悪役令嬢とお星さま 詩

野口マッハ剛(ごう)

願いは友だちが欲しい

悪役令嬢は夜空のお星さまにこう願いました

私も友だちが欲しいと

悪役令嬢の周りには悪いことばかり考える人たちです

悪役令嬢はそんな人間関係に疲れていました

するとお星さまはこう言います

お嬢さんはわからないのかな?

その言葉に悪役令嬢は驚いたそうな

どういうことなの?

お星さまは答えます

貴女の周りにはね、貴女の望んだ人たちが集まるのよ?

悪役令嬢は頭を横に振りました

いいえ、そんなことはないわ。私は友だちが欲しいと願っているのよ?

お星さまはそれを聞いてこう続けます

お嬢さん? 願うだけではダメ、行動しないと

ますます悪役令嬢は頭がこんがらがりました

お星さま、もう寝るわ

はい、おやすみ


次の朝

悪役令嬢は昨晩のお星さまの言葉を考えていました

けれどもちっともわかりません

イライラした悪役令嬢は周りに意地悪をします

それでも悪役令嬢はイライラが収まらずに外へ出かけました

その先にいじめている子どもたちと、ひとりのいじめられっ子が居ました

悪役令嬢はその始終を見物しました

始めの内はニヤニヤしている悪役令嬢でしたが、いじめっ子のひとりが木の棒でいじめられっ子を叩き始めました

それを見て悪役令嬢はその場に割って入りました

いじめを悪役令嬢が止めたのです

なぜでしょう?

悪役令嬢は悪いお嬢さんのはずです

悪役令嬢はこう言いました

死んだらどうするの!

この時の悪役令嬢はきっとこう思ったでしょう

いじめっ子といじめられっ子の両方に自分を見たのでしょう。悪役令嬢もまた、幼い頃にはいじめられていたのですから。

悪役令嬢はいじめっ子たちを追い払いました

そしていじめられっ子に悪役令嬢は手を差しのべました

ありがとう!

いじめられっ子はそう笑顔で言いました

この時に悪役令嬢はお星さまの言葉を思い出しました

願うだけではダメ、行動しないと

悪役令嬢はもう悪役令嬢ではありません

今日からちょっとずつ変わっていくのです

悪役令嬢はいじめられていた子どもの手を握って二人で歩き始めました


おしまい。

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