第三章

第三章

今日も又、岳南電車吉原駅では、今西由紀子が、駅員として勤務していた。季節はすっかり秋になり、駅のホームでは落ち葉がたまり、時折ピーと冷たい風が吹いてくる。そういうところは、田舎駅の駅員として得をしたと思っている。都会の駅では、夏の暑さと冬の寒さだけはもろに感じるが、それ以外の季節感というものはほとんどない。特に最近の駅では、冷暖房設備がよすぎて、一年中いつも同じようになってしまっている駅も少なくない。そういう駅のほうが、働きやすいという人のほうが多いが、こういう季節感を感じさせてくれる駅のほうがよほど面白いと感じるのであった。

少なくとも、久留里線より電車の本数が多いので、それなりに乗客はいて、空っぽ電車ということはまずないので、乗客と言葉を交わすことも多かった。久留里線の乗客は、朝夕の通勤時間を除けばほとんどが観光客ばかりであったが、この電車ではそうでもないらしい。子供から年寄りまで、いろんな人が利用している。背広を着たサラリーマンもいるし、制服を着た中高生。病院などに向かうのかなと思われる高齢者夫婦。もちろん、富士山などの写真を撮るといった目的でやってくる観光客も。時には、どこの国から来たのかは不明だが、流ちょうな英語をしゃべる外国人が乗車したこともある。いずれにしても、久留里線の沿線よりは、活気のある町なんだなということはわかった。あえて、駅を古いままにしてあるのは、近年の昭和ブームの影響で、古い駅を残しておいたほうが、観光客に人気が出るからだった。

そんな中。

ある日、岳南江尾駅からやってきた電車を迎えて、いつも通りに乗客から切符を渡される作業をしていた時であった。この電車も自動改札機が設置されていないのは、前に勤めていた久留里線と同様である。前の電車との延長線と思えば何も違和感はない。客の中には、若い女の子が、切符を切るなんて、変わってますな、なんてからかう人もいるけれど、そんなことは平気だった。その日も、客にからかわれながら、ニコニコして切符を切り続けていたのだが、一番最後に電車を降りた客が、どうも変だなという気がしたのである。

客は、小さな少年と、その母親と思われるよく似た顔の女性。それだけ言ってしまえば特にたいした風景ではなく、普通に見られる。しかし、その少年、この時期にTシャツと半ズボンで平気でいられるだろうか?この時期に寒くないの?と、由紀子は疑問に思ってしまう。

隣にいる母親のほうを見れば、長袖のブラウスに長ズボンをしっかりはいており、季節相応である。いくら子供は風の子といっても、あれでは寒くないのかなと、由紀子は吉原駅を出ていく二人を眺めながら、そう思ってしまった。

