口をつける
彼女からのSOSがあってからしばらく経った。その間にはちょっとした事件があった。
僕が授業をサボると彼女もサボる、何か二人にあるのではないか? というもの噂が流れているというものだ。
それにより僕は少しだけ注目の的であり、好奇な目で見られ、僕は自分の平穏が少し崩された。しかし、そんな噂も一週間しないうちに消えてしまった。
噂が消えた後、僕たちは屋上でその事について話していた。この時は珍しく僕から話題を出した。
「そういや、僕たち二人に何かあるんじゃないか? っていう噂が流れてたよ」
「えぇ、知ってるわ。だって、どう考えてもあるようにしか思えないじゃない、二人とも授業を抜けてたら」
彼女はさも当たり前のように答えた。
「いやいや、そこをどうにかするのは君の方じゃないか」
「そうよ、だから噂をできるだけ鎮火させてきたじゃない」
人気者の彼女の噂が一週間で消えるはずもないのに消えたのは彼女が頑張っていたからだった。できるだけ僕に迷惑がかからないように、今の関係が崩れないように。
「そうだったのか、まぁ、ありがとう」
僕はまた平穏が訪れると思い、礼を言った。
「いえいえ」
クラスの情報に疎い僕は何故消えたのかは分からなかった。それで僕はどうやったのか聞いた。
「知らない方がいいこともあるのよ」
とすまし顔で答えた。その言葉によってその日の会話は打ち切られた。
何故、僕たちの噂が消えたかの真相はすぐに判明することになった。いくら情報に疎い僕でもそれは分かるレベルであった。
その内容は彼女の取り巻きのうちの一人であるC男が彼女のことが好きというものだった。このC男が結構、クラス内外からも人気のある奴であった。
これまた、たちの悪いことに二人とも人気のあることだった。ある人は二人とも付き合えばいいのに、またある人は私のC男君が!、別の人は僕らのアイドルの彼女が! と結構皆、その話題に夢中だった。
当の本人たちはというとC男の方は何か言われると照れていて、彼女はうまく誤魔化さず情報を小出ししていた。
だが、この事件は公開告白したC男を彼女が振るという結末で収束した。
そうであると誰もが思っていた。しかし、そうではなかった。
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