第2話 人魚
土地のガイドの話だと、この季節には人魚の渡りが見られるというので船を出して沖へ出た。
「旦那、来ました」
夕暮れの空だった。残照になずむ水平線の向こうがきらきらと輝いた。
人魚の群れだ。
空を覆う幾千万の人魚達が、半身の魚鱗を赤い斜陽に煌めかせ南の空へと飛んでいく。
一匹の人魚がこちらに気付き手を振った。
「みんな女だな」
「繁殖地へ向かうのです」
手を振り返す。人魚は笑い、尾鰭を翻して群れの中へと消えていった。
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