ラブコメ単話 異世界編―生まれ変わった魔物の王―

@sekaton

出会い

 

 オレには好きな人がいる。


 キャロライン・沢渡・スカルポンだ。


 フランス人ハーフの帰国子女。


 5月に転入してきた金髪美人の先輩は、瞬く間に学園のアイドルとなっていた。


 学業優秀。中間考査でダントツの1位。

 運動抜群。テニス部のエースに君臨。


 初日に奇跡的に接触する事故があったけど、それ以降は話しかけたくても届かない高嶺の花になっていた。


 おそらく初恋だ。


 せめて夢の中でと願うのだが…………



 いつも同じ夢を見ていた。

 そいつはいつも決まって同じことを言う。



『私は老いた』


 確かにおじさん声だった。

 顔はわからないが、年老いた人の声だ。渋い、ダンディっぽい。


『私に代わりこの地を守る者を求める』


 何のことを言ってるのだろうか……

 自己主張しかしない夢なので、よくわからない。


 なぜ、オレはどうして毎日、なにゆえに、こんな夢を見るのだろう……


 キャロ先輩の夢を見たいのだが……



『死の狭間にある者よ、応えよ。私の導きに応じよ』


 ……死?


 あれ?


 これっていつもの夢じゃ……



 どこか遠くからサイレンの音が聞こえてきた。


 体の感覚がない。


 近くに大勢の人の気配がするのに、何も見えない。


 みんなが何かを叫んでいる。


 よく聞こえない。何を言ってるんだ……?


 オレは答えようとして…………何もできなかった。


 体が動かない、口も動かない……


 それでも、かすかに鼓動が聞こえた。



『私の命はもうじき尽きるであろう。その前に、選ばねばならない』


 そっか、死んじゃうのか、おじさん……


 死……死、死…………何だか人ごとじゃない気がしてきた。


 オレもいつか死ぬんだし。


 そういえば、死んだ後はどうなるのだろう……


 死後は未知だから怖い。


 無になるのだろうか……それとも……



『応えよ。求めに応じよ』


 …………


『応えよ。求めに応じよ』


 …………


『応えよ――』


 お願いします。そろそろ静かにして。


 非常に眠たいのに気が散ってしかたない。


 もう楽にさせて。


 無性に文句を言いたくなった。


 わずかに残った力をふりしぼって、オレは声を出す。


「――――」


 だめだ。


 自分で何を言ってるのかわからなかった。


 声はかすれて、まともに出なかった。


 でも、もう満足した。後はゆっくり休もう。


 不意に、体が消えてしまったかのように静かになった。


 これが眠りの極地だろうか。


 もう全てをゆだねたい。


 世界よ、お休みなさい……




『――受け取った』


 ……え?


『これより、力の継承を行う』


 世界から完全に音が消えたのに、この声だけは途切れてない。


 誰なんだ?


『私は、万魔を支配する者』


 んん? いつもと違うことを言っている……


『〝混沌なる金妖の王ケイオスストーカー〟――〝シヴァ〟の名を継承――』


 おぉぉぉうぅぅ、なんってこったーーーーーー!!



 このおじさん、ダンディ紳士だと思っていたら、痛オジだった。





 ――――――――――――





 ――――――――





 ――――





 オレは目を開いた。


 どうやら眠っていたようだ。


 誰かがこっちを見ている。


 上から覗いていた。


 相手は目覚めたオレに気がついたようで、完璧に目と目が合ってしまう。


「…………」


 声が出ない。


「…………」


 相手も無言だ。


 怖そうな顔をしている。


 と、思ったら、悲しげに微笑んだ。


「……三百年……待ったのよ……」


 彼女の目元にはうっすらと涙が浮かんでいた。


「世界は滅びたわ」


 ……はい?


