第16話 お嫁さんにください

 「お腹いっぱい。」「私も。」

 すっ、凄い、良く食べたなあー、お腹がぷっくりして、赤ちゃんがいるみたいだ。


 「ゆたか、ママ達とお話してて、私達紅茶を入れるから、ねっ、旦那様。」

 「旦那様、ファイト。」

 えー、二人共行くの、旦那様だから、言わないと。

 「ドロシーとルイーズをお嫁さんにください。」ジャパニーズ、ドゲザ。

 「「きゃーっ。」」


 「ちょっと、ゆたか。」母さんが慌てる。

 「家の息子が、ボケた事言いだしまして申し訳ありません。」

 母さんも床に頭を付ける。

 「そんな事はしないで下さい、奥さん、顔を上げて。」

 「お婿さんも、顔を上げて、ちゃんと座って下さい。」

 「いえ、許して頂けるまでは。」


 ドロシーとルイーズが帰って来て、皆にお茶を配り終えると、僕の隣に座る。

 「エムおばさん、私は帰らない、ここに居る。」

 「ママ、私もゆたかそばにいたいの。」

 しばし沈黙ちんもくの後。

 「ママは連れ戻そうと思って来た訳じゃないの。」

 「そうよ、ドロシー、そう言うつもりで来たのではないの。」

 「僕と娘さんを結婚させて下さい。」

 「「きゃー、きゃー。」」


 「させるも何も、あなた達、もう婚姻の儀式したんでしょう。」


 「そうよドロシー、おばさん驚いちゃったわ、夢の中に出て来て、『素敵な人に出会って、結婚しちゃった、てへっ。』とか言うのよ。」


 「ルイーズ、あなたも、ママの夢に出て来て、『ママ、愛する人に出会っちゃった、てへぺろこつーん』って何あれ。」


 「いっ、良いじゃない、この人、ゆたかの事、あっ、あっ、言えない。」

 「エムおばさん、私も、ゆたかの事を、あっ、・・・あっ、恥ずかしい。」

 「僕は二人の事を愛してます。」言っちまったあー。


 「ゆたか、言うに事欠いて、重婚よ、それに年も、若そうだし。」

 「あー、奥さん、私達魔女は13で独り立ちしますから、それに当事者が良いなら何人でも良いですよ。」

 「そう、私は魔女の家系なんです。」


 「ドロシーさんも。」

 「いいえ~、私達は普通ですよ、家系をたどっても、魔女の人はいませんわ。」

 「あー、ドロシーちゃんは、妖精の力を借りてるみたいなんです、その所為せいで、記憶が混乱しているみたいで。」


 「ドロシー、あいつ等妖精さんだったの。」

 「私、分らないわ、聞いてみましょうか。」

 「ダメよドロシー、ややっこしくなるから。」「そうかも。」

 「とにかく、連れ戻しに来た訳じゃないの、その・・・ゆたかさん、顔を上げて下さい。」


 取り敢えず結婚は許してもらえたみたいなので、座り直す。

 ほっとしたあ~。

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