獣物といって
武内颯人
愛の話をしようと思う
愛の話をしようと思う。私が今まで求めていたもので、そして一度たりとも手に入れられなかったものの話だ。要するに私は誰かに愛されたことがないということだ。具体的にいえば「好き」という言葉を誰かにかけてもらったことがない。付き合ったどの男からも。
好きだと言ってもらえれば、私の中の空っぽが少しでも埋まるのだろうか。それは分からないけれど、三日三晩砂漠を歩き通した旅人が水を求めるように、他人に好きだと言い続けた私が愛を求めているのは確かだ。水が一滴たらされたところで喉はすぐに渇くだろうが。だとしても、水を求めないでさまようには、私が歩いているこの砂の大地は広すぎる。
誰かに抱きしめてもらいたい。単にそれだけを望んでいる私は、そんなに悪いことを言っているのだろうか。
誰か答えてください。答えろよ。
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