数時間後、由紀子が岳南江尾行きの電車を案内していると、また例の母子がホームにやってきた。

「どうだった?良さそうだったでしょ?」

問いかける、母に対して、少年のほうは浮かない顔をしている。

「良かったでしょ?」

再度聞く母であったが、やっぱり嫌そうな顔のままだった。

「返事くらいしなさい。」

「よくない。」

少年はそう答えを出した。

「何で。先生方だって、あんなに優しそうだったのに?」

「やだ。美紀ちゃんと一緒がいい。美紀ちゃんと一緒!」

「何でそんなに美紀ちゃんにこだわるの!美紀ちゃんの家がそんなにいいの!」

思わず強く言う母親であったが、隣にいたおばさんが、

「ほらほら、あんまり子供を泣かせちゃだめよ。お母さんも少し落ち着かなきゃ。」

と言ったため、それ以上はやめた。

「まもなく、岳南江尾行きが、到着いたします。」

由紀子も、喧嘩はやめてという意味で、電車到着をアナウンスする。

「ほら、電車が来るから帰るよ。」

母が、少年のてを引っ張って歩くのを見て、結構強引なお母さんだなあと思うと同時に、お母さんがかなりの事で悩んでいるんだなということが見てとれた。

かなり何か、もめている家庭なんだろうなと思った。時おり、ひどく悩んで電車に乗車するお客さんを見かけるが、どこかで悩みが解決してくれないかな、と思うときもある。

ただ、駅員としては、飛び込みはしてもらいたくない。

旗を振って電車を迎えながらそう考えるのであった。

「ママ、着いたよ。」

不意に乗車していた富貴子は、そういわれて気がついた。

「もう、岳南江尾駅?」

「そうだよ。」

「お客さん、終点ですよ。おりてください。」

のんびりした岳南江尾駅の駅員に言われて、富貴子は、雅美の手を引っ張り、電車を降りた。このくらいの年齢の駅員ならあまりムッとすることはないけど、吉原駅の可愛い感じの女の駅員には、ちょっと苛立つ時がある。

「今日もパパは遅いから、どこかでご飯食べて帰ろうか。」

二人はそういって、岳南江尾駅を出た。

近隣の飲食店により、富貴子が雅美をつれて自宅マンションに帰ってきた時は、もう暗くなっていた。

「あら、灯りがついてる。」

いつもなら、夜遅くならないと帰ってこないのに、なぜか電気がついているのである。

部屋のドアをあけると、すでに晋太郎が帰ってきていて、部屋で何か食べていた。

「帰ってたの。」

「なんだよ、帰ってきてはいけないのかい?」

ちょっと不服そうに晋太郎は言った。

「いつもなら、凄く遅いのに。」

「だって、お前と雅美のことが心配だから、会社にお願いして早引きさせてもらったんだ。お前こそどこにいっていたんだよ。」

そんなことされても全く嬉しくない。むしろ邪魔が増えたような気がしてしまう。

「都合のいい時に帰ってこないで。どうせ、今日だけいい親を演じて、明日はまた忙しいとか言うんでしょ。かえって役には立たないわよ。」

「何を言ってる。心配だから早く帰ってきたのに、そんな言い方はないだろう。」

「いやねえ、それだけでも一つのスタータスとして、認められるんだから。どうせ、育児をする男として会社での評判を上げようとかそういうきもちなんでしょう?そうやって、都合のいい時だけ、いい人をやって、普段は私に任せっきりなんてずるいのもほどがあるわ。」

「パパ、ママ、また喧嘩なんかしないで、、、。」

二人が口論していると、雅美がそうつぶやいたため、

「もう、これ以上はよそう。せっかく早く帰ってきたのに、楽しくないのでは、かわいそうだ。」

と、晋太郎が結論付けたためにやめた。

「テレビでも見るか。そういえば今は、下町ロケットが流行っているそうじゃないか。」

晋太郎が、雅美にそういうと、

「保育園のみんなも、みんな見てるんだ。あれは面白いよね。保育園の先生も時々まねをするんだよ。」

ニコニコしながら楽しそうに答える息子。私には絶対に見せない顔だ、、、。

「あなた、なんで今日が下町ロケットの放送日だって知ってるの?いつも忙しくてテレビなんかほとんど見てないでしょ。」

「だから言っただろ、竹村さんに聞いたんだよ。美紀ちゃんがすごくはまっているらしいって。」

「また竹村さん?もう、竹村さんは、、、。」

と、言いかけて黙った。竹村さんは、現在雅美の同級生で親友、もしくは恋人とも言い切れる竹村美紀ちゃんのお父さんであり、晋太郎の同僚である。

「なんだお前。竹村さんのことが嫌いになったか?いつからそうなったんだよ。竹村さんも心配していたぞ。最近、土谷さんの奥さん、うちへ電話を掛けることがなくなりましたけど、どうしているんですか、うちの家内も心配してますって。」

