の可能性として
第三勢力の存在を上げさせて頂きます。」
スレイヴ:「第三勢力か。単純に考えれば
やり口が荒く、ゲリラ的とも言えるのか。」
ルチオ:「そういうことです。濡れ衣を着せるにせよ、
我々シルヴェスタに対して
浅はかであるとしか言いようが在りませんね。」
レヴァンダ:「その点に関してはシルヴェスタに同感です。
我々オルディンにしてみれば既に、
浅はか、など言う言葉で済ませられる内容ではありません。」
スレイヴ:「なんだ、オルディンは真犯人でも捕まえて
何かするつもりか?」
レヴァンダ:「お答えする義理はありません。」
スレイヴ:「随分、勿体ぶった言い方をするな。」
レヴァンダ:「そんなに、お聞きになりたいのですか?」
スレイヴ:「いや、やめておこう。楽しい話でも無さそうだしな。」
レヴァンダ:「・・・。」
ゲーエン:「そうですね・・・。
両国とも、確実に疑いが晴れたわけでは在りませんが、
この件に関しては後日、待遇を考案する事にしましょう。」
ラキア:「分かりました。」
ゲーエン:「此処からは、今しがた浮き彫りになった
第三勢力についての議論を始めましょう。」
スレイヴ:「可能性としては、無きにしも非ずか。」
ラキア:「そもそも、犯行を行なった目的はなんでしょう?」
ルチオ:「今予測される犯行動機としては、二つ在ります。
一つ目は。結界を壊し、各国の要人を
犯人に仕立てあげることに寄って、戦争を引き起こさせる。
二つ目は。結界を壊し、魔物を侵入させ首都の壊滅を目論む。
ですが、両国の被害の様子から伺うと
こちらの線は薄くなりますね。」
レヴァンダ:「一つ目にしても、第三勢力の線が出てきた現在、
戦争を引き起こさせる事に関して、
そこまで効力があるとは思えないのですが。」
ラキア:「もし、今回の襲撃が試験的なものだとしたら?」
レヴァンダ:「どういうことです?」
ラキア:「結界の破壊は二次的なものであり、
本命は、大量の魔物を侵入させ首都を壊滅させる事。
今回の襲撃は、実験の様なものかも知れないという事です。」
ルチオ:「それでは・・・。犯人に仕立てあげる、
という行為に対して、どうお考えですか?」
ラキア:「今現在、釈明はあったものの、
確実に嫌疑が晴れているわけでは在りません。
その内なる闇、それが目的ではないでしょうか?」
ルチオ:「ほぅ、ますます面白い事になってますね。」
レヴァンダ:「低レベルな思考に、笑いすら覚えます。」
ゲーエン:「ふむ・・・そこで、それらを踏まえたうえで。
二つ目の議題に入らせて頂きたい。」
レヴァンダ:「・・・その様な話、
書状には記載されていませんでしたが。」
ラキア:「ご安心下さい。全てが通ずる話なので
書状に書かれていた内容とは異なりません。」
レヴァンダ:「・・・分かりました。」
ゲーエン:「では、改めて。コンラート殿。」
ラキア:「はい、説明いたします。聖騎士団上部及び
セレスティア教会の上部を含む先遣隊を派遣し、実地調査を行ないました。
この調査を実施するに至ったのは、
それ以前に、結界内からの救援要請があったからです。」
スレイヴ:「救援要請って事は、魔物が関係してることか?」
ラキア:「はい。要請があった場所に向かった聖騎士団からは、
結界は既に破壊されており凶暴化した大量の魔物によって
半壊状態に追い込まれていたという報告が上がっております。」
レヴァンダ:「どういうことですか?
