第8話 四ヶ国、円卓会議

*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-



第8話 四ヶ国、円卓会議



≪登場人物≫


ラキア♀(28歳):法国ルミナシアの大司教。

シエル♂(24歳):法国ルミナシア、聖都シュティレーゼ、聖騎士団騎士団長。

ゲーエン♂(58歳):法国ルミナシア、宰相。

スレイヴ♂(41歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団長。

ベルヴァルク♂(28歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 将軍。

レヴァンダ♀(25歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 副将。

ルチオ♂(30歳):王国シルヴェスタ、魔学研究機関ヴァールハイトハルク 最高責任者

ユアン不問(22歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団員。

ハザル♂(28歳):各国を渡り歩いている傭兵。

セグレート♀(19歳):王国シルヴェスタ、王都エンジール、司祭。



*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-




≪円卓会議≫




ゲーエン:「各国の皆様。

      この度は緊急招集につきまして、ご足労感謝いたします。

      私は、法国ルミナシアの宰相を勤めております、

      ゲーエン=エルヴィスと申します。

      円卓会議の進行につきましては、私が行なわせて頂きます。

      (一息着いて全員の顔を確認する)

      アルシャディアの創造主で在られる、

      女神ヴァレスティア様の御名のもと、

      約束されし真実と調和を、守護獣の名に掲げ、

      共に誓いを交わして頂きたい。」


ゲーエン:「法国ルミナシアより、聖セレスティア教会

      大司教(アークビショップ)ラキア=コンラート殿。」


ラキア:「はい。“大鷲の紋章”守護獣コモラに誓います。」


ゲーエン:「王国シルヴェスタより、魔学研究機関ヴァールハイトハルク

      最高責任者、ルチオ=カサモラータ殿。」


ルチオ:「はい。“白馬の紋章”守護獣チェレネに誓って。」


ゲーエン:「帝国オルディン国より、帝国軍ルディネガルデリア副将、

      レヴァンダ=オルグリオ殿。」


レヴァンダ:「はい。“獅子の紋章”守護獣ニエンテに誓います。」


ゲーエン:「共和国ランガルトから、ギルド代表蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)

