依頼と疑問と追及

第25話 えっ、依頼。

 ドロシーとルイーズが、僕のお嫁さんなってから、一月ほどが過ぎた。

 相変あいかわらず僕の本業、探偵の仕事に依頼は無い。

 母さん達に婚姻が知れて以来、週末になると誰かしらやって来て、食べ物を置いて行く。


 エムおばさんこと、マーガレットさんは、本当にドロシーの赤ちゃんを待っている様で、靴下や手袋を編んでいたりする。

 ルイーズの母親のルイサさんは、『またパパに浮気されたぁー。』と言いながら、結構頻繁ひんぱんにやって来ては、僕に言い寄って来る。


 そのだびに僕は、ドロシーやルイーズに、婚姻の契約で約束した『罰』を受ける。

 とってもいい罰なので大歓迎だいかんげいだ。

 むしろ、僕に罰を与えたドロシーやルイーズの方が、罰を受けた見たいにぐったりとなる。


 僕の母さんは、些細ささいな理由を探しては、食料品を持て来てくれる。

 ドロシーやルイーズと話をしたり、買い物に行ったり、ここまではとてもありがたい。

 しかし、とにかく二人に触りたくて仕方がないらしい。

 で、何故か、父さんには内緒にしているみたいだ。


 ドロシーやルイーズの立場は、ルイサさんと一緒に魔法省とか言う処に行って、手続きをしたところ、僕が扶養出来る事になった。

 あーーーっ、ますますお金がいる、コンビニの時給上がらないかな。

 コタツに座ってテレビを見ながらお金の事を考える。

 はあーっ、お金の事考えないで、両隣にいるドロシーやルイーズといちゃいちゃしたいなあ。


 「今日大学行かないのゆたか。」

 「う~ん、ドイツ語と人文系の枠が休講なんだ、どうしようかな。」

 「二枠だけでしょう、ちゃんと行った方が良いと思うなあ。」

 「あっ、そうだ、ドイツ語、私出来るから、テストの日に教授の魔法で。」

 「ダメ、ルイーズ長いから、本当に魔法なの、只キスしてるだけじゃないの。」

 「ゆたかに伝わってたもん。」


 「確かに、流れとか台詞とかちゃんと分かったな。」

 「わっ、私にも出来るか試そうかな。」

 「えぇ~。」

 「試さないと分からないでしょう。」

 「ドロシー、試す。」

 「えぇ~、何かぁ、納得いかなあ~い。」


 ピンポン、ピンポン。「里美さとみママかな。」

 「また母さん、僕が出るよ。」

 「ドロシー。」ちゅっ。

 「あーっ。」

 「ルイーズ。」ちゅっ。

 僕はコタツに二人を残して玄関に向かった。


 ピンポン、ピンポン。「はあーい、もう少し待って。」

 がちゃがちゃ、きぃー。「かあさっ、・・・どちら様。」

 黒い髪の毛でボーイッシュな髪型、黒の瞳、近くの私立校の制服だ。

 胸、デカ。


 「こちらは、木下探偵事務所ですか。」

 「ゆたか里美さとみママどう、・・・ドロシー、ドロシーーーーッ。」

 「・・・えっ、・・・はい、木下探偵事務所、そうです、探偵やってます。」

 「ルイーズ、何、里美さとみマ、ゆたか、誰、浮気。」


 「違う、違う、ドロシー、探偵事務所に用があるみたいなんだ。」

 「嘘っ、浮気ねっ、浮気するんだ。」

 「ドロシー、しないよ、こんなあからさまに。」

 「隠れてするのねっ、許せない。」

 「あの、・・・依頼を、したいのですが。」

 「「 「えっ。」 」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る