スターライフストーリー

兄尊<アニソン>

プロローグ 兄弟の目線

大きく溜め息をつきながら星を見上げている青年がいた。

周囲に光源が無く星の輝きはかき消されずにしっかりと青年の視界へと降り注いでいた。

青年の名はクード・マウンテ


「はーぁ なーにが星の数だけ仕事があるだよ 出会いがあるだよ 具体的に言ってくれよなぁ」


そうぼやき丘の上で寝そべりながら空を見上げる。


「見つけた やっぱりここだったか クーが夜居ない時は大体ここらへんだもんな昔っからさ」


そうクードに近寄りながら話しかける男は兄弟のウェイ・マウンテ


「兄貴……なんだよ もうすぐ帰ろうかと思ってた所だったんだ」


「いや なんと言うか皆心配しててな クーが必要以上に落ち込んでないかなってさ」


クードは最近になって田舎に帰ってきたのだ。正確に言うと連れ帰られたと言うべきか、都会に夢を見て田舎を飛び出したのだが働く先々でミスを起こし首になり、お金が底をつき帰郷することさえ出来なくなっていたのをウェイが迎えに来てくれたのだ。


「あー悪かったよ兄貴 お金は必ず返すから」


「クーそれはわかった それよりこれからどうするんだ?ここで働いていくのかそれともやりたい事とか有るのか?」


クードは少し考えた後に


「仕事選ばなきゃ何でもあるだろ適当に働いてでも返すよ」


「適当にか それなら俺と一緒にもう一度王国に行かないか?」


「また王国に?何しにいくん」


ウェイはニヤリと笑って


「王国に行って活躍してギルドを立ち上げるんだ」


「ギルドを?」


誰かの元で働く事しか考えた事がないクードにとっては少し受け入れ難い話だった。


「それこそ夢物語じゃないか?」


「夢物語上等だろ それにギルドなんて申請出して通ったら誰でも作ることが出来るんだぞ」


「え そうなの?そんな簡単にか」


「そうだよ じゃなきゃあんな数のギルドが存在する訳がない」


クードは興味を持ち始めていた。


「具体的に何やるとか決めてるのか兄貴」


「そうだな方向性はおおよそ決めてる」


「どんな?」


「まずギルド立ち上げたら基本的に何でも仕事を受け付けるんだ」


「何でも屋みたいな感じか でも処理出来ない仕事もあるだろ」


「そりゃ勿論そうだがそもそも立ち上げたばかりのギルドにそんな高難度依頼なんてこないだろう」


「そりゃあまぁそうだろうけど」


「仕事こなしつつギルド信頼を得ることが出来たら仲間を募り大きくしていくんだ」


クードは好奇心が膨らんで来てはいるもののどうしても否定的な意見を口にしてしまう。


「そんな簡単に行くのか?ギルドなんて王国に沢山有ったし普通に考えたらどこかのギルドに所属する方が楽なんじゃないかな」


「そうだなぁ楽を考えたら確かにそうかも知れないな」


「だろ」


ウェイはクーと目を合わせて


「クーはやりたい事今は無いんだろうけどもこれから先やりたい事が出てきた時にお金が必要なるかもだし場合によっては何かしらの経験かも知れない だから今迷ってるなら俺と一緒に行かないか?」


クードは少し考えてから


「また王国か……行くだけ行ってみるか今度はしっかりやりたい気持ちもあるしな」


「じゃあ決まりだな 爺さん婆さん母さんには俺から話すからな」


「うん」


クードは兄がそう言ったのは心配を少しでも減らしたいからだと直ぐに理解出来たので小さく返事して頷いた。


「さー明日から出発準備だ 楽しみだなぁ~」


「なぁ兄貴」


「ん?なんだ」


クードは兄に迎えに来てくれたお礼を言いたかったのだが照れくさくて


「兄貴のやりたいことってギルド立ち上げて大きくすることなんだよな?」


「誰がそんなこといったんだ~違う違う それは悪魔で手段であって目的じゃないからな」


「え じゃあ何なんだよ」


「俺の目的はマウンテ兄弟ってすげぇ!やべぇよな!って知らしめる事さ」


「それって有名なりたいだけじゃんか」


クードがそう笑いながら言うと


「まぁ今はそーゆうことにしておくさ さっ家に帰ろう」


「そうだな」


二人は星空の灯りの下歩きながら談笑する。

未来で何が起こるのか二人は勿論、誰にも分からない。

兄ウェイの夢とそれにとりあえず付いていこうとするクードの数奇な運命が今始まった。







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