第8話視点B
突然のことに動転したせいで、未だに鼓動がうるさいカナリヤのように鳴り止まない。
廊下を歩いていたら、まさか大沢に呼び止められるとは。
しかも呼び止められたのが、アイツの追跡の最中だったから余計に驚いた。だが大事には至らなくてよかった。俺の用心深い観察がバレていたのかと警戒したが、どうやら違ったらしい。
安心した。あんな当たり前に呑気な注意をしたのだ。おそらく、いや完全に尾行はバレていないだろう。しかし、今回の一件で時間と身なりだけは常に気にしておこうと心に誓った。
アイツを追っていたあまり、短い休憩時間をとっくに過ぎていたのに気付かなかったとは、情けなく滑稽だ。それと制服を乱れて着用することがないように気をつけなくては。
制服が乱れた状態で、今後また大沢に出くわした時、再び注意されかねない。そんなつまらん理由で、もし顔を完全に憶えられてしまったら厄介だ。
初歩的なことを怠っていたらいつか足元をすくわれかねない。気を引き締めなければ。
さて大沢彩香、アイツを観察し始めて早5日経つが、調べれば調べるほど、観察すればするほど、アレはいい女だ。二つの乳もさることながら外面は泥一つ綺麗で汚点が見当たらない。
大沢が憶えているかわからないが、一度告白した相手に対して、和かに笑顔で時間、服装に対する指摘、注意などできるだろうか?
無論立場的に俺に対して接しているだけかもしれないが、あんな態度をとられたら危うく、目的を忘れてしまいかねない。
外はいいが中身がどす黒いことを頭に入れて、観察をせねばいけない。
しかし、彼女が未だに人の道を外した行動を起こさないのが納得がいかない。
あの絵日記が単なるお遊びだと解釈すると、納得がいくが俺の直感が、あれを単なるお遊びだと解釈するには、いささか短絡的過ぎると告げている。
絵日記の続きを見れればいいのだが、あいにくあの日を最後に見れていない。あの日たまたま彼女が机に忘れてしまっただけで、おそらく今後二度と見られない代物だろう。どうしたものか・・・・・・。
考えた末、一つ面白いことを思い付いたので実行してみようと思う。
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