魔物は本来、結界に守られた人里に近づく事は無い筈。
それが、破壊され凶暴化した魔物に半壊させるまでに至った。
そのような話、2000年の歴史の中で聞いたことがありません。」
ラキア:「えぇ。
ですから我々は、魔物に関する異変の調査を行ないました。
近年稀に見る魔物の増加は個々で察知する程度では在りましたが、
此処最近で、急激に増加し、凶暴化する傾向にある事が判明致しました。」
ゲーエン:「仮定の話にはなりますが、
第三勢力がこの異変を認知していたとしましょう。
その上で、結界を破壊し凶暴化した魔物を大量に侵入させ、
首都の壊滅を目論む。・・・これで辻褄はあいます。」
レヴァンダ:「漸くはっきりした形が見えてきましたね。」
スレイヴ:「確かにそうかも知れないが、あくまで仮定の話。
信憑性は欠けると思われます。」
レヴァンダ:「申し上げますが、此処までの話し合いで
核心に迫った仮説が在りましたか?」
スレイヴ:「それを言われちゃ、返す言葉も無い。」
レヴァンダ:「・・・事実を述べたまでです。」
スレイヴ:「所で、ゲーエン殿。」
ゲーエン:「何でしょうか。」
スレイヴ:「結界を壊す方法については触れていないようですが。」
ゲーエン:「残念ながらお話出来るまでには至っておりません。」
スレイヴ:「・・・そうですか。」
ラキア:「その様子ではフラーテル側も。」
スレイヴ:「(頷く)」
ゲーエン:「襲撃犯から答えを導き出す事が、一番の解決策ですが
現段階では双方とも逃げられてしまっています。
ですから、違う方法を探す他無いかと。」
スレイヴ:「他の方法・・・ねぇ。」
ルチオ:「失礼。
今此処で分からない事に対して
足踏みをしていても仕方ないと思いますよ。
結界の破壊方法については
我々の方でも追って調査致しますので。」
ラキア:「分かりました、それでは話しを戻しましょう。」
スレイヴ:「ん、それで・・・、
魔物の増加と凶暴化はルミナシア地域だけか?」
ルチオ:「その件に関しては、
こちら側でもその現象が見られています。」
ラキア:「シルヴェスタもですか?」
ルチオ:「はい。シルヴェスタ国内でも
同じような異変が数年前からありまして、
私の研究機関で、独自に調査を行なってはいるのですが、
今の所、真相に迫った結果は得られていません。」
レヴァンダ:「・・・・。」
ルチオ:「風の噂で、オルディンも
独自で調査を行なっていると、聞きましたが。
どうですか?」
レヴァンダ:「噂は噂。我々が語れる事は何一つ。」
ルチオ:「意味深ですね。取り敢えずは、
そう言う事にしておきましょう。」
レヴァンダ:「・・・。」
ラキア:「ルミナシアは、確信に近いものを得られています。」
ルチオ:「それが先程仰っていた、
全てに通ずる部分になるんですね。」
ラキア:「はい。」
ルチオ:「お伺いしても宜しいですか?」
ラキア:「えぇ、襲撃事件があった日の午前。
女神ヴァレスティア様から神託が在りました。
そう遠くない未来に、大きな災厄が訪れると。」
ゲーエン:「我々は、こう考えております。魔物の異変。
そして、それを利用しようとしている第三勢力。
その全ての異常が、いずれ来たる災厄の前兆では無いかと。」
ルチオ:「なるほど・・・。」
ラキア:「当然、現段階で最優先に行なうべきは第三勢力の特定でもあります。
ですが、今回の襲撃時や結界外の被害を含め、
早急に魔物への対策を練らなければなりません。」
スレイヴ:「そちらを先決すれば、必然的に第三勢力の目論みも
効果としては薄められるって事か。」
ゲーエン:「お察しの通りです。
いくら各国の軍事勢力が整っていたとしても
捨て置けば、魔物は無尽蔵に増え続けます。
いずれ人の手に追えなくなるでしょう。
ですから、手遅れになる前に各国の協力を募りたいのです。」
レヴァンダ:「御言葉ですが、具体的な対策はお持ちなのですか?」
ラキア:「勿論です。それは・・・
女神の心、古代に眠りし希望の光を開放する事。
それが、現在我々が考えている対策です。」
スレイヴ:「希望の光?」
ゲーエン:「女神ヴァレスティア様から与えられし、八つの神具です。」
スレイヴ:「天地戦争と女神の制約に出てくる伝説の武器ですか。」
ゲーエン:「はい。」
ラキア:「神具の力を結集、及び開放し、
女神ヴァレスティア様を復活させることによって
アルシャディアを再生させることが可能となる。
それが、魔物の異変を根本から食い止める最善の方法です。」
ゲーエン:「書物によれば、解放された神具は
神の如し業を発揮するそうで・・・
今後、魔物との戦闘において、大いに活躍する筈です。」
ルチオ:「・・・。そこまでは理解できましたが。