 見つめ合う女の子が――そう言った。


 悲しそうに、でも、どこか嬉しそうに。


「いまのわたしたちは、人間によって淘汰される運命にあるの。だけど、それも昨日まで――あなたが目覚めたわ」


 やはり意味がわからなかった。





「誰……?」


 上体を起こして、問いかける。

 女の子は、好みのプリティレディ。


 金髪碧眼、微笑ましい膨らみのスレンダー体型。

 幼く見えるが、絶対に年上だと断言できる。

 よく見たことのある容姿なのだ。


 フランス人のハーフっぽい。


「……わたしがわからないの? わたしはキャロラインよ」


 そうそう、そんな名前をしてそう。


 ――って!


「誰かと思ったら、キャロライン・沢渡・スカルポン――先輩!?」


 びっくりした。

 先輩だ。

 まんまだ。

 唐突な遭遇に動揺してしまった。


「は? さわ……? 何て言ったの? よくわかんないけど、ちがうわ。ただのキャロラインよ」

「ん?」

「わたしは眷属名は持ってないわよ、まだ誰とも契ってないのっ。もうー、勝手に浮気者にしないでね」

「…………?」


 何を言ってるのだろう……


 気付けば先輩は、いつもの学生服じゃなくて奇妙な服を着ていた。

 エキゾチックな肌露出の多い、いかがわしいものだ。


「……ここはどこですか?」


 不安を感じて、恐る恐る尋ねた。

 知らない方が良かったのに、オレは棺桶に入っていることに気付いてしまったのだ。


 クッションが厚くて寝心地は良かったが……

 しかし、棺桶はあかん。


 それにこの場所、おかしい。


 どう見てもおかしいでしょ……?


 周囲が植物で埋め尽くされている。

 廃墟みたいで、天井は破れていて、壁と床にはコケや草が生えまくりだ。


 なぜこんな場所に……?

 やばい雰囲気がする。


「ここはスラルよ」


 ……どこ?

 ……でも聞いたことあるような……


 先輩が告げた言葉は、不思議と耳に馴染む言葉だった。


「大陸の外れにある大密林の奥地」

「はぁ、そうですか……」


 ……つまり、どこだ??


 ここがどこかわからない……けど、スラルって名前……知っているような気がする。


 何か思い浮かびそうで……浮かばない。

 僕は昔からここに住んでいたような、ちがうような……


 もどかしい。

 寝起きだからだろうか、知識や記憶があやふやになっている。


 そもそもオレは誰だっけ? 名前………………

 んぅ?……うーん? 家に帰る途中だったのに…………ここは……

 あれは、いつのことだ?……魔物たちが攻めてきて……オレはもう戦えなくて……みんなが守ってくれて……

 ……何だこの記憶……


 そうだ……みんなが城を守っていた。

 オレはもう老いていて、力を使えなくて……

 それで代わりに……


「まだ知識が定着してないの? もしかして、失敗じゃないわよね……」


 変な記憶と格闘してると、先輩の綺麗な顔が、まじまじと覗き込んできた。


 そのように至近距離で見つめられると、オレの過去回想なんて吹っ飛んでいく。

 初恋童貞の身としては心拍数が急上昇するわけで、テンパらないように舵を切るしかなかった。


「すいません、何だか頭がボーッとして……」

「え…………」


 素直に現状を伝えると、先輩はすごく意外そうな顔を見せた。

 急にどうしたんだろう……変なこと言ったか?


