蓋を開けた

 屋上に僕を連れていってベンチに座らした。


「ねぇ、あなたはどこまで知ってるの?」


 彼女は僕を試していた。彼女は僕が使える人間かどうか、そして信頼できる人間かどうか。


 それに僕は何て答えたと思う? 


「何も知らないと言えば知らないし、全て知っていると言えば知っている。」


 こう、答えたのさ。そして、僕は万が一を思って、逃げ道を用意した。しかし、それは一瞬で潰された。


「いいえ、あなたは知ってるわ。じゃなきゃ、私にあんな言葉は言えないでしょ?」


 彼女の確信は図星だった。


 ただ、それは当時の彼女と僕にとってはという条件付きである。今、振り返れば知ったかぶりをした彼女と僕だった。


 そんな僕と彼女は話をする友への一歩を踏み出した。


「決めたわ。私、あなたと話す。もっともっと話す!」


 それを宣言した彼女の涙は乾いていた。そして、太陽のような笑顔だった。


 それに対して僕は変なやつに絡まれたと思い、話を変えた。当時の僕は教室の隅にいるような奴であった。


「そういや、腹痛で保健室に行くって言ってたけど大丈夫なのか?」


「あっ、やば。他の子が探しに来るかも」


「そろそろ、戻った方がいいんじゃない?」


 彼女は少し思案していた。僕は彼女との会話を早く終わらせて昼寝がしたかったので、彼女の背を押す。


「僕と違って友達いるんだから、早く行けよ。」


「うん、そうだよね。じゃ、また屋上で」


 と言った。全く失礼なやつだ。そして、彼女は走っていって扉に手をかけて、大声で叫んだ。


「じゃぁ!また!」


 それに対して僕は気取って手を挙げた。それを見て彼女は屋上から出ていった。


 僕はやっと昼寝ができると思い、うつらうつらしようとしたが、色々考え始めてしまった。


 最初に考えたのは何故か彼女のことだった。


 なぜ、彼女は屋上にいたのか? なぜ、彼女は泣いていたのか? なぜ、彼女は僕を試したのか?


 疑問だらけになっている。そんな疑問を考えている中、チャイムが鳴った。


 次の時間もサボるか。彼女も来るかも知れないし。そう考え、残りの授業をサボったが彼女は来なかった。

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