Re:第1の殺人

俺は死んだ。だれかに殺された。しかし生きている。

今までの事件は何だったのか。

無人島の船着き場にいる。病院にいるわけではない。

そして、一瞬、激しい頭痛と立ち眩みがしてしまった。

どうやら船旅で疲れたのだろう。

ここは小さな島のようだ。

無人島にそびえ立つ館が遠くに見えた。

「早く行けよ!オラァ!」

後ろから声がした。最初に死んだはずの飛車だ。

周りを見渡すと事件で殺された全員が生きて歩いている。

どういうことだ。

「助かった。全部夢だったんだー!」

俺は叫んでしまった。

「邪魔だ!オラァ!」

飛車がまた叫んだ。

今までの出来事は予知夢だったのだと考える。

これからの起きる事件を回避するため、神が俺に予知能力を身に着けさせたのか。

「俺がみんなを助ける・・・夢のようにだれも殺させはしない・・・」

俺は呟いた。

「・・・」

ナイトはじっとこちらを見つめていた。

出迎えが来たようだ。

船着き場には出迎えてきた2人の姿が見えた。

「皆さん、お久しぶりデス。私の館へようこそデス」

IT企業の社長であり、この無人島の館の主である王子が挨拶する。

王子は白髪の長髪であり、かなりの美男子である。

「わだぐじめはごの2日間、皆ざまの執事の役割を担当じまず二歩ともうじまず。なんなりどお申じ付げぐだざい」

二歩も挨拶をする。二歩は腰が曲がり体は常に挙動不審に動いており、しわくちゃな顔には大きなギョロっとした目玉がついている。

王子と二歩の案内で無人島の館にたどり着く。

「昔に建てられたものを改装したものデス」

王子が館に手を向けながら説明する。

「ここではクローズドサークルでの謎の連続殺人事件が起きるんだよ」

俺は半分冗談に聞こえるように言った。

「これから起きる殺人事件の謎を解いてこの島を出てくださいデス」

王子は不敵な笑みを浮かべた。

「探偵が来る場所には事件あり。今度こそ事件が起きても解決してやろう」

同じ事件が起きたら次こそは解決してやろうと考えてしまった。

不気味で古びた館に見えたが、エントランスに入ると外観とは違いリフォームがされていた。

まったく同じ殺人事件が起こるのならば事件を防げるのではないか、飛車に毒入りのワインを飲ませないように徹底すれば問題ないはず。

館に全員で入る。

不気味で古びた館に見えたが、エントランスに入ると外観とは違いリフォームがされていた。

赤いカーペットにシャンデリア。正面には大きな階段がある。壁には大きなノッポの古時計がカチカチと音を立てて時を刻んでいる。エントランスには剣などが壁際に飾られている。

