スライム、売ります。
赤城クロ
プロローグ
スライムは絶滅の危機にあった
無形族、スライム目、スライム科に属する唯一の生物。
その名もスライムと言う。
無色透明で、液体の様な体を持つ彼ら?は一定の形も持たず、水分の多い植物や、木の葉などを主に食べて生活している。
性格は穏やかで、実はなかなか知的、中には魔法が使える物もいる。
と言っても所詮はスライム、魔法を主体に使う魔族には遠く及ばない。
そんなスライム達だが……。
ある時は残虐非道で自己中心的な冒険者のレベル上げの為に虐殺され……。
またある時は、魔物からは魔力の糧にされ……。
挙げ句の果てに、人間や魔族達から魔法実験用の的にされ……。
そんな不運な扱いを長年受けてきた。
その為、今では見かける事が稀になるほど、スライム達の数は減ってしまったのだが、それでも奴らはスライムを見かけると、容赦なく命を奪いにやってくる。
だが、スライムもこのままではいられない。
仲間たちの助けを求める声に、若きスライムのリーダーは人間に化け、人間世界に潜り込み、スライム生き残りの策を模索する。
そして、若きスライムのリーダーは一つの策を思いつく、それは。
転移の遺跡から異世界に行って、スライム達をペットとして買ってもらおうと!
そしてスライムを、家族、そして友の様な存在にして、今までのイメージを払拭しようと!
そう、スライム達の立場向上を狙って!
そして今、スライム達の立場上昇の物語、第一楽章の演奏が始まる!
…………。
「……と言うことで、私スライム売ってます! あ、ソコのお兄さん、勿論買いますよね? 一匹1000円ですよ! あ、ちょっとどこに行くんですか!? え、クソスライムなんていらない? ちょっとアンタ、アタシに喧嘩売ってんの、ハゲのくせに!?」
そして本日、やや汚れたレンガの道と、コンクリートの建物が立ち並ぶ海辺の町の商店街で、青髪の美少女に化けたスライムのリーダーであるリーンが、キューキューと泣き声を上げる3匹の同胞達(スライム)を売る日常がここにあった。
無論、上手くはいってない。
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