      団長、総指揮官スレイヴ=グローリア殿。」


スレイヴ:「“精霊の紋章”守護獣ピルカに誓う。」


ゲーエン:「ご協力ありがとうございます。

      ご同行頂いた方々については、

      別室にある傍聴室で待機して頂いております故、ご安心して下さい。」






ラキア:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』

     第8話 四ヶ国、円卓会議」






ゲーエン:「それでは早速本題に入らせて頂きます。

      書状にも記載した内容の復唱となりますが、

      先日、ルミナシアは何者かに襲撃され、多大な被害を被りました。

      結界の崩壊により、多数の魔物の侵入がありましたが、

      聖騎士団と有志の協力により、事態は一旦収拾致しました。

      街全体の被害は総額にすれば一千ディア程です。

      死亡者こそ出ておりませんが・・・

      軽傷者が多数、との報告を受けております。

      結界の補修は数日前に終わっている状態ですが

      完全修復には、後2~3週間程かかると見越して御座います。」


レヴァンダ:「状況は把握しました。」


ゲーエン:「さて、ランガルト側からも同様の被害があったと伺っておりますが、

      ご報告願えますかな?」


スレイヴ:「了解。こちらも、数日前に何者かの襲撃を受けた。

      一度目は西(デュシス)方面を広範囲によって破壊され、

      時間差で二度目は東(シャルク)方面に。

      こっちの規模はそれ程大きくなかったが、

      聖都と同様、多数の魔物の侵入があり、

      四大ギルドの早急な働きに寄って事態は収拾できた。

      被害総額としたら三千ディアって所だな。

      被害の割に軽傷者は数人程度で、勿論 死亡者は0。

      結界の補修は急ピッチで行なっている最中だが、

      二箇所含め、完全修復には一ヶ月以上は掛かる見込みだ。」


ルチオ:「どちらも同時期に同じような手法で

     襲撃をされているわけですか・・・。」


レヴァンダ:「失礼。

       その襲撃犯とやらの目処はたっておられるんですか?」


ゲーエン:「えぇ。確信とまでは至っておりませんが、

      襲撃時に現れた異質な人物の特定は出来ております。」


レヴァンダ:「異質・・・?」


ラキア:「つまり、その場にそぐわない人物が存在していた、

     という事になります。」


スレイヴ:「・・・っ、なるほど。

      ってことは、それすらもこっちと似通ってる訳か。」


ゲーエン:「ほぅ、そちらもですか。」


スレイヴ:「えぇ。うちのギルドに、

      その異質な存在と接触した人間がいましてね。」


ルチオ:「・・・察するに、

     ルミナシア側も接触していると捉えて、間違いではないですか?」


ゲーエン:「お察しの通りです。」


ルチオ:「どうにも犯人側の意図には、

     敢えて、発見させる狙いがあると思えて成りませんね。」


ラキア:「或いは、純粋な破壊活動の線も、可能性が無いとは言い切れません。」


ルチオ:「確かにそうですが。

     結界の破壊が目的と言う割には、余りにも仕事が雑すぎませんか? 