まあ確かに、数か月前まで竹村さんの奥さん、つまり美紀ちゃんのお母さんと、電話で話すことはあったのだが、、、。最近はめっきりかけなくなっていた。

「竹村さんは、うちの家内はいつも暇人ですから、電話いつでもどうぞ、なんて言っていたから、お前も連絡くらいしろよ。とにかく、心配しているぞ。」

「パパ、早くしないと、下町ロケット始まっちゃうよ。」

「あ、そうかごめんごめん。ちょっと待ってな。あ、そうだ、それから今度の日曜は、また釣りに行ってくるからな。竹村さんに誘われているんだ。というわけでちょっと早く起きるから頼んだよ。じゃあ、見よう。」

そう言い残して、晋太郎は、雅美を連れて、隣の部屋へ行ってしまった。富貴子は、何も言えないで茫然としてしまう。やがて、テレビアニメ下町ロケットが放送され始めたのか、教訓的な主題歌が流れ始め、所々でキャラクターの決め台詞を、雅美と晋太郎がまねしているのが聞こえてくる。非常に教訓的なテレビアニメとして、比較的評価の高い番組であるとは知っていたが、富貴子はどうしても、このキャラクターたちのセリフには共感できなかった。まあ、たった30分の辛抱だから、と思って我慢していたが、それが途方もなく長く感じるのである。内容は、文字通り、素人がロケットを開発するというものであるが、できるわけないじゃないか、そんなこと!と大人にとっては思えてしまう(というより、富貴子にとっては思えてしまう)エピソードが多いのだ。

あーあ、と富貴子は思いながら、とりあえず夫が食した夕食の後片付けを開始した。富貴子が幼少時代のころ、住んでいた実家は大家族だった。今時珍しい、自分の父母だけではなく祖父母もしっかりそろっていた。母は、自分を出産後、産褥熱で不妊症に陥ったため、結局、自分が唯一の子供になった。そんなわけで、ものは買ってもらったし、特に愛情には困らなかった。もともと農業をしていたこともあって、学校が休みの日は、家族全員で稲刈りをしたこともある。そういうところを、周りの大人や教師たちは、仲の良い家族として、富貴子の家族を絶賛していたが、実はこれ、彼女にとっては、苦痛以外に何もなかったのである。

外では理想に見えるけど、家の中では絶えず、独裁者的な年寄りが、若い両親に命令するという形態が定着していた。若い両親も、それがこの家を平穏にやっていくために、一番の手段だと考えていたから、ただ、はいはいと言って従うしかなかった。富貴子の進学した高校も、就職した会社もすべて祖父母の人脈によって決められた。その時に、自身の意思というものは一切許されなかった。父や母の意思ということも全くなかった。父も母もただ、おじいちゃんたちに従えばいいから、しか言わなかった。まあ、祖父に盲従していれば、それでいいと考え込んでいたようだ。とりあえず、祖父母が勝手に決めてしまった会社に入社したが、唯一の救いは、そこで晋太郎さんと出会って結婚したことと、晋太郎さんが富士市に転勤になったために、実家を離れることができたこと、この二つである。

そういうこともあったので、自分の子供にはとにかく、祖父母が用意した人生とは正反対のものを与えてやる、という誓いの言葉を立てたのだ。でも、このまま夫の意見に従っていては、子供にまで自分がされた人生を与えることになる。だから、富士市内の公立学校には進学させる気がしない。理論的に言えば、特に公立学校に行ったからと言って、変なデメリットが生じることは全くないのだけど、、、。富貴子の気持ちというか、プライドが許さないのだ。

「よし、終わったから、お風呂でも入ろうか。そういえば昨日、シャンプーが切れていたけど、新しいのを買ってきたのかなあ。」

ふいに隣の部屋から、晋太郎と雅美がそういっているのが聞こえる。

「いや、今日ママは買い物には行かなかったよ。」

「あれ?じゃあ、晩御飯はどうしたんだ?買い物に行かないと、新しいごはんも作れないよな?」

「うん、駅の近くのレストランで食べてきた。」

「そうか。じゃあ、ママは疲れているから、外でご飯でも食べようかといったのか。」

「ううん、僕、今日ママと学校に行ってきたんだ。ママは喜んでいたけど、僕は美紀ちゃんと別れるのはどうしてもいやで、すごくやだった、、、。」

なんでそう、べらべらと話してしまうんだろうか、、、。私が内緒でやったこと。

「そうか。そうだよな。美紀ちゃんと別れたくないよな。まあ、ママには言い聞かせておくから、気にしなくていいぞ。それより、シャンプーがないのはまずいな。しょうがない、コンビニでも行って買ってくるか。」