「うおお!この剣って本物?」

ここではしゃいでる将軍は元軍人の傭兵だ。身長はかなり高く、色黒でマッチョのスキンヘッドで、グラサンをしている。この剣で船長は殺されたのだ。

「レプリカじゃないかワー」

怪訝な顔をした銀は銀行員である。髪が七三別けで、端正な顔立ちをしている。そして、剣に触れようとしていた。

「ざわっだらあがああああん」

二歩は止めるように促す。

「本物かワー」

銀は不機嫌そうに答えた。

「王子は儲かってまんな。ワイにも分けてくださいな」

金成は王子に向かって話す。金成は自営業であり、見た目はオールバックのポニーテールをしている。とある事故で片足を無くしたらしく義足で杖をついて歩く。

「ここ携帯が通じねーじぇねーかよオイ!」

飛車は急に怒り出した。飛車は保険の営業マンのようだ。

「ここは回線が通じないので、申し訳ありませんデス」

王子が答えた。

「どうしてくれんだ!オラ!」

「明日の昼頃には帰るし大丈夫じゃけん。落ち着くじゃけんの」

竜馬がフォローを入れた。竜馬は財閥の御曹司で、モジャモジャ頭が特徴的だ。

「騒ぐんじゃない」

桂警部は警察官で、背は低いが筋肉質なのが特徴的だ。

「オラァ・・・・・」

飛車は静まったようだ。どうやらここでは携帯が使えないらしい。

最後に部屋に入ったナイトは簡単な自己紹介以外は言葉を話さない。ナイトは小説家らしい。

「・・・・・・・・・・・・」

「スペアキーは1つだけあり、私だけが持っていますので、鍵を無くされたりした際は私に言ってくださいデス。二歩は部屋の案内をお願いしますデス」

レインボーの特殊な鍵をみんなに見せてくれた。普通のカギはそれぞれの色がついていた。王子に指示され、二歩に一通りに部屋を案内された。

1階には、ラウンジ、食堂、遊戯室、厨房などがあるようだ。

2階には王子専用の部屋と12室のゲストルームが存在している。

それぞれ1号室から12号室までの部屋の番号が割り当てられていて、それぞれ個室の鍵を渡された。

部屋はオートロックではなく、施錠するタイプの鍵だ。

俺はゲストルームの2号室に入った。

ゲストルームには窓がなくそこまで広くない個室だ。

トイレもなく、簡易シャワーもない。

共同のお風呂とシャワールーム、トイレが2階と1階にそれぞれ1つだけあるらしい。

新しいベッドだけが置いてあり、窮屈な感じがする部屋だ。

案内をされていた時に、遊戯室で交流しようという話になり、部屋に荷物を置いてすぐに一部のメンバーは遊戯室に集合することになった。

最初の時は遊戯室で雑談をしながら何人かでポーカーに興じていた。

遊戯室へ先に行くのをやめておくことにした。

そもそも船で直ぐに全員引き返した方がいいのではないか。

予知夢を見た俺が犯人を見つけ出さなきゃならないし、館を調査してみようと考える。

俺は館の2階をうろうろとしていると王子がいたので話かけることにした。

「天気が悪いデス」

「そうだな」

「10年ぶりとなるのデス」

「10年前に俺は王子がここまで成功者となるとは思ってなかったよ」

「まだまだこれからデス。今の仕事はどうデス?」

「探偵としてこれから活躍していきたいと思っているよ」

「そうデスか。私は晩餐会の準備がありますので行きますね」

「じゃあ後で」

「デス」

王子が去ったので、館の中や館の周りを歩き回りXを見つけようとしたが見つけられなかった。

そこでまた遊戯室にいく事にした。

遊戯室にはポーカーやブラックジャックに興じられる台とチップがある。

ダーツ、ビリヤード台、冷蔵庫には冷やした飲み物、豪華で大きなソファーなどが置いてある。

遊戯室では竜馬、将軍、飛車、の3人がポーカーの賭けを始めていた。

「ストレートじゃけんの。すまんな」

竜馬が勝っていた。

「ギャンブル運がない!女運もない!」

厳つい将軍はいう。

「女がいなかったのかオラァ!オラァ!」

「ギャンブルは負けに負け続け。戦場では男しかないし女運がない」

「お見合いをすればいいじゃけん。ワシはお見合いで嫁ができたじゃけんの」

「お見合いというのもアリか。俺の理想の結婚生活計画がどんどん遠のいていくようだ」

将軍は笑いながらいう。

「ちゃんと女見つけて保険にも入るんだゴラァ」

「身内がいない俺にはまだ必要ない」

「ナイトなんてどうなんだオラぁ!」

「ナイトとは恥ずかしくて一回もしゃべってないな」

3人はゲームをしながら会話をしていた。

ここからはゲームに参加させてもらうことにした。

「俺も次からゲームに入るわ」

「入れよゴラァ!」

「最後には必ず俺が勝つ」

そうして遊んでいるうちに17時半となり、第一の殺人事件の時間が迫ってきた。

厨房では二歩がフルコースのフランス料理を用意している。

二歩は食堂の食器の準備もしている。

一人で行うには結構大変なようなので、王子も少し手伝いをしている。

18時に全員で食事をする予定だ。

とりあえず、コップも入念に拭いてテーブル周りをチェックしておいた。

あとはだれかがワインに毒を入れるとこを取り押さえるだけだ。

17時半になったので食堂に集まった。

雑談している内に食事の時間になり、18時の時計の音が鳴った。

18時になり、王子は声を発した。

「今日はお集まり頂き誠にありがとうございます。今日は是非とも親睦を深めましょう。乾杯!」

「「「乾杯!」」」

全員がワインを口にした時に異変は起きなかった。

料理を食べても問題はなかった。

どうやら悲劇は回避できたようだ。

無事に晩餐を終えた。

それぞれが部屋に戻って休んでいた時だった。

すると異変は起きた。

「だいへんです。あるじざまがあああああ」

二歩が走りながら叫んでいた。

ゴミを処理するボイラー室で異変があったようだ。

ボイラー室に近づくにつれて異臭が強くなってきた。

ボイラー室にではだれか判別つかないような形で人が黒焦げとなっていた。

第1の殺人は起こってしまった。死んでしまった。

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