     工作活動としては、穴だらけです。」


レヴァンダ:「推測だけで話を進めても目的が明確になるわけでは無いでしょう。

       他に、確信に変わる証拠でもあれば話は変わりますが・・・。」


スレイヴ:「その事だが、犯人に関して少し気になる事があってな。」


ルチオ:「なんでしょうか?」


スレイヴ:「フラーテルを襲撃した犯人は、そこに居るはずのない異質な人物。

      そいつは“白馬の紋章”を纏っていたという情報だ。」


ルチオ:「おや、面白い事になってますね。」


スレイヴ:「改めて思ったのは・・・

      そんな穴だらけの犯行を果たして、シルヴェスタ側が行なうか、だが。」


ルチオ:「混乱を招く、という発想で言えば。 可能性として在り得ますね。」


スレイヴ:「実際の所は?」


ルチオ:「全く存じ上げない事実です。

     そもそも、我々シルヴェスタは、

     ルミナシアとランガルト共に、交易関係にありますから、

     自らの国を追い込む様な真似をする筈がありません。

     何故わざわざデメリットになるような事をしなければ

     ならないのでしょうか?」


スレイヴ:「仰るとおりで。」


ラキア:「その件なのですが。」


ルチオ:「ルミナシアも同じ事を仰るおつもりですか?」


ラキア:「いえ、我々の場合“獅子の紋章”を纏った者です。」


レヴァンダ:「・・・。」


ゲーエン:「オルグリオ殿、何かございませんか?」


レヴァンダ:「覚えの無い話です。ですから

       それ以上に申し上げる事はございません。」


スレイヴ:「それだけじゃ説得要素が足りないと思うが。」


ルチオ:「オルディンは何処とも友好関係にある訳では在りません。

     言うならば独裁国家そのものですから、

     しっかり釈明をしなければ、疑いは深まるばかりですよ?」


レヴァンダ:「妄想を膨らますのはそちらの自由です。

       我々はどう解釈されようと一向に構いません。」


ルチオ:「おや、振られちゃいましたね。」


レヴァンダ:「安い挑発に乗るつもりは御座いませんので。」


ルチオ:「残念です。」


レヴァンダ:「・・・。」


ルチオ:「先程も申し上げましたが、

     我々は全く覚えが在りませんので、他の可能性として

     第三勢力の存在を上げさせて頂きます。」


スレイヴ:「第三勢力か。単純に考えれば

      やり口が荒く、ゲリラ的とも言えるのか。」


ルチオ:「そういうことです。濡れ衣を着せるにせよ、

     我々シルヴェスタに対して

     浅はかであるとしか言いようが在りませんね。」


レヴァンダ:「その点に関してはシルヴェスタに同感です。

       我々オルディンにしてみれば既に、

       浅はか、など言う言葉で済ませられる内容ではありません。」


スレイヴ:「なんだ、オルディンは真犯人でも捕まえて

      何かするつもりか?」


レヴァンダ:「お答えする義理はありません。」


スレイヴ:「随分、勿体ぶった言い方をするな。」


レヴァンダ:「そんなに、お聞きになりたいのですか?」


スレイヴ:「いや、やめておこう。楽しい話でも無さそうだしな。」


レヴァンダ:「・・・。」


ゲーエン:「そうですね・・・。

      両国とも、確実に疑いが晴れたわけでは在りませんが、

      この件に関しては後日、待遇を考案する事にしましょう。」


ラキア:「分かりました。」


ゲーエン:「此処からは、今しがた浮き彫りになった

      第三勢力についての議論を始めましょう。」


スレイヴ:「可能性としては、無きにしも非ずか。」     


ラキア:「そもそも、犯行を行なった目的はなんでしょう?」


ルチオ:「今予測される犯行動機としては、二つ在ります。

     一つ目は。結界を壊し、各国の要人を

     犯人に仕立てあげることに寄って、戦争を引き起こさせる。

     二つ目は。結界を壊し、魔物を侵入させ首都の壊滅を目論む。

     ですが、両国の被害の様子から伺うと

     こちらの線は薄くなりますね。」


レヴァンダ:「一つ目にしても、第三勢力の線が出てきた現在、

       戦争を引き起こさせる事に関して、

       そこまで効力があるとは思えないのですが。」


ラキア:「もし、今回の襲撃が試験的なものだとしたら?」


レヴァンダ:「どういうことです?」


ラキア:「結界の破壊は二次的なものであり、

     本命は、大量の魔物を侵入させ首都を壊滅させる事。

     今回の襲撃は、実験の様なものかも知れないという事です。」


ルチオ:「それでは・・・。犯人に仕立てあげる、

     という行為に対して、どうお考えですか?」


ラキア:「今現在、釈明はあったものの、

     確実に嫌疑が晴れているわけでは在りません。

     その内なる闇、それが目的ではないでしょうか?」


ルチオ:「ほぅ、ますます面白い事になってますね。」


レヴァンダ:「低レベルな思考に、笑いすら覚えます。」


ゲーエン:「ふむ・・・そこで、それらを踏まえたうえで。

      二つ目の議題に入らせて頂きたい。」


レヴァンダ:「・・・その様な話、

       書状には記載されていませんでしたが。」


ラキア:「ご安心下さい。全てが通ずる話なので

     書状に書かれていた内容とは異なりません。」


レヴァンダ:「・・・分かりました。」

      

ゲーエン:「では、改めて。コンラート殿。」


ラキア:「はい、説明いたします。聖騎士団上部及び

     セレスティア教会の上部を含む先遣隊を派遣し、実地調査を行ないました。

     この調査を実施するに至ったのは、

     それ以前に、結界内からの救援要請があったからです。」


スレイヴ:「救援要請って事は、魔物が関係してることか?」


ラキア:「はい。要請があった場所に向かった聖騎士団からは、

     結界は既に破壊されており凶暴化した大量の魔物によって

     半壊状態に追い込まれていたという報告が上がっております。」


レヴァンダ:「どういうことですか? 

       魔物は本来、結界に守られた人里に近づく事は無い筈。

       それが、破壊され凶暴化した魔物に半壊させるまでに至った。

       そのような話、2000年の歴史の中で聞いたことがありません。」


ラキア:「えぇ。

     ですから我々は、魔物に関する異変の調査を行ないました。

     近年稀に見る魔物の増加は個々で察知する程度では在りましたが、

     此処最近で、急激に増加し、凶暴化する傾向にある事が判明致しました。」


ゲーエン:「仮定の話にはなりますが、

      第三勢力がこの異変を認知していたとしましょう。

      その上で、結界を破壊し凶暴化した魔物を大量に侵入させ、

      首都の壊滅を目論む。・・・これで辻褄はあいます。」


レヴァンダ:「漸くはっきりした形が見えてきましたね。」


スレイヴ:「確かにそうかも知れないが、あくまで仮定の話。

      信憑性は欠けると思われます。」


レヴァンダ:「申し上げますが、此処までの話し合いで

       核心に迫った仮説が在りましたか?」


スレイヴ:「それを言われちゃ、返す言葉も無い。」


レヴァンダ:「・・・事実を述べたまでです。」


スレイヴ:「所で、ゲーエン殿。」


ゲーエン:「何でしょうか。」


スレイヴ:「結界を壊す方法については触れていないようですが。」


ゲーエン:「残念ながらお話出来るまでには至っておりません。」


スレイヴ:「・・・そうですか。」 

      