その神具が悪用される可能性は、考慮していますか?」
ラキア:「心配に及びません。
神具を持つ事を許されているのは、
女神の加護を受けし者達の中から、
紡ぎし唄によって選ばれた者たちのみです。」
スレイヴ:「紡ぎし唄って言うのは?」
ラキア:「女神の誓約によって、神具を護っている者たちの事です。」
レヴァンダ:「理屈では理解できたとしても、
実際に動くと成れば、随分と荒行になりますが。」
ゲーエン:「ふむ。手当たり次第では無く、
資格がある者を的確に探すにはどうするか、ですね。」
レヴァンダ:「はい。」
ゲーエン:「そのことについてですが。
つい先日、決め手となるお話が在りまして。」
レヴァンダ:「・・・決め手、とは。」
ラキア:「選ばれし者が紡ぎし唄と共に神具を持って現れたのです。」
スレイヴ:「・・・。」
ラキア:「ですから、紡ぎし唄の近くに神具がある事は断定してもいいでしょう。
そして、選ばれし者達は神具と何かしらの縁(えん)で
繋がっているのではないかと。」
スレイヴ:「なるほど、“紡ぎし唄”が鍵になってるって事か。
だが、どうやってそいつらを探すんです。」
ゲーエン:「現在呼ばれている神具の呼称は、
英雄と同じ名だという事はご存知ですか。」
スレイヴ:「えぇ。」
レヴァンダ:「つまり・・・。
神具に縁(ゆかり)の在る者や場所を探れば
紡ぎし唄に辿り着く事が出来る。そう捉えていいですね?」
ゲーエン:「はい。」
ラキア:「神具の持ち主は彼らが選ぶのですから、
それが最善策かと思われます。」
ルチオ:「三つが揃って意味を成すもの、ですか。」
レヴァンダ:「しかし、そう簡単に遂行出来るものとも思えませんが。」
スレイヴ:「どうだろうな。 やってみない事には何も言えんだろ。」
レヴァンダ:「・・・分かりました。」(答えに不服そうして)
ラキア:「我々の目的は、各国に散らばる紡ぎし唄と、
神具の捜索の協力を仰ぐことです。
それらが、アルシャディア再生の為の最善策と推定し
此処に提言致します。」
ゲーエン:「ルミナシアからは以上です。
各国のご意見を伺いたい。」
ルチオ:「そうですね、襲撃事件に関して言えば意見は変わりません。
我々とは無関係な人間、つまり、第三勢力による工作だと思います。
我が国の象徴“白馬の紋章”を悪用されたとなれば、
静観するわけにも行きません。
疑念を晴らし、今後の友好関係を保つ為にも
協力は惜しまないつもりですよ。」
ゲーエン:「それでは・・・。」
ルチオ:「えぇ。シルヴェスタは、ルミナシアの協力要請に応じます。
勿論、調査込みですから人もお貸しします。」
ラキア:「助かります。」
スレイヴ:「今回は被害者なんだが、
ランガルトとしても、
今後同じような事が起こるのは正直考えものだ。
丁度、ギルドに協力要請も出てた筈だしな。
この事態を打破する可能性が少しでもあるなら、協力はしようと思う。
が、生憎決定権は持ってないからな。
一度本国に戻って改めて書状を送ろう。
なんなら、ルミナシアとランガルトの保険として一人、
こっちに留まらせておくが・・・。」
ゲーエン:「ありがとうございます、その方が迅速な対応が望めますね。」
レヴァンダ:「私にも決定権は御座いませんので、ランガルト同様
オルディンも後日返答させて頂きます。」
ゲーエン:「分かりました。良い返事を期待していますよ。」
レヴァンダ:「・・・・。」
≪傍聴室≫
ユアン:「神具を解放し、女神を復活させる事による
アルシャディア再生・・・。」
ハザル:「・・・。」
ユアン:「具体的に、再生ってどういう事を指してるんでしょうか。」
ハザル:「誰も知るすべは無い。」
ユアン:「そう、ですよね。」
ベルヴァルク:「異質だな。」
ユアン:「っ?」
ハザル:「・・・・。」
ベルヴァルク:「・・・お前は何者だ。」
ハザル:「・・・。」
ユアン:「その・・・。」
セグレート:「(食い気味)ぎ、議会が、そ、そろそろ終わりそうですよ?」
ユアン:「そ、そうですね。」
セグレート:「あ、あの。えっと、申し遅れました。
わ、わわ私はシルヴェスタからやって、きました。
司祭(ビショップ)の、セグレート=ソヴァールで、です!」
ユアン:「あ、えっと。ランガルトから来ました、
ギルド、蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の
ユアン=イグニスです。
フード被ってる人はハザル=ジュリアスさんです。」
ハザル:「・・・・。」
ベルヴァルク:「・・・ハザル?」
セグレート:「よ、よよよ宜しくお願いします。」(勢いよくお辞儀をする)
ユアン:「よ、宜しくお願いします。あの、もし体調が悪いようなら・・・」
