発動(zero hour):2
【北米大陸 中央部】
1945年5月9日
連合国はエクリプス作戦において、作戦区域を3つに分けていた。
まずカナダの
次に
最後に
端的に要約すれば、エクリプスの主舞台は五大湖戦区であり、主役は合衆国第6軍だった。それ以外の戦区に割り当てられた配役は引き立て役に過ぎなかったのである。英国陸軍、遣米軍、そして合衆国第7軍に期待された役割は南北から邪魔が入らぬよう防波堤として機能することだった。合衆国第6軍が合衆国中央部から五大湖まで打通するまで、他の軍は魔獣の進攻を食い止めれば良かった。逆説的には、合衆国第6軍が打通が失敗した場合、全てが水泡に帰することを意味していた。
上述のようにエクリプス作戦の実態は、あくまでも五大湖周辺の魔獣とBMの無力化を意図した限定攻勢であり、決して後世に語り継がれるような合衆国の全土回復を意図した全面攻勢では無かった。
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エクリプス発動の先鋒を切ったのは、航空部隊だった。2000機以上の戦爆混合の攻撃隊が払暁とともに飛び立ち、定められた目標へ向けて爆弾の豪雨を降らした。
主要な攻撃目標は大別して、二つに分かれていた。
一つは陸上戦力の進撃予定路にある魔獣の群れだった。魔獣はセルと呼ばれる群体を形成している。セルの構成は、種族によって様々な形態に分けられていた。例えば、ワームやバジリスクなどの竜種は単一で構成されている。一方、グールやトロールなど人型個体の魔獣は、互いを補うようにセルを形成し、擬似的な複合戦闘集団と化していた。
もう一つの攻撃目標は、大型魔獣だった。ドラゴンやヒュドラなどである。予め識別票をマーキングされた個体に対して、中隊単位の航空隊が割り振られた。それら魔獣は、ロケット弾から1トン爆弾まで航空機に搭載可能なあらゆる兵装を用いて、文字通りミンチになるまで猛攻を受けることになった。一見すると
作戦開始から48時間後、航空攻撃によって50個近くのセルと28体の大型魔獣が戦闘不能と判定された。
初動は成功と判断され、5月11日、正面戦力として連合国の陸上部隊20万人が進撃を開始した。
もちろん
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次回3月16日(土)投稿予定
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