116
小森桜も怒っていた。
桜の律への恋は本物の恋だった。
桜が今回のラブレター大作戦を思いついたのは、律の告白を鈴が断ったことがきっかけだった。そのことを桜は律から聞いて知っていた。律は鈴に告白をするとき、「一応礼儀として」と前置きをして桜にそのことを伝えていた。そして結果も桜に報告をしたのだ。
そして鈴が自分に遠慮をして律のことが好きなのに、律の告白を断ったのだと理解した。
だからこうして作戦を考えて、二人の間を取り持ったのだ。
それが自分の使命だと思った。
縁結びの神様として名高い小森神社に生まれた娘として、親友の恋を応援しようとした。
その作戦はうまくいった。
なのに、なぜか鈴は桜に対してすごく怒っているようだった。
こっちだって泣きたい思いで、(実際に桜は鈴に手紙を渡した日の夜に泣いた)律くんへの思いを封印しているというのに、いったいあの態度はなんなのだろう? と桜は思った。
自分たちの恋がうまくいったら、もう縁結びの神様は用済みということだろうか?
あっちから声をかけてくるまで、とりあえずは鈴とは口を聞かないことにした。でも、その日、結局放課後の時間まで、鈴は桜に声をかけてこなかった。
ありがとうもなかった。
それだけではく律くんとのラブラブなところを桜に見せつけてきた。そんな思いは鈴にはなかったのかもしれないけれど、桜の目にはそう見えた。
だから小森桜は一日中、なんだかいらいらしていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます