第33話 最果ての地

 土地のガイドの話だと、ここは最果ての地であるらしい。


「この霧の向こうを見たものはいないと聞いています」


 ガイドが指差す先には濃霧があった。草原に真っ白な霧が果てしなく広がっている。


「霧の先には何もないのだろうか」

「異界へ通じているとの説もあります」


 ガイドはそう答え、続けてぽつりと言った。


「この世の夢から覚めるのかも知れません」


 霧が風に揺れる。

 もしこの霧が夢の境なら、この世界はよい夢であるのだろうか。

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