またね・・・

第1話

「やあ、元気」

「ああ、何とかやってるよ」

久しぶりの、彼女との会話だ

何日ぶりだろうか？

「その後、どう？」

「なんとかね」

「浮かないな、でも、君らしいね」

彼女は笑う。

短い間とはいえ、一緒にいた。

僕の性格を、ご存知のようだ

「見てたよ。君の事・・・」

「そっか、見えるよね」

「うん」

今の彼女からは、僕が見えるだろう

監視されてるのか、暇なんだな

「私がいなくて、どうなるか心配してたんだけど」

「うん」

「がんばってるね。安心したよ」

「君との約束だからね」

そう、僕は彼女と約束した

互いに何かあっても、夢は捨てないと・・・

「私はもう、無理だけど、私の夢を君に託すわ」

「えっ？」

「君は、絶対に夢を叶えてね。応援している」

だが、そんなに簡単ではない

「でも、僕はそんなに強い人間ではない」

「そんなの、わかってるわよ。君は力が弱いからね」

「余計な御世話だ」

「でも、心は強いよ」

「どうして、わかるの？」

「私の彼だもん」

そうなのか

自分の事は見えにくいのは、このことか

「じゃあ、もう行くね」

「うん」

「会えて、嬉しかったよ。またね」

そういって、彼女は消えた・・・

今は、彼女に会えない

でもいつか、会えた時に、胸を張れるように、がんばろう

明日は、彼女の命日だ

今年は、墓参りは控えよう

来年、成長した自分を見せに行こう

それまでは、またね・・・