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「私の本当の気持ちか……」椛は言う。

 椛はどこか遠いところをぼんやりと眺めている。まるで、本当に自分で自分の本当の気持ちがわからなくて、それをどこかに探している、と言った感じだった。

「山里さんは、神田くんのことが、好き、……なんですよね?」小春は言った。

 少しの間。


「ふふ。そんなことないよ」椛は言う。

「本当ですか?」

「本当だよ」と椛は言う。

「なんなら証拠を見せようか?」

「証拠?」

 そう言って椛は制服のポケットの中から携帯電話を取り出すと、一枚の写真を画面に表示させて、それを「ほら」と言って小春に見せた。

 小春がその写真を見ると、そこには椛とそれからすごくかっこいい顔をした背の高い一人の男子高校生が写っていた。

「あの、この写真って」

「もちろん、私の彼氏だよ」椛は言う。

「え?」

「名前は歩っていうんだ。柏木歩。どう? かっこいいでしょ?」

「えっと、はい」と小春は答える。

 確かに歩はすごく綺麗な椛に見劣りしないくらい、かっこよかった。

「ね? これでわかった? 最初に言った通り、私は優の恋人じゃなくて、友達なの。まあ、一応、幼馴染っていうおまけはつくけどね」椛は言う。

 その話は一週間前に図書館の休憩室で、四人で話をしているときに聞いて、小春も知っている話だった。

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