「僕も行っていい?」

「すぐ帰ってくるけど?」

「だって、ママ機嫌悪いもん、、、。」

隣で晋太郎がため息をついているのが聞こえてくる。

「そうか、そうだよな。まったく、ママも怖いママで困るよな。」

「うん、いつも口をへの字に結んでいて、、、。」

「まあな。ママもそのうち病院に行って、しっかりお医者さんに診てもらって、お薬しっかり飲めばまた笑ってくれるようになるよ。それまでの辛抱だ。よし、シャンプー買いに行って来よう。」

そういって、二人は部屋を出て、食堂にやってきた。

「なんだお前。何も片付いてないじゃないか。うつでつらいのはわかるけど、何もしないのはかえって良くないよ。少しだけでいいから、家のこととかやってみろ。竹村さんの奥さんもそれでよくなってきたそうだぞ。」

確かに、お皿を洗う作業をするのは、いつの間にか忘れていた。でも、いつもあるうつ病の症状のせいというわけではなかった。

「ちょっとさ、風呂場のシャンプー切れてるから、買いに行ってくるけど、その間に、できそうなら片付けやっておいてくれよ。無理だったら、仕方ないのだが、やってみるだけやってみてくれ。」

富貴子はがっかりと落ち込んでしまう。

「もう、ぼけっとしてないで。うつというのは確かにつらいものだろうと思うが、そうなったら、俺もいるし、雅美もいると思いなおしてくれ。竹村さんが、うちのかみさんにはそれが一番効果ありだったと言っていた。ちょっと、買いに行ってくるから、やっておいてくれよ。ほら、行って来よう。」

「うん!」

二人は、どんどん玄関へ行き、外へ出て行ってしまう。富貴子にしてみれば、重い重い体を動かすのは、非常に難しいことであるが、そうじゃない人は、体なんて問題にならないほど軽いんだね、と言いたくなってしまうほど、簡単に外へ出てしまうのが、ある意味うらやましい。

ちなみに、竹村さんとは、夫が入社した時の同僚で、美紀ちゃんという娘さんがいた。美紀ちゃんのお母さんで、竹村さんにとっては奥さんになる人は、美紀ちゃんが生まれてすぐにうつになってしまったという。竹村さんは、奥さんを精神科に連れて行ったりして、かなり苦労をしたらしく、それを晋太郎にも話してくれて、やがて週末には必ず釣りに行くほどの親友になった。富貴子が、数か月前から不定愁訴を訴え始め、医者に軽いうつのようだと言われたときは、竹村さんのアドバイスがかなり効力を発揮したと思われる。それによって、さらに親しくなったが、富貴子がどうしても納得できないことは、竹村さんの娘の美紀ちゃんが、活発で明るい少女でいられることだ。

特に見かけがかわいい女の子というわけではないのだが、美紀ちゃんは保育園の保育士からも人気があった。美紀ちゃんのママがうつ病であったことから、美紀ちゃんを迎えに来るのは、大体パパかおばあちゃんで、ママに迎えに来てもらう頻度は少ないようであったが、美紀ちゃんはそれに対して不満を漏らすということを聞いたことはない。

そういうところが、雅美が好きになったところかもしれない。保育園でも、美紀ちゃんと一緒によく遊んでいた。休日には、美紀ちゃんの家に遊びに行って、美紀ちゃんのおばあちゃん、調子がいいときは美紀ちゃんのママも交えて、ピクニックに連れて行ってもらったこともある。その傍らで、パパたちは、近隣の養鱒場に行って釣りをするのがお気に入りになっている。