「シヴァ?」


 先輩が尋ねるようにオレの顔を覗いてくる。


「シヴァ……?」


 オレは疑問をそのまま返した。


「謝るなんてどうしたの? 前と全然ちがうわよ……」

「はぁ……と、言われましても……」


 先輩とは一度しかしゃべったことないんですが……


「ちょっとシヴァ、本当に大丈夫?」

「……まぁ」


 どうやら、その名前はオレのことを指しているようだ。

 そんな名だっけ?? 自分でもどうしてか思い出せない。


「こんなこと聞くのは変だと思うんですけど、オレの名前は何でしたっけ?」

「え、シヴァ……」


 先輩がその名前をつぶやき、呆然としていた。


 何だか奇妙な感覚。

 オレは〝シヴァ〟と呼ばれると、なぜだかむずがゆい。


「つまり、オレはシヴァで、ここで何をしてたんでしたっけ……?」


 完全にアウトな質問だった。

 記憶障害という言葉がよぎる。


「…………」


 先輩は呆けた顔で無言だったが、しばらくすると徐々に表情が変わってくる。

 大きく目を見開き、驚きの顔を浮かべながら口を開いた。


「はええええええぇぇぇえぇええ~~~~っ!!??」







 キャロ先輩は小首を傾けた。

 腕を組んでしばらく考え込んでいたようだが、再び目が合うと真剣な顔つきをした。


「ねぇ、ひとついい?」

「はい、どうぞ」

「あなたは誰なの?」


 超冷たく言われた。

 冷たい目だ。


「……誰って………………えーと、オレは誰でしたっけ?」


 あかん。記憶がない。

 思い出せるのは――学生で魔界を守る守護者で、勉学に魔術に……あかーん!!