セグレート:「(食い気味)あっ! えっと、
ひ、人見知りなだけ、なんですっ。」
ユアン:「そうなんですか・・・。」(苦笑)
セグレート:「も、もう一人の方は・・・、
ど、どなたなんですかね?」(コッソリ)
ベルヴァルク:「・・・・・。」
(傍聴室に入ってくる)
【ノック音】
レヴァンダ:「失礼、ガードナー将軍。
会議が終わりましたのでお迎えに上がりました。」
ベルヴァルク:「・・・・スグに帰還する。」(去る)
レヴァンダ:「畏まりました。」(去る)
ユアン:「行っちゃいましたね。」
セグレート:「か、会議が、終わったと言うことは、
ルチオさんも、そろそろ・・・。」
(傍聴室に入ってくる)
【ノック音】
シエル:「失礼します。長らくお待たせ致しました。
只今、手続きを行なっている為もう暫くお待ち下さい。」
ユアン:「あの。」
シエル:「何か?」
ユアン:「今出て行った方は・・・。」
シエル:「あぁ。オルディンからいらした、
ルディネガルデリア軍の将軍、ベルヴァルク=ガードナー殿です。」
セグレート:「な、なななんで議会に出ないで此処に、い、いたんですか?」
シエル:「自ら望んで傍聴に回られたと聞きましたが。」
ユアン:「将軍といえば、
国内でも最高位に近い権力を持つ人・・・ですよね?
どうして、直接会議で発言なさろうとしないんでしょう?」
シエル:「噂に聞けば、多くを語ろうとしない性格の御方、らしいですよ。」
ユアン:「そ、そういう理由で・・・?」
ハザル:「若くして多くの武勲を立てた武人でもある。」
シエル「言葉より、剣の腕で政治するほうが
向いてらっしゃる御方なんでしょう。
ま、私もあまり人のことは・・・ん?」
ユアン「なるほど・・・ガードナー将軍、不思議な方ですね。」
シエル「えぇ、ところで・・・」
セグレート:「(食い気味)あぁっ!!」
ユアン:「ど、どうしたんですか?」
セグレート:「反応があったんです!」
(地響き)
ユアン:「っ! 今揺れませんでしたか?」
シエル:「揺れましたね・・・。」
セグレート:「こ、これは大きいですよぉ!」
シエル:「お、落ち着いて下さい! 状況が全く読めないのですが。」
セグレート:「と、兎に角急ぎましょう!」(テラスに出る)
ハザル:「・・・っ!」
セグレート(声):「あわわっ、これは凄いです!!
み、みなさんこ、こちらです!!」
ユアン:「えっと・・・?」
ハザル:「テラスだ。」
シエル:「様子を見に行って見ましょう。」
ユアン:「はい。」
≪テラスに出ると結界のスグ近くで
大型の魔物が結界を壊そうと暴れている≫
シエル:「なっ!?」
ユアン:「っ!? 大型の魔物が結界を壊そうとしてるっ!
一体どういうことですか?」
セグレート:「つまり、こ、こういう事なんです!」
ユアン:「え? あの・・・。」
ハザル:「先に行く。」(去る)
ユアン:「は、ハザルさん!? あ、行っちゃった。」
シエル:「申し訳ないですが、私も席を外させて頂きます。」
ユアン:「お気をつけてっ。」
シエル:「有難う御座います。それでは、失礼します。」(去る)
セグレート:「ゆ、ユアンさん! わ、私たちも
い、急いで行きましょう!」
ユアン:「わ、分かりました。」
シエル(M):「全てが解決したとは言い難いが、
法国ルミナシアが催した円卓会議の目的は、
果たされる事となった。
しかし、それと同時に更なる事態が聖都を襲っていた。」
ユアン:「次回『『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第9話 闇の鼓動」
*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-
『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』公式HPはこちら
https://iroha0710sakuraba.wixsite.com/hofe
【ボイスドラマ/第8話 四ヶ国、円卓会議】
niconico:http://www.nicovideo.jp/watch/sm32472646
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=gBQhYGkNeyA&t=137s
MQube:https://mqube.net/play/20171227498459
*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-
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