ラキア:「その様子ではフラーテル側も。」


スレイヴ:「(頷く)」


ゲーエン:「襲撃犯から答えを導き出す事が、一番の解決策ですが

      現段階では双方とも逃げられてしまっています。

      ですから、違う方法を探す他無いかと。」


スレイヴ:「他の方法・・・ねぇ。」


ルチオ:「失礼。

     今此処で分からない事に対して

     足踏みをしていても仕方ないと思いますよ。

     結界の破壊方法については

     我々の方でも追って調査致しますので。」


ラキア:「分かりました、それでは話しを戻しましょう。」


スレイヴ:「ん、それで・・・、

      魔物の増加と凶暴化はルミナシア地域だけか?」


ルチオ:「その件に関しては、

     こちら側でもその現象が見られています。」


ラキア:「シルヴェスタもですか?」


ルチオ:「はい。シルヴェスタ国内でも

     同じような異変が数年前からありまして、

     私の研究機関で、独自に調査を行なってはいるのですが、

     今の所、真相に迫った結果は得られていません。」


レヴァンダ:「・・・・。」


ルチオ:「風の噂で、オルディンも

     独自で調査を行なっていると、聞きましたが。

     どうですか?」


レヴァンダ:「噂は噂。我々が語れる事は何一つ。」


ルチオ:「意味深ですね。取り敢えずは、

   そう言う事にしておきましょう。」


レヴァンダ:「・・・。」


ラキア:「ルミナシアは、確信に近いものを得られています。」


ルチオ:「それが先程仰っていた、

   全てに通ずる部分になるんですね。」


ラキア:「はい。」


ルチオ:「お伺いしても宜しいですか?」


ラキア:「えぇ、襲撃事件があった日の午前。

     女神ヴァレスティア様から神託が在りました。

     そう遠くない未来に、大きな災厄が訪れると。」


ゲーエン:「我々は、こう考えております。魔物の異変。

      そして、それを利用しようとしている第三勢力。

      その全ての異常が、いずれ来たる災厄の前兆では無いかと。」


ルチオ:「なるほど・・・。」


ラキア:「当然、現段階で最優先に行なうべきは第三勢力の特定でもあります。

     ですが、今回の襲撃時や結界外の被害を含め、

     早急に魔物への対策を練らなければなりません。」


スレイヴ:「そちらを先決すれば、必然的に第三勢力の目論みも

      効果としては薄められるって事か。」


ゲーエン:「お察しの通りです。

      いくら各国の軍事勢力が整っていたとしても

      捨て置けば、魔物は無尽蔵に増え続けます。

      いずれ人の手に追えなくなるでしょう。

      ですから、手遅れになる前に各国の協力を募りたいのです。」


レヴァンダ:「御言葉ですが、具体的な対策はお持ちなのですか?」


ラキア:「勿論です。それは・・・

     女神の心、古代に眠りし希望の光を開放する事。

     それが、現在我々が考えている対策です。」


スレイヴ:「希望の光?」


ゲーエン:「女神ヴァレスティア様から与えられし、八つの神具です。」


スレイヴ:「天地戦争と女神の制約に出てくる伝説の武器ですか。」


ゲーエン:「はい。」


ラキア:「神具の力を結集、及び開放し、

     女神ヴァレスティア様を復活させることによって

     アルシャディアを再生させることが可能となる。

     それが、魔物の異変を根本から食い止める最善の方法です。」


ゲーエン:「書物によれば、解放された神具は

      神の如し業を発揮するそうで・・・

      今後、魔物との戦闘において、大いに活躍する筈です。」


ルチオ:「・・・。そこまでは理解できましたが。

     その神具が悪用される可能性は、考慮していますか?」


ラキア:「心配に及びません。

     神具を持つ事を許されているのは、

     女神の加護を受けし者達の中から、

     紡ぎし唄によって選ばれた者たちのみです。」


スレイヴ:「紡ぎし唄って言うのは?」


ラキア:「女神の誓約によって、神具を護っている者たちの事です。」


レヴァンダ:「理屈では理解できたとしても、

       実際に動くと成れば、随分と荒行になりますが。」


ゲーエン:「ふむ。手当たり次第では無く、

      資格がある者を的確に探すにはどうするか、ですね。」


レヴァンダ:「はい。」


ゲーエン:「そのことについてですが。

