~小さな来訪者~ 8

 結婚して一年が経つ。私の妻である利恵が妊娠した。不思議なこともあるものだ。プロポーズをしたあの日の夜、私は夢を見た。昔、私が飼っていたミミと話をする夢だった。さらに驚いたことに、利恵の夢にもミミが出てきたのだという。その内容があまりにも一致していたことから、私はあの出来事が夢ではないという確信めいたものすら抱いている。

 それから、私たちは結婚することになり、一つの生命が私たちの間に宿ってくれた。


 娘の名前は「美々(みみ)」と名付けるつもりだ。そして、最後まで私たちの事を思いやってくれたミミの生まれ変わりだと思い、その子供に精一杯の愛情を注ごうと思っている。


 峻はそんな思いを馳せて窓の外を眺めている。その隣の棚に飾られた写真立ての中では、あの日の峻と利恵とミミが笑っていた。

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