太平洋の嵐(Pacific storm) 8
【オアフBM内部】
「……ここはなんだ?」
戸張は視界を確保するため、烈風の
戸張は眉をひそめると、機関の回転数を僅かに落とした。視界が不良なうえ、周囲には烈風を駆るには手狭な空が広がっていた。
「おい、まさか……BMの内部か?」
誰に話しかけるわけでも無く、戸張は呟いた。
内部の構造を見るに、その可能性が高かった。壁面が湾曲し、巨大な球状の空間にいるようだった。
戸張は無線機で僚機と連絡を取ってみたが、雑音が返ってくるだけだった、
――無線も通じねえと来てやがる。勘弁してくれよ。
どこかに脱出路がないかと周囲を改めて見渡してみる。
BM内部は薄暗くぼんやりとしていた。BM内部は全体的に薄い緑色で照らされていた。
まったく不愉快な光景だった。戸張は
壁面は、いくつもの巨大なこぶの塊に覆われ、それが粒状に全体に広がっていた。それらを縫うように血管のような管が通っている。
中心部を貫くように、大木のような巨大な柱が
――畜生、閉めときゃ良かった。
戸張は後悔と共に、天蓋を閉じた。遺憾ながら、不快な空気が操縦席内に補充されてしまった。
「さあて、どうするか――」
それは直感だった。
「トカゲ野郎!! 不意討ちなんざ、10年早いぜ!!」
攻撃手段から、瞬時に敵の正体を
――黒い飛竜だと!!
「反則じゃねえか!!」
思わず戸張は叫んだ。そう思わせるほどの飛行性能だった。
黒竜は、戸張の機体を目指して真っ直ぐ飛んできた。その冷たい眼光は
頬を伝う冷や汗を感じながら、戸張は口元を歪ませた。気に入った。
「いいねえ!! こういうのを待ってたんだよ!!」
脱出路は不明。
それに、どのみち、こいつを倒さない限り捜索もできないだろう。
ならば、どうする?
愉しむしかないだろう。
「さあ、
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次回1/13投稿予定
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