少女と道化はかく語り

陸昼すず

第1話とある少女の晴れの日

いつも彼は、そこにいた


奇抜な衣装を身にまとい、奇天烈なメイクを施した顔で、私におどけて笑うのだ


毎日、毎日


同じ時間に、同じ場所で、同じ格好をしては、彼は踊ったり、歌ったりしながら芸をする


途中で失敗するのも、同じ芸の、同じ場面


最後の最後で、彼はいつも失敗する


「また、失敗したね」


「そうですね…」


「何で、他のにしないの?」


「これしか出来ないのですよ…」


「変な道化師ピエロさんね」


「よく、言われます」


そう言って、彼はまたおどけた様な苦笑い


では。と声をかけてから、いつも通り路地裏に消えて行く


それを見るたび


まるで彼は、幽霊のようだと私は思う

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