第42話 本職探偵の意地

 僕は、目覚ましをセットして、ドロシーとルイーズを起こさない様に家を出た。

 今日はみっちり大学だ。


 「ドロシー、このエリアの小さい公園って、ここしか無いよう。」

 「お弁当持って来て正解ね、家ばっかりで、ご飯を食べれるお店が全くないわ。」


 「あそこの長椅子にシートを敷こう。」

 「うん自転車も入れるし、人もいないし。」


 がちゃがちゃ。「今シート出すから、うんと、あった。」

 「ドロシーお腹空いた。」「手伝って。」

 「えぇ~。」「えーじゃないでしょう。」


 ばさばさ。「はい、引っ張って。」「こおう、うん、ふん、OK。」

 「じゃあ食べよ、・・・と、はい。」「うん有難う。」

 「水筒に紅茶あるけど。」「うん、頂戴。」


 かたかた。「はい、持てる。」

 「うん、大丈夫、・・・美味しい。」

 「私も。」「水筒置ける。」

 「うん、大丈夫、横空いてるから。」


 「今日暖かいね。」

 「ルイーズ、お家帰るまで寝ちゃダメよ。」

 「うー、・・・仕方ないじゃん、ドロシーだってお腹いっぱいになったら、眠くなるよ、きっと。」


 「・・・そうかも。」

 「でしょう、ゆたか元気すぎ。」

 「・・・。」「・・・。」


 「ねえ、ルイーズ、ゆたかの何処が好き。」

 「う~ん、優しいとこ。」

 「あんなにえっちなのに。」


 「・・・好き、ドロシーは。」

 「私を『知る』素敵な人って、ゆたかじゃなのかなあーって。」

 「あー、ママの占い、でもゆたかとは初めてでしょう。」


 「でも、それは後から思った事で、初めて見た時に。」

 「一目ぼれ、と言うやつ。」


 「ひもじくしている私に、飴をくれたし、あの子達を見ても逃げなかったし、何より優しそうだった。」

 「ルイーズもでしょう。」


 「私は、・・・背中、温かい背中、出来る事はしてくれるし、優しいし、娘が出来たら、きっと甘々ね。」

 「ドロシーはどっちが良いの、男の子、女の子。」

 「どちらでもいいけど、何か、ゆたかを取られちゃいそう。」


 「それは、う~ん、私も構って欲しい。」

 「そうよね。」

 「もう暫くゆたかと二人で、あー、3人で居たいな。」

 「・・・。」「・・・。」


 「ふう~~~っ、ねむ。」

 「ふぁ~~~、さあ、片付けて。」

 「ダメ、ルイーズ。」

 「えぇ~、でもこのままだと居眠り運転で危険だよ。」


 「そうかな。」「そうだよ。」

 「じゃあ、15分。」「OK、15分ねっ。」


 ぱしぱしぱし。「痛いよう。」

 「ルイーズ、時間、14時過ぎてる、お仕事。」

 「えーーーっ、寝すぎた、う~~~っ、ゆたかが悪い。」

 「早く片付けて。」「もううううっ。」


 「たっだいまあー。」

 「「お帰りぃー。」」ちゅっ、ちゅっ。


 「二人共ちゃんと起きた。」

 「ゆたか所為せいで眠かった。」

 「疲れてるって言ったよね、ねえ~。」

 「そう~だったかなあ~。」


 「今日の私達も疲れてるから。」

 「分かってくれた、ゆたか。」

 「う~ん、ちょっとだけ。」


 「も~う、ご飯できてるよぉ。」

 「ゆたか、手を洗って来て。」「うん。」


 明日から僕の大学は学祭だ、だから僕も聞き込む、本職の意地だ。

 で、昨日と同じく、二人がまとめてくれた、集計結果に目を通す。


 「うーん、面白いね。」「うぅ~ん。」

 「何々。」両側の二人が顔を寄せる。

 「うーんっと。」ちゅっ、ちゅっ。

 「それでどうしたの」「何が面白い。」


 「まだ終わってないから、安易あんい事は言えないけど、地図みて。」

 「「ふん。」」


 「昨日は僕等の家の近所、で、今日は青い葉っぱの森公園を挟んで反対側を調べてもらって、それを集計してくれた。」

 「うん、昨日と同じくらい聞けた。」


 「そうだね、被害者の年齢層も、犯人の特徴も、時間帯の変化も、場所も。」

 「内容も昨日と同じだったわ。」


 「と言う事は、あっち側で事件の起きた噂が無いんだ、僕等の家の側だけ。」

 「こわ~い。」

 「里美さとみママの言う事聞いといてよかった。」


 「うーん、二人共、犯人が捕まるまで、不用意に青い葉っぱの森公園に近付かない様にして。」

 「うん、そうする。」

 「ゆたかがいない時は近付かな~い。」


 「さあ、明日もお仕事だから、お休みしよう。」

 「・・・ほんっとうだからね。」

 「私達はすっごい疲れてるから。」

 「うっすっ、分かってるっすっ。」


 あー、さっぱりした、玄関の戸締り、事務所の電気、OK。

 かちゃ、きぃー、ばたん。「ガスの元栓は、・・・うん、OK。」


 ホットカーペットも、消えてる、リビングの電気を消して、キッチンはナツメ球、実際はLEDだけど、がらがら、二人共ベットに入ってるね。


 ふ~む、そう言えば、二人共も寝巻ねまきを着ないな。

 僕も寝よう。ごそごそ。「・・・。」

 ばさ。「はぁぅ。」

 ばさばさ。「きゃぅ。」


 ちゅっ、ちゅっ。「ばかぁ。」「あほぉ。」

 「「にゃ~ぁ。」」ばさばさばさ。

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