      つい先日、決め手となるお話が在りまして。」


レヴァンダ:「・・・決め手、とは。」


ラキア:「選ばれし者が紡ぎし唄と共に神具を持って現れたのです。」


スレイヴ:「・・・。」


ラキア:「ですから、紡ぎし唄の近くに神具がある事は断定してもいいでしょう。

     そして、選ばれし者達は神具と何かしらの縁(えん)で

     繋がっているのではないかと。」


スレイヴ:「なるほど、“紡ぎし唄”が鍵になってるって事か。

      だが、どうやってそいつらを探すんです。」


ゲーエン:「現在呼ばれている神具の呼称は、

      英雄と同じ名だという事はご存知ですか。」


スレイヴ:「えぇ。」


レヴァンダ:「つまり・・・。

       神具に縁(ゆかり)の在る者や場所を探れば

       紡ぎし唄に辿り着く事が出来る。そう捉えていいですね?」


ゲーエン:「はい。」


ラキア:「神具の持ち主は彼らが選ぶのですから、

     それが最善策かと思われます。」


ルチオ:「三つが揃って意味を成すもの、ですか。」


レヴァンダ:「しかし、そう簡単に遂行出来るものとも思えませんが。」


スレイヴ:「どうだろうな。 やってみない事には何も言えんだろ。」


レヴァンダ:「・・・分かりました。」(答えに不服そうして)


ラキア:「我々の目的は、各国に散らばる紡ぎし唄と、

     神具の捜索の協力を仰ぐことです。

     それらが、アルシャディア再生の為の最善策と推定し

     此処に提言致します。」


ゲーエン:「ルミナシアからは以上です。

      各国のご意見を伺いたい。」


ルチオ:「そうですね、襲撃事件に関して言えば意見は変わりません。

     我々とは無関係な人間、つまり、第三勢力による工作だと思います。

     我が国の象徴“白馬の紋章”を悪用されたとなれば、

     静観するわけにも行きません。

     疑念を晴らし、今後の友好関係を保つ為にも

     協力は惜しまないつもりですよ。」


ゲーエン:「それでは・・・。」


ルチオ:「えぇ。シルヴェスタは、ルミナシアの協力要請に応じます。

     勿論、調査込みですから人もお貸しします。」


ラキア:「助かります。」


スレイヴ:「今回は被害者なんだが、

      ランガルトとしても、

      今後同じような事が起こるのは正直考えものだ。

      丁度、ギルドに協力要請も出てた筈だしな。

      この事態を打破する可能性が少しでもあるなら、協力はしようと思う。

      が、生憎決定権は持ってないからな。

      一度本国に戻って改めて書状を送ろう。

      なんなら、ルミナシアとランガルトの保険として一人、

      こっちに留まらせておくが・・・。」


ゲーエン:「ありがとうございます、その方が迅速な対応が望めますね。」


レヴァンダ:「私にも決定権は御座いませんので、ランガルト同様

       オルディンも後日返答させて頂きます。」


ゲーエン:「分かりました。良い返事を期待していますよ。」


レヴァンダ:「・・・・。」






≪傍聴室≫






ユアン:「神具を解放し、女神を復活させる事による

     アルシャディア再生・・・。」


ハザル:「・・・。」


ユアン:「具体的に、再生ってどういう事を指してるんでしょうか。」


ハザル:「誰も知るすべは無い。」


ユアン:「そう、ですよね。」


ベルヴァルク:「異質だな。」


ユアン:「っ?」


ハザル:「・・・・。」


ベルヴァルク:「・・・お前は何者だ。」


ハザル:「・・・。」


ユアン:「その・・・。」


セグレート:「(食い気味)ぎ、議会が、そ、そろそろ終わりそうですよ?」


ユアン:「そ、そうですね。」


セグレート:「あ、あの。えっと、申し遅れました。

       わ、わわ私はシルヴェスタからやって、きました。

       司祭(ビショップ)の、セグレート=ソヴァールで、です!」


ユアン:「あ、えっと。ランガルトから来ました、

     ギルド、蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の

     ユアン=イグニスです。

     フード被ってる人はハザル=ジュリアスさんです。」


ハザル:「・・・・。」


ベルヴァルク:「・・・ハザル?」


セグレート:「よ、よよよ宜しくお願いします。」(勢いよくお辞儀をする)