それを、保育士さんたちも絶賛していた。美紀ちゃんと雅美君の交流にもなるし、お母さんどうしで話すきっかけにもなるし。何よりも、お父さんが二人で釣りに行くというところが本当にすごいので、ぜひ続けてください、なんて保育園の園長から言われてしまったくらいだ。

「このままだと、竹村さんの家に、うちの子を取られてしまうのではないかしら。」

思わず富貴子はそうつぶやいてしまう。

だからこそ、美紀ちゃんと雅美を同じ学校に通わせるのは絶対にしたくないのだ。

とりあえず、今回皿を洗ってテーブルを拭くまでは成功したものの、もう疲れ果ててしまって、あとはどしんと横になるしかできないのだ。まあ、横になれば少しは楽になるんだけど。と言ってもそれは一時しのぎのことで、どうせまた元のつらい生活が待っているのである。

翌日、夫である晋太郎を会社に送り出し、雅美を保育園に連れていき、をやれば後はもう何もできない。あとは、ひたすらに寝ている。楽しみといえば、上級学校についての資料を読むことくらいしかない。これが毎日である。

そして日曜日。晋太郎は、予定通り、竹村さんと一緒に富士宮にある杵塚養鱒場へ、釣りに出かけると言って、早くから起きて支度を始めた。富貴子にお前も来るかと一度聞いたが、富貴子は強固に断った。雅美は美紀ちゃんに会えるからと、当然のごとく一緒に出掛けてしまった。

どうせ、日曜だからと言って、何か変わるというわけではない。うつの人に、土曜も日曜もないのだ。どうせ、少しだけしかできない家事をこなして、あとは寝ているだけである。テレビで恋愛映画をやっていても、何も面白くはない。とりあえずつけてみたのはいいものの、単なるうるさい音としか聞こえなくて、あんまりにも嫌になり、もう!と言いながらコードを引き抜いてしまった。再度電源を入れると砂嵐のみになったが、そのほうがかえって落ち着いてみていられるような気がした。

ご飯も食べず、砂嵐ばかりを眺めてぼんやりと時間を過ごしているしかなかった。そのうちに、太陽は西に傾いてきて、やっとのことで電気をつけ、またごろっと横になった。

すっかり夜になって、ガチャンと玄関ドアが開く。雅美と晋太郎が帰ってきたのだ。

「ただいまあ。あ、もうすぐ見たいテレビが、、、。」

と、雅美は、子供らしく元気に飛び込んできて、居間のテレビの前に座ったが、

「パパ、テレビが故障してるよ。」

と、残念そうに言った。晋太郎も、富貴子が時折こうしてテレビを壊してしまうのは知っているので、彼女を責めることはなく、

「ちょっと待て。今直してやるからな。」

と、コードを元通りにした。幸い、砂嵐はすぐに解消されて、通常通りに映像を映してくれる機械になったので、見たいテレビには間に合った。

「あ、そうだ、それからな、竹村さんがいい話を持ってきてくれたぞ。なんでも、新しい精神科のクリニックができたそうで、竹村さんの奥さんは、そこへ通い始めたそうだ。親切な女の先生で、まだ若い先生なんだが、ちゃんと診察はしてくれるし、薬の知識もしっかりあるから、結構頼りになりそうだって、竹村さんは言っていた。吉原駅の近くだそうだから、お前も行ってみろよ。」

晋太郎はそういったが、富貴子はいやそうなままだった。

「いやよ。電車に乗るのだって結構きついのよ。」

「だったらタクシーで行けばいいよ。放っておいたら、大変なことになるんだから、早めにみてもらってこい。竹村さんは、早ければ早いほどいいって、そういっていたから。」

何を言っても、私の意見はダメなんだなあとがっかりする富貴子だった。

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