第3話視点C

チャイムが鳴ると同時に、待っていたように幼馴染のミャー子が僕の机にやってきた。


「あんたさ。授業中寝てたでしょ?」開口一番とがめる口調で僕の机に座ったミャー子は椅子に座る僕を見下ろす形で、口を小鳥のように尖らせる。


僕は慌てたようにすぐさま否定した。


僕の回答が気に入らなかったのか、頬をぷくりとフグのように膨らませ、身長に見合わぬ豊満な脚を組み替える。


視界にチラチラと揺れるスカートが目に入りとても居心地が悪い。何で身長は小さいのにそんなに異性を惑わす危ない体をしてるんだよ。


思わずそんなことを口走りそうになるが、理性でなんとか堪えた。


僕とミャー子は小学校からの幼馴染だ。


家は近所で隣同士。お互いの両親が仕事が忙しく、日中はおろか夜も家をよく開けていた為、夜中にもかかわらず互いの家をしょっちゅう行き来していた。


今考えるととても不健全なのだが、当時は異性として意識していたわけでなく、近所の仲のいい友達として遊んでいた感覚だった。


その証拠に幸か不幸か僕らは今だ、ただの幼馴染でそれ以上でも以下でもない。


「次、体育でしょ。いこ」部の主将にとって次の体育は並々ならぬ絶好のチャンスととらえているのか、いつの間にか機嫌を取り戻していたミャー子が僕の腕にまとわりついて笑った。

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