 何か記憶がちがう気がする。


「そう……わからないのね」


 先輩は悲しそうに言った。

 オレはテンパる寸前だったけど、急激に心がしおれていく。

 この人を悲しませてはいけない。


「いや、何か思い出しそうなんですけど……微妙にわからないというか、ぐちゃぐちゃになっているような……もう少ししたら思い出せるかもしれません」


 精一杯の取り繕いだ。

 正直、思い出せる保証はない。

 オレと誰かの記憶が混ざったような、奇妙な感覚が続いている。


「ごめんなさい……いいの。無理しないで。もう誰でもいいのよ」

「誰でもって……」


 良くないでしょう……

 先輩は、何か吹っ切れたようにサバサバしていた。


「くだらないこと聞いてごめん。あなたが誰でも……わたしの誓いは変わらないわ。えと、わたしは、あなたの元に嫁ぐの」

「そうですか、嫁ぐんですか……」

「そ、そうよ」

「……へ?」


 一生懸命、現実逃避をしない心構えだったけど、逃げたくなった。

 棺桶に寝ていたことよりも強烈なインパクトがある。

 だって、あの高嶺の花が恥じらっているのだ。

 あり得ない事態が起こると逃げたくなる。


「……嫁ぐんですか?」

「その、約束だから……ね? 生まれ変わったら娶ってくれるって言ったわ」

「誰が言ったんですか?……ん? 生まれ変わり……?」

「あなたよ」

「……言ってませんよ?」

「言ったわ!」

「え、本当に?」

「本当に言ったわ!」

「……いや、え?」

「もう~~、わたしが勇気出して言ったのにぃ。男が一度言ったことは守りなさいっ」

「一度も言ってませんよ」

「むーーーっ!」


 あかんこれ! 言った言わないの問題は、人間関係が悪化する決まり事だ。

 どっちかが折れるしか解決法はない。


 見ると、先輩は膨れていた。

 ほっぺたを膨らませて怖い目をしている。

 そして涙目だ。

 何だか必死な様子。


「む~~~~っ」

「…………」


 少し冷静になろう。

 これ以上、彼女を刺激していはいけない。

 心の奥底から警報が鳴っていた。


「とりあえず、先輩の言い分はわかりました。やっぱり、オレは色々と記憶があやふやなようです」


 刺激しないように優しく言う。

 願わくば、機嫌よ直ってくれ。


「む、さっきからそれ何。〝せんぱい〟って何よ。その呼び方だめ。変だもの」


 機嫌は直らなかった。


「えーと、じゃあ何て呼べば……」

「キャロでいいわ」


 オレが黙ると、また怖い目をし出した。


「……キャロ」

「へへ」


 先輩は笑っていた。

 機嫌は直ったようだ。

 瞬間だな……


 先輩は――もといキャロは笑顔だった。


「ちょっと……すいません、起きます」


 オレは一体何がどうなったのかちっともわからないけど、とりあえずこの棺桶から出ることにした。


 棺桶って死者が眠る場所やん。

 何でこんなとこに寝かされてたのか……


 立つと、世界が新鮮に映った。


 懐かしくも、初めて見る景色。


 ここはオレが知っているようで知らない世界だ。


 辺りを見回していると、先輩が――もといキャロが、目の前で膝を着いた。


「急にどうしたんですか?」

「ちょっと黙って、今から誓約するの。ちゃんと決めさせてよね」

「はぁ……」


 ちょっと怒ってる。

 「その服、かがんだら胸元見えますよ」なんて心で忠告しておく。

 よくわかることに、つるぺたーんだ。


 オレが胸元チラリをしていることなんて気付かないで、キャロはブツブツとつぶやき出した。


「――に誓います。たとえ地に堕ちるとも、大神の御名に誓い、わたしキャロラインは、これよりあなた様の身元に参ります。どうぞ、この身、この心、お受け取りくださいませ」


 おまじないみたいだ。


「……………………」


 キャロは、両手を組んで祈りを捧げているようだった。

 しばらく沈黙が続いた。


 オレは、ひざまずく彼女をぼんやりと眺めていた。

 すると、チラッとこっちの顔を見上げてきた。


「返事はまだ?」

「はぁ……」

「はぁ、じゃなくてっ、返事っ」

「え、はい」

「それが返事なの!?」


 何て言えばええんや!?


「あ、そっか。婚礼儀の文言も忘れてるのね」


 戸惑ってると、一人で納得してくれたようだ。


「じゃあ、わたしの言うとおりに言ってみて」

「わかりました」


 よけいな問題を起こさないためにも素直に従おう。


「それじゃあ、続けて――我は汝の――」


 同じように言ってみる――


「我は汝の誓約を受け取る。我、金妖のルートルヒシヴァは、汝を……え? 誰?」

「もうっ、あなたのことよ。いいから、続けて。いま大事なとこなの!」

「オレのこと?」

「い・い・か・ら、続けて」


 ひざまずいているのに、有無を言わさぬ迫力がある。

 キャロはキッと睨んだ後、さっきの続きを始めた。


 こうなったら仕方ない。後でちゃんと説明してもらおう。


「ルートルヒシヴァは、汝をこの身尽きるまで伴侶として――伴侶としてぇ!?」

「もう~~~~~っ!」


 キャロが立ち上がって迫ってくる。


「いや、だって、急にですよ!?」

「急にじゃないっ。前に言ったことぉ」

「覚えが……」

「言ったのっ」


 あかん。また問題をぶり返してしまった。

 方向転換、方向転換。


「あの、オレってルートルヒって名前でしたっけ?」

「そうよ。ルートルヒシヴァの名を預かってる。ごめん、後でちゃんと説明するから、いまはわたしの言うとおりにして」

「…………」


 その言うとおりは、まるで結婚の誓いなんですけど?


「む~~~~っ」

「わ、わかりました。言います言います」


 頬を膨らませるキャロライン・沢渡・スカルポンは脅威だ。


 オレは速攻で陥落した。


「いいわね。それじゃあ、もう一回最初から――え?」


 話の最中、キャロが不思議そうに声を出した。

 そして、何かを探るように周囲に目を配っている。


「来たわ……」

「来た? 誰がですか?」

「ついに、ここも見つかったのね」


 オレの疑問には答えてくれず、キャロは虚空につぶやいた。


「シヴァ! 誓約の儀はまた後にしましょう!」

「…………」

「聞いてるの!?」

「あ、オレのことか」


 自分のことと認識できなかったから、反応できなかった。


「後でちゃんと説明するけど、覚えていて。あなたは、ルートルヒシヴァ。偉大な王の力を継ぐ人よ」

「…………」

「聞いてるの!?」

「あ、うん。聞いてる。大丈夫」


 聞いてるけど、右から左へと流れていく。


「もう、本当に大丈夫かなぁ……」


 疑っているようだ。


「大丈夫だから、来たってどういうこと?」

「そうね、時間ないから簡単に戦況を伝えておくわ」


 戦況だって?


