第8話 その言葉の未満はどこへ

 なんの前触れもなく

「先生、好きな女性のタイプってどんなのですか?」

 と投下される。思わず

「それってどういう事?」

 と質問返ししてしまった。頭の中に百合の花が咲き乱れる。

「うーんと、かわいい子とかクールな子とかですかねー」

 ロングヘアーにしたくて伸ばし中の髪の毛が肩に当たるかと思えば離れていく四年生女子。昨日から長いズボンに変わって夏の元気な印象から、おとなしい子に見える。服装というのは本当に面白い。質問は決して面白いものではないけれど。

 それで質問への答えだが、えーと、先生は女性なので、好きなタイプも何もない。あるのは許容範囲とそれ以外。喜べ、貴女はそれ以外だ。と言いたい所だったが

「そうね、楽しい子かなぁ」

 と思ってもない事を口にする。何て返されるのかと思っていたら

「そうなんですか〜」

 とどこかへ行ってしまった。正直に言ってたら、話の続きがあったんだろうか。百合の花が消えていくのだった。

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