優しさ

黒宮 圭

優しさ

僕は、みんなが思ってるほど優しい人じゃない。


みんな僕のことを優しいって言ってくれる。その気持ちはすごく嬉しくて、照れ臭くて、心地いい。


でも、僕が周りに優しくするのは全部自分の為。自分が優しくした後の相手の反応が好きだから、優しくしたらきっと好かれるとわかっているから。そんな醜くて、黒くて、最低な感情からの優しさなのだ。自分でも反吐がでるほど汚い感情だ。


その優しさで一体何人の人を騙してきた?何人の人にその言葉を言わせてきた?後どれだけ、お前は道化師のように優しく振舞って生きていくつもりだ?


この自問に僕は今でも答えを出せずにいる。優しい人という仮面を外すことができないからだ。長くつけていたせいか、この仮面はいつのまにか取れなくなり、ついには本当の自分がわからなくなってしまった。


この優しさは自分の為か?相手の為か?それすらもわからない。もしかしたら、僕には相手の為に何かをする優しさなんてないのかもしれない。それができるのは先天的な、あらかじめ優しさをもった人間だけだから。後天的に優しさを振舞っている僕とはその本質が違う。


最初に言った通り、僕はみんなが思ってるほど優しい人じゃない。最低のクズのような人間なんだ。


だから、僕のこの偽物の優しさにどうか騙されないで欲しい。


僕はまだ、優しい人という仮面を被った道化師のままだから。

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優しさ 黒宮 圭 @kuromiyakei0215

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