BAR eternityの奇跡

冬野 俊

プロローグ

 この世界に生きている人間の数は実に六十億人。数字で言うのは簡単だが、その一人一人の前には、それぞれの「人生」という名の道が広がっている。生涯の長さにも長短はあるが、歩む道程については、それこそ六十億色の違いが存在する。

 ある男がこんなことを言っていた。


「どんな人生にも、必ず一つはドラマがある」と。


 私はその言葉に深く共感している。人生とは、いつか迎える死へのカウントダウンでありながら、自身のドラマを楽しみ、笑い、泣き、感動する、そんな一つの物語なのではないかと、そう考えている。

 BAR「Eternity(エタニティ)」。そこは、そんな人生のストーリーが自然と集まってくる場所。

 そして、今夜もまた一人の人物が、その店へと足を踏み入れる。

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