第13話視点A
ジメジメとした雨が止まないですね。私は雨が嫌いなんです。知っていますか? そうですか、知らなかったんですか・・・・・・。
知らなかったのならこれから、ゆっくりと覚えていけばいいですよね。なんたってあなたと私は、ふふふふ。言わせてくださいよ大好きなあなた。
雨はあの日のあなたとキチガイ女を思い出すから嫌いなんですが、今はもう平気です。あなたが側にいるから、いつまでも側に。
お湯が湧いたみたいですね。待っていてください直ぐに紅茶を二つ注いできますので。
どうですか? 美味しいですか? ふふふふ。照れ屋なんですね。それとも猫舌なんですか? もう甘えん坊さんですね、私に飲ませて欲しいのですね・・・・・・。
ゆっくりですよ。ゆっくり、熱いですからね。ゆっくりーーーーあ、ほらほら溢してますよ。
ふぅ。紅茶美味しいですね。いい茶葉なんですよこれ。
ねぇ大好きなあなた。
つまらない話でお菓子受けは悪いですが、私の話を聴いてくださりますか? 直ぐ終わりますから、直ぐに。
私は間違っていました。どうやら私は大切なあなたを見ずに、キチガイ女を見ていたばかりに、重要で大切なことを忘れてました。
あなたを見つめること。常にあなたで頭を一杯にしておくことを。
一番大切なことですよね。私はキチガイ女からあなたを守ろうと、あの女を殺すことばかり考えていましたが、無駄でしたね全て。
だって例えキチガイ女を殺した所で、次のキチガイ女。次のキチガイ女って鬱陶しい真夏の蚊のように出てくるでしょ。だから、周りではなくあなたを。あなたそのものを守ろうと決めましたの。
だってその方が私は勿論。あなただって幸せでしょ。部屋は一人暮らしなので少し手狭ですが、むしろその方があなたとの距離を近くに感じ取ることができて、私は嬉しいです。
大好きなあなたはどうですか? もしあれでしたら、いっそ広い部屋に引っ越そうと思いますから、いつでも言ってくださいね。
雨は止まないですが私はもう哀しくありません。あなたがいつでも側にいるので。
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