「このスラルは、人間の侵攻で陥落寸前なの――」


 キャロは、とんでも事態を話し始めた。


 どこまでも真剣な表情だったので、僕は口を挟まずに心の中でつっこむ。



 ――ここは、スラルという名の大地。


 4つの大きな街があったけど、全て人間に占領されてしまったそうだ。


 人間は魔物を犯すし、やりたい放題。


 逃げ延びた魔物は、隠れて生きているという。



「……やばさ満載」


 キャロの話は悲壮感しかない。


「悔しいけど、世界は人間が支配してる。最後まで抵抗して生き残った者たちが、この大地に集まっていたけど、それも……」

「おぉ……まじか……」

「ごめんなさい……わたしたちに力がないから」

「あー、いやいや、責めてません。むしろすごいなぁと」

「すごくないわっ。人間に勝てないもの。どんなに策を練っても、どんなにみんなで団結しても、っ……あいつらには……勝てないの……」


 キャロは、今にも泣きそうな顔をしていた。


 それは許されない。

 心の奥底から湧き上がってくる想いがあった。


 ――彼女が泣く姿は見たくない。


「だったら、負けなければいい」

「え? シヴァ、何を言って……?」


 弱々しい顔を見せるキャロに伝える。

 正直、魔物とか戦いとかわからないことだらけだけど、言えることがある。


「やばいなら、どんな時も逃げるが勝ち」

「あ゛…………?」


 キャロは詰まった声を出して、呆然としていた。


「逃げて、逃げて、逃げまくる。相手がもうええわってあきらめるまで逃げる。そしたら勝ちでしょ」

「……ぉ」


 キャロが何か言った。

 心なしか、ぷるぷる震えているように見える。


「お?」

「この大バカーーーー!!!!」


 絶叫だった。

 耳がキーンとする。


「あなたは偉大なロードなのよ! 人間を倒せる力を持ってるのに、みんなの希望なのに、それなのに――――もう逃げ場なんかないのっ」


 めちゃくちゃ怒らせてしまった。

 話題をずらそう。


「えーと、ロードって何ですか?」

「バカバカバカバカバカカカカッカぁ!」


 火に油を注ぐ結果になった。

 ぽこぽこと、胸を叩いてくる。


 可愛らしい……


 あれ? ん? キャロは全力で叩いているように見えるのに、全然痛くない……


「……何でだ?」





「魔物の反応だ! いたぞぉぉ! やつらの生き残りだ」


 この廃墟となった部屋の入り口から、ぞくぞくと現れるものがいた。


「よし、逃げよう」

「ちょ!?」


 キャロを抱える。

 軽かった。


「え、こんな格好――ちょっとまって!」


 勢いでお姫様抱っこの形になっていた。


「時間ないから行くよ、掴まってて」


 走る。


「うひゅぅぅぅ!?」


 必死にキャロが首に手を回してきた。


 ――速すぎた!


「――!?」


 危うく壁に衝突しそうだった。


 寸前でジャンプ。


「きゃぁぁぁぁあ!!」


 破れている天井の隙間から外に出た。


 すんごい跳躍力だ。


 何だこの身体能力?


 非常識なことになっている。


「おい! 外に逃げたぞ、追えぇぇぇ!!」


 人間たちも慌てているようだ。


 誰も付いてこれてない。


 このまま走って逃げよう。


「シヴァ! どこに行くの? ちょっとぉ! ねぇって、こんな格好いやぁ」

「わかんないけど、こっから離れる」


 しばらくガマンしておくれ。



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