第13話 黄金の鯨

 土地のガイドの話だと、この海に黄金の鯨が棲むという。


「年に一度、鯨の眠る海溝に朝陽が差した時にだけその姿を現すのです」


 夜明け前の海には沢山の舟がある。舟の上の男達は銛を手に海を睨む。


「ナ族です。彼等は毎年黄金の鯨に挑みます」


 朝陽が走った。海が黄金に輝き、男達が銛を掲げて輝きへと飛び込む。その時だ。

 黄金の鯨が海に立った。

 飛沫とともにナ族達が海に落ちる。


「千戦千敗です」


 悔しがるナ族。不屈の千年である。

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