~ヒロイン~ 6

 その後、私はエタニティーで、佐原君と再会することができた。そしてあの日へとタイムスリップした。だが、結局は何もできなかった。

私は自分の気持ちを伝えたものの、今の佐原君の家庭を奪うことなど、到底できなかった。しかし、これで良かったのだと思っている。誰かから幸せを奪って何かを得たとしても、それは絶対に良い方向には向かわない。真樹さんも「不思議に思う」と首をひねっていたが、私はただ、人生で一番好きになった人の幸せを願ったに過ぎない。当たり前のことだ。


目覚めた私は病室に居た。人生は変わらなかった。真樹さんの言うとおり、これからの私の人生は、階段から転落した影響で半身不随だろう。だが、その人生がどんな大変な道であろうと、生き抜いていこう。


きっと彼はどこかで野球を続けてくれるだろうから。その姿を再び見ることができると信じて生きていこう。

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