不便だけどそれがいい。
おと
第1話 入学前の出来事
僕は4月から大学1年になる。
県外の大学を受験したから、アパートを自分で色々調べてみて、間取りを見ながら部屋のセッティングに想像を膨らませていた。
まあまだ、受かったってわけじやないけど。
友達呼んで、朝まで喋ったりして、いかにも大学生らしいことをする…!
……その予定だった。
大学合格後、母に突然こう言われた。
「あなたの住むところ決めたからね」
………え?なぜ、なぜ勝手に決めるのだー!
「え?なにしてんの?え?どこ?」
「園田さん家よ。ほらぁ、小さい頃よく行ってたでしょ? んでね、家賃なんて払わなくて良いんですって。ご飯も作ってくれるから安心してってよ」
もちろん僕は反論した。
「え、なんで勝手に決めるの?!大学付近のアパート色々調べてたんだよ!」
せっかく!せっかくの大学生ライフを送るはずだったのに…!!
「いいじゃないの~家賃はいらないんだよ?交通費はかかるけど、一人暮らしするのに比べたら安いもんよ。」
…た、たしかに。
1日中考えた結果、
「一人暮らしより安く済む」
ここに惹かれて、一人暮らしは諦めた。
小さいころ何度か行ったことがあるその村は、山、山、山、川、山…。俗に言う
「ド田舎」なのだ。
別に田舎は嫌いではない。川で魚釣りできるし、夜は星空が綺麗だし。人は皆優しくて面白い方ばかり。
でも!交通は不便すぎる。
これで大学へ通えと!?
いったい何時間かかるのか調べたことがある。
なんと、3時間。。
電車とバスはある。
が、1時間に一本あるかないか。逃したら遅刻確定だ。
スーパーはある。
が、欲しいものが手に入るとは限らない。
4年間、この生活か…。
これからの生活が、、、、、不安だ。
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