ユアン:「よ、宜しくお願いします。あの、もし体調が悪いようなら・・・」


セグレート:「(食い気味)あっ! えっと、

       ひ、人見知りなだけ、なんですっ。」


ユアン:「そうなんですか・・・。」(苦笑)


セグレート:「も、もう一人の方は・・・、

       ど、どなたなんですかね?」(コッソリ)


ベルヴァルク:「・・・・・。」



(傍聴室に入ってくる)


【ノック音】


レヴァンダ:「失礼、ガードナー将軍。

       会議が終わりましたのでお迎えに上がりました。」


ベルヴァルク:「・・・・スグに帰還する。」(去る)


レヴァンダ:「畏まりました。」(去る)




ユアン:「行っちゃいましたね。」


セグレート:「か、会議が、終わったと言うことは、

       ルチオさんも、そろそろ・・・。」



(傍聴室に入ってくる)


【ノック音】


シエル:「失礼します。長らくお待たせ致しました。

     只今、手続きを行なっている為もう暫くお待ち下さい。」


ユアン:「あの。」


シエル:「何か?」


ユアン:「今出て行った方は・・・。」


シエル:「あぁ。オルディンからいらした、

     ルディネガルデリア軍の将軍、ベルヴァルク=ガードナー殿です。」


セグレート:「な、なななんで議会に出ないで此処に、い、いたんですか?」


シエル:「自ら望んで傍聴に回られたと聞きましたが。」


ユアン:「将軍といえば、

     国内でも最高位に近い権力を持つ人・・・ですよね?

     どうして、直接会議で発言なさろうとしないんでしょう?」


シエル:「噂に聞けば、多くを語ろうとしない性格の御方、らしいですよ。」


ユアン:「そ、そういう理由で・・・?」


ハザル:「若くして多くの武勲を立てた武人でもある。」


シエル「言葉より、剣の腕で政治するほうが

    向いてらっしゃる御方なんでしょう。

    ま、私もあまり人のことは・・・ん?」


ユアン「なるほど・・・ガードナー将軍、不思議な方ですね。」


シエル「えぇ、ところで・・・」


セグレート:「(食い気味)あぁっ!!」


ユアン:「ど、どうしたんですか?」


セグレート:「反応があったんです!」



(地響き) 


ユアン:「っ! 今揺れませんでしたか?」


シエル:「揺れましたね・・・。」


セグレート:「こ、これは大きいですよぉ!」


シエル:「お、落ち着いて下さい! 状況が全く読めないのですが。」


セグレート:「と、兎に角急ぎましょう!」(テラスに出る)


ハザル:「・・・っ!」


セグレート(声):「あわわっ、これは凄いです!!

         み、みなさんこ、こちらです!!」


ユアン:「えっと・・・?」


ハザル:「テラスだ。」


シエル:「様子を見に行って見ましょう。」


ユアン:「はい。」




≪テラスに出ると結界のスグ近くで

 大型の魔物が結界を壊そうと暴れている≫




シエル:「なっ!?」


ユアン:「っ!? 大型の魔物が結界を壊そうとしてるっ!

     一体どういうことですか?」


セグレート:「つまり、こ、こういう事なんです!」


ユアン:「え? あの・・・。」


ハザル:「先に行く。」(去る)


ユアン:「は、ハザルさん!? あ、行っちゃった。」


シエル:「申し訳ないですが、私も席を外させて頂きます。」


ユアン:「お気をつけてっ。」


シエル:「有難う御座います。それでは、失礼します。」(去る)


セグレート:「ゆ、ユアンさん! わ、私たちも

       い、急いで行きましょう!」


ユアン:「わ、分かりました。」




シエル(M):「全てが解決したとは言い難いが、

       法国ルミナシアが催した円卓会議の目的は、

       果たされる事となった。

       しかし、それと同時に更なる事態が聖都を襲っていた。」






ユアン:「次回『『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』

     第9話 闇の鼓動」








*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-


『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』公式HPはこちら


     https://iroha0710sakuraba.wixsite.com/hofe


【ボイスドラマ/第8話 四ヶ国、円卓会議】


niconico:http://www.nicovideo.jp/watch/sm32472646

YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=gBQhYGkNeyA&t=137s

MQube:https://mqube.net/play/20171227498459


*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-00-0*0